my new wardrobe
standard vol.2

ワードローブの定番。自分のために選ぶ服

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photography: yuri horie (licaxxx) & keisei arai (aki toyama, sumire hayakawa)
edit: manaha hosoda

あなたの定番アイテムは何ですか? — TFP が注目する人々に、リアルに購入したアイテムをヒアリングしてまわる本連載。今回もウィメンズ3名に、普段から愛用しているワードローブの必須アイテムを着用してもらって、撮影を敢行。お気に入りのポイントやファッションのこだわりを聞いたミニインタビューとともにお届け。

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ワードローブの定番。自分のために選ぶ服

「FACETASMのデニム」

recommended by

Licaxxx

「クラブに行く時に意識するのは、汚れてもいいか、かな(笑)」と語る Licaxxx さんの定番の装いは、ロンT×デニム×スニーカーというカジュアルな組み合わせ。CDGのシャツをレイヤードして、足元は NIKE (ナイキ) のジョーダンをセレクト。ロンTは最近のお気入りというボディブランド、MINE (マイン) のもの。

—Licaxxx さんの定番というとスニーカーの印象があります。

何を定番にするか、すごく迷いました。クラブに行く格好か、それ以外の時に着る服か。と言っても、ほぼクラブにしか行かないんですけど(笑)。なので、前者でいこうと思って、今回はコーディネートを選びました。クラブに行かない時のお気に入りは、セットアップ。長年着たいと思えるものを買うようにしてますね。

—FACETASM (ファセッタズム) のデニムを購入した決め手を教えてください。

色ですかね。薄色のデニムをたくさん持ってるんですけど、その中でも改めて紹介したいのが FACETASM でした。デザイナーの落合さんとは、知り合ってから結構長くて、ラジオでインタビューさせてもらったこともあります。落合さん自身は音楽好きですけど、FACETASM では特定のジャンルやアーティストをテーマにすることはなくて、もっと抽象的なことを表現している。でも、音楽だったり彼が純粋に好きなものが伝わってくるところに共感します。

—音楽とファッションの理想的なバランスは?

音楽でも、ファッションでも、大事なのは好きなものを見せること。ただ、ファッションはコミュニケーションのツールのひとつでもあると思っているので、どういう場面で、どういうものを着るかも意識しています。特にDJをする時は、音楽を邪魔しない、もしくはリンクしている服装がベスト。あとは、あんまり堅苦しくない格好のほうが自分の音楽のマインドには合ってるかなと思っていて。こだわりつつもシンプルなアイテムを買うようになりましたね。デニムとスニーカーは制服みたいな存在で、いっぱい集めています。

Licaxxx (DJ)

「CÉLINEのオールインワン」

recommended by

頭山亜季

ファッション関係で働いてきた両親を持つ頭山さんは「ファッションには厳しく育てられました。ふたりは師匠みたいな存在ですね」。父親から譲り受けた VACHERON CONSTANTIN (ヴァシュロン・コンスタンタン) や母親の Cartier (カルティエ) に、自身がPRする PREEK (プリーク) のリングやピアスを合わせて。「ジュエリーをたくさんつけるのは完全に母親の影響ですね」

—オールインワンはいつ頃購入されたものですか?

2018年プレフォールシーズンです。Phoebe Philo (フィービー・ファイロ) が CÉLINE (セリーヌ) を去った2018年ウィンターの前のシーズンですね。2010年から CÉLINEのPR として働いていたので、フィービー時代の CÉLINE は、わたしの30代のすべてですね。その頃買った服は、今でもすごく大切にしつつ、ガンガン着てます(笑)。着るだけでモチーベーションも上がるし、彼女の作るクリエーションにはいつも共感していました。彼女の服には、着る人の人生を変えるぐらいのパワーがある。

—新しいブランドをスタートすることも発表されましたね!頭山さんが思うフィービーの服の魅力を教えてください。

彼女自身は特定の女性像を掲げることはありませんでしたが、女性が働きながらも心地よく着られる、ここぞっていう勝負どころで着たいと思える魅力がありました。このオールインワンもワークウェアからインスピレーションを受けたデザインが気に入っています。もともとワークウェアやミリタリー、タキシードとか、メンズウェアが好きだったからかもしれません。昔から好きなものがきまっているので、あまり冒険はしないかもしれませんね。フィービーの CÉLINE もサイズや色違いで揃えているものがちらほら(笑)。

—買い物をするときの決め手はありますか?

今日持っている The Row (ザ・ロウ) のバッグもそうですが、安心できて、上質で、長く愛用できるもの。この「パークトート」は、スモールとレギュラーサイズで持っているんですが、グレインカーフなので耐久性も抜群だし、レギュラーサイズならパソコンも入る。良いものを長く愛用する、そういうこともサステナビリティだと思います。もちろん環境に良い素材を使うことも大事ですが、PRを担当しているいろいろなブランドのデザイナーともよく話しているのが、いいものをつくっていればそれが必ずサステナビリティに繋がる、と。フリーランスPRとしてそうした物づくりをサポートしていきたいと思っています。

頭山亜季 (Freelance PR)

「PATOU のレザーパンツ」

recommended by

早川すみれ

トップスは、Dries Van Noten (ドリス ヴァン ノッテン) や Marc Jacobs (マーク ジェイコブス) で経験を積み、2020年にスタートしたばかりのベルギーの気鋭ブランド Meryll Rogge (メリル ロッゲ)。「1年ほどアントワープに住んでいたことがあって、友達のアントワープ王立アカデミー時代の同級生なんです。デザイナーさん本人もファッションを楽しんでいるところがデザインに表れている」と早川さん。

—最近、PATOU (パトゥ) の名前を耳にする機会が増えました。

2018年からクリエイティブ・ディレクターに元 CARVEN (カルヴェン) の Guillaume Henry (ギョーム・アンリ) が就任してからかもしれません。彼のデザインって日本人に似合うと思うんですよね。そして、プレイフルな女性へのリスペクトに溢れている。先日とっても嬉しいことがあったのですが、以前スタイリングしたページを気にいってくれたようで、ギョーム本人からお手紙をいただいたんです。手書きのとってもチャーミングなレター(笑)。この仕事をしていてよかったなと、感極まりました。彼の服を着るとワクワクするのは、ギョームの粋な心使いが表現されているからかもしれません。トラディショナルなテーラリングも備わっていながら、かつて Jean Patou (ジャン・パトゥ) が築き上げたフラッパースタイル、自由な女性に寄り添うデザインが根底にある。あと、しっかりとした作りのものが多くて、今日履いたパンツはエコレザーなんですけど、厚みがあってシルエットを保てるところがお気に入りです。

—購入の決め手は?

シルエットと素材ですかね。仕事柄、どうしても動きやすいボトムスが定番になりがち。もはやスポーツのようにどれだけ敏速に動けるか?がスタイリストの仕事において、大切なので。ハイウエストのブラックのパンツは、他にも Stella McCartney (ステラ マッカートニー) や ATON (エイトン) のものをよく履いています。定番のパンツは自身の健康状態を知るバロメーターにもなっています。腰回りに体調の変化がでやすいので、今日はむくんでいるなとか、食べる暇もないくらい忙しいと緩くなってきたり、洋服を着ることで体調管理をしてます。Maison Margiela (メゾン マルジェラ) のタビブーツも走れるぐらい安定感がすごいので、愛用しています。

—機能面重視ですね。スタイリングでも意識しますか?

自分のスタイリングでは、そうですね。ブラックパンツを履く時は、ハードな日でなければ、トップスや靴にデザインが効いたものを取り入れて楽しみます。逆にロケや力仕事満載の撮影の日は、トップスもTシャツやスウェット、足元はスニーカーになります。もはや、トレーニングウェアに近い。自分の身体が動けないと良いものは作れないと、最近特に感じています。逆に、仕事でスタイリングする時は、機能面以上に、人物像を妄想して、自分の希望や夢をスタイリングに加えています。10年以上この仕事をしていても、ファッションへの憧れは尽きることがないので、面白いです。

早川すみれ (スタイリスト)