濱本愛弓の試着歩き #3 CFCL
Ayumi Hamamoto × CFCL
photography: kyohei hattori
interview & styling: ayumi hamamoto
text: miwa goroku
edit: miwa goroku, mikiko ichitani
スタイリストの濱本愛弓が気になるブランドのアトリエやプレスルームを訪ね、最新アイテムをチェック&試着してまわる本連載。第3回は、高橋悠介が手がける CFCL (シーエフシーエル) のオフィスへ。春夏シーズンの折り返し地点となる4月下旬、ラックにかかっているアイテムはすべてニット。ハイゲージでありながらクリスプな印象の素材感が、ユニセックスのムードともあいまってアーティスティックに映る。シーズンを通してニットアイテムのみを展開しているとのこと、今回試着したドレス (写真トップ) で使っているのはペットボトル由来の再生素材だ。
濱本愛弓の試着歩き #3 CFCL
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CFCL 代表兼クリエイティブディレクターの高橋悠介。パリコレをウォッチしている人なら、その名前に見覚えがあるはずだ。彼は元 ISSEY MIYAKE MEN (イッセイ ミヤケ メン) のデザイナーで、約6年間にわたりコレクションを手がけた後、2020年2月に独立。同年 CFCL を立ち上げ、3Dコンピューター・ニッティングの技術を駆使し、ニットの新しい可能性を追求している。
「自分の美意識を投影していくのではなく、服づくりを通して社会を変えていきたい」 という高橋さんがつくるニットウエアは、80年代の Azzedine Alaia (アズディン・アライア) が見せたボディコンシャスのニットとも、イタリアンブランドのクラフトマンシップ溢れるニットとも、近年人気のエフォートレスな THE ROW (ザ・ロウ) のドレスとも一線を画す、独特の洗練を備えている。
「CFCL がつくるのは、着る人が自分らしく着ることのできる服。甲冑のように内側を隠したり見栄をはるような服ではなく、薄皮のような存在で心地よくサポートする服をつくりたい。デザインは強すぎず、ニットなのでどんな体型にもフィットするから、どうコーディネートされてもOK。ガシガシ使ってもらえる服です」 と高橋さん。その心は CFCL が掲げる “Knit-ware” (=器) のキーワードからも読み取れる。
「ロングスカートが好きでよく着るんですけど、その多くはやっぱりガシガシ着れないんですよね、すぐ転びそうになったりする。その点、CFCL は本当にガシガシ着れます。洗濯機で洗えるところも新しいと思う」 と濱本さん。
CFCL が今年1月に開催したイセタンサローネでのポップアップでは、ベルリンを拠点に活動するアーティスト Elmgreen&Dragset (エルムグリーン&ドラッグセット) のエキシビションを実施。「Supermodels (スーパーモデルズ), Fig. 22」 と題された彼らの立体作品に、高橋がコンピュータープログラミングニットでデザインした服を着せるという、アカデミックなムード漂う展示を行った。
「初のポップアップを訪れたとき、CFCL はアート作品を着るような感覚のブランドなのかな、と興味が湧きました。CFCL のドレスはアートを思わせるラインを描きながら、自分の良いところを引き出してくれる感じがします。ニットならではのピタッとした着心地が、シルエットとともに自信を引き出してくれる。自信がないから着ないのではなく、着るから自信が湧いてくる、そんなイメージです。CFCL のニットは程よい重みが心地よく、同時にシャープな見た目も備えている。洗練と機能のバランスが、ありそうでなかったと思う。イージーケアのコンセプトもすごく今の時代に合っているし、これからの展開にますます注目しています」。