daikanyama tsutaya
books' concierges recommend 7 magazines vol.3

代官山 蔦屋書店コンシェルジュがおすすめする注目の洋雑誌 Vol.3

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代官山 蔦屋書店コンシェルジュがおすすめする注目の洋雑誌 Vol.3

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text: momoko kawabata (daikanyama tsutaya books magazine concierge)

長かった冬が終わり、春の陽気な日差しが照りつける頃。環境が変わり、新しいことを始めやすい時期でもある4月にぴったりの洋雑誌7冊を代官山 蔦屋書店コンシェルジュがピックアップ。ファッション、インテリアからコードデザインに至るまで。あらゆるジャンルのクリエイティビティにスポットライトを当てた雑誌が、新たなインスピレーション源になるはず。

01. Sloft Édition 04

パリを中心に、コンパクトなインテリアとライフスタイルを紹介する、建築とデザイン装飾愛好家のための雑誌。4号では、パリと近郊の街に訪れ、地域住民と触れ合いながら、クリエイティビティに満ちたコミューンの改革に迫る。また、マドリード、東京などへも出向き、そこに住む人々の個性を反映したインテリアのセレクションを体感する中で、都市生活での制約や不可解さ、そして現実逃避に対するユニークな答えを提案。その中でも、今回は都市における自然の位置づけに着目。多くの専門家にインタビューし、都市における自然の役割の変化、また、長期的に住みやすい都市にするための解決策を分析している。

02. Buffalo Zine No.17

現在ロンドンを拠点とするスペイン出身の David Uzquiza (デイヴィッド・ウズクイザ) と Adrian Gonzalez-Cohen (エイドリアン・ゴンザレス=コーエン) が2011年に創刊した新感覚カルチャーマガジン。毎号テーマに合わせてフォーマットからロゴ、デザインまですべてをガラリと変えるスタイルが、読者に驚きとインパクトを与えており、各国の有名雑誌から惜しみない賛辞を贈られるほど、世界に向けて変化と革新を見せ続けている。今回紹介する17号では「COFFEE & CIGARETTES」をコンセプトに、『Buffalo Zine』としては初の試みだったモノクロの写真を全編にわたり使用した。Adrian Gonzalez-Cohen は、今号を「霧が立ち込める冬の朝、湯気があがるコーヒーを見ながら香りを感じる瞬間や、写真館の外でタバコを吸っているような気分」とコメント。

03. ENCENS ISSUE 50

フランス発のファッション&カルチャーマガジン『ENCENS』は、2002年の創刊から本号で50号目を迎えた。写真家の Sybille Walter (シビル・ウォルター) と、ファッションエディターの Samuel Drira (サミュエル・ディラ) が、デザイナーの視点からアートフォームとしてのファッションにスポットを当て制作された雑誌だ。50号では Sybille Walter が『ENCENS』創刊時から撮り溜めていた未公開写真を公開。さらに長年同誌の特集ページに寄稿し一緒に歴史を作り上げてきたエディターたちが、自身のファッションに対する感覚に大きな変化があった瞬間を語る。ファッション批評家の Angelo Flaccavento (アンジェロ・フラッカヴェント) は、イタリアで過ごした幼少期について、「フランスの知性・哲人」とも称されるアーティストの Serge Lutens (セルジュ・ルタンス) は、現在の居住地であるモロッコのマラケシュを舞台に、これまでのクリエイティビティの背景にある物語を語っている。

04. THE NEW ORDER 29

世界各国に熱心なファンを持つストリートカルチャーのオンラインメディア『SLAMXHYPE』から派生したファッションカルチャーマガジン。ニュージーランド出身で現在は日本に在住、元サッカー選手という異色の経歴をもつ JamesOliver (ジェームス・オリバー) が、国内外のカルチャーを独自の切り口で取り上げ、オリジナリティ溢れる特集や良質な情報を発信し続けている。本号の特集は「WORLD IN MOTION」。俳優の長澤まさみや、画家の空山基、アメリカ人総合格闘家 Khalil Rountree Jr. (カリル・ラウントリー・ジュニア)、ラッパーの Freddie Gibbs (フレディ・ギブス)、ナイジェリア出身の歌手 OMAH LAY (オマ・レイ) といった、ジャンルを問わず様々な分野で活躍している人々にフォーカス。

05. TYPE ONE Issue 07

タイポグラフィーとグラフィックデザインにフォーカスした情報を世界へ発信するために、エディターの Amber Weaver (アンバー・ウェイバー) を中心としたクリエイターチームが、2019年にロンドンで創刊したデザイン誌。今号は、私たちが日常生活ですでに触れているであろうコードに焦点を当て、「機能性」と「芸術的可能性」の2つのレンズを通してクリエイティブコーディングについて深掘りする。韓国生まれのデザイナー Yehwan Song (ソン・イェファン) によるインタラクティブで型破りな Web サイト構築や、元ペンタグラムのデザイナーで現在は自身のエージェンシーの代表を務める Talia Cotton (タリア・コットン) によるアルゴリズミックなデータ主導のブランドアイデンティティなど。デザインスタジオがクリエイティブなソリューションを生み出すためのツールとして、コードをどのように活用しているのかを探っていく。

06. UNION Issue 18

「ファッション写真とアート写真が境界線なく共存し、見る人の想像を掻き立てるような雑誌を作りたい。」という想いから2012年に誕生した日本発のフォトマガジン『UNION』。前号から1年9か月ぶりの発売となる最新18号では、UK版『VOGUE』や『New York Times』の雑誌写真などで活躍し、写真業界から最も注目とリスペクトを受け続けているイギリス人アーティスト Jack Davison (ジャック・デイヴィソン) 氏や、「KYOTOGRAPHIE」(2015年)、「東京国際写真祭」(2015年)への参加、ニューヨークのコンデナスト本社ビルでの展示など、国内外で作品発表経験のある山谷祐介氏、今年同誌出版社よりロンドンを舞台にした写真集『September in London』を出版した当山礼子氏など、今回も国内外から様々な経歴の写真家が参加し、東京、パリなどをはじめ様々な都市や地域で撮影された作品が集まった。“美しく上品なものはいつだってタイムレス”という哲学をコンセプトにする同誌には時代の流れを感じさせない、10年後、20年後、50年後も楽しめる、クラシックでいて先鋭的なエディトリアルが詰まっているのが魅力。

07. More Or Less ISSUE No. 7

ネットが普及し、見たい情報や商品が1回のクリックで簡単に手に入れることが出来る現代。イギリスのファッション雑誌『More Or Less』では、過剰量産されるファストファッションを安易に買うことへの警鐘を鳴らし、私たちの服選びについて問題を提起している。サステナビリティを大きなテーマと掲げる同誌では、従来の「消費スピードのはやい」「季節に応じた」ファッションを取り上げるのではなく、あらゆる垣根を超えた多種多様なファッションを紹介している。最新号は、映画『ワンダーウーマン』(2017)に出演し、モデル兼生態学者としても活動する Zinnia Kumar (ゼニア・クマール) を表紙に起用。誌面では、彼女がオーストラリアの動物の保護活動について語る特集を掲載する。そのほかにもイギリス陸軍特殊空挺部隊出身の Bear Grylls (ベア・グリルス) や、ピンク色の皮膚が特徴の絶滅危惧種アマゾンカワイルカなど全7種の表紙を展開。アマゾンカワイルカが表紙の売上は、近年のアマゾン干ばつに苦しむ動物たちの救済のために世界自然保護基金(WWF)に寄付される。