maison margiela
Spring Summer 2021 'co-ed' collection

「Co-Ed (コー・エド)」 という概念が導く未来 vol.4 Genderless

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Spring Summer 2021 'co-ed' collection

photography: tomoyuki kawakami
styling: riku oshima
hair & make up: taro yoshida
model: ali tillman, matthew, muhanad
text: miwa goroku
edit: manaha hosoda

「Co-Ed (コー・エド)」 は、Maison Margiela (メゾン マルジェラ) のクリエイションの頂点に位置する 「Artisanal (アーティザナル)」 と称するオートクチュールにおいて、クリエイティブ・ディレクターの John Galliano (ジョン・ガリアーノ) が提起するアイデアや技術がプレタポルテとして具現化された男女共通のライン。メゾン独自のナンバリング・システムに加わりながらもナンバーを持たず、真っ白なラベルで区分されている。
ジェンダーレスをコンセプトに掲げるが、たとえばシェアやミニマルといったワードにも置き換えられる近年のユニセックスとは根本から何かが違う。つながり、コミュニティ、協調すること…… 二項を対立させることなく 「Co-Ed」 がスポットを当てるのは、透明性や包含性だ。タフな時代を生きる私たちが今、持つべきものはなんだろう。「Co-Ed」 はそのアーティスティックなクリエイションのプロセスを明らかにすることで未来へと続く答えを示し、検証する。(最終回/全4回)

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Spring Summer 2021 'co-ed' collection

「Co-Ed (コー・エド)」 という概念が導く未来 vol.4 Genderless

ジャケット ¥621,500、パンツ ¥119,900、シューズ ¥119,900/すべて Maison Margiela (メゾン マルジェラ)

コート ¥690,800 (参考価格)、ボディ ¥39,600、ソックス ¥170,500、シューズ 参考商品/すべて Maison Margiela (メゾン マルジェラ)

「Co-Ed」の服やアクセサリーは、誰が着てもクールでドラマティックに映える。「結果的にジェンダーレスとなった」 と映像 「S.W.A.L.K. II」 の中で John Galliano (ジョン ガリアーノ)  は語っている。

「Co-Ed」 コレクションの背景に流れるタンゴのストーリーは、John Gallianoがその昔、アルゼンチンのブエノスアイレスを訪れたときに目にした一夜の出来事だ。その出来事とは、崩壊寸前のガレージ2階で催されていた住民たちのタンゴの集会。まるでレイブ・クラブのようだったという熱気に満ちたその空間で、差し込む月光をスポットライトに踊る銀髪の80歳の男性は、身体にぴったりフィットしたスーツに、尖った靴を履いていた。生まれた場所から一歩も外へ踏み出すことなく暮らしてきた彼にとって、身につけているものは人生そのものである。切り裂かれてあらわになったテーラードの断面、汗で貼りついたように見えるウェットの加工、そしてピカピカに磨かれたポインテッド トゥの靴…… メゾンのコードやテクニックと融合して描き出されたこれらのディテールは、「Co-Ed」 の概念そのものを具現化するかのように、男女やジェネレーションの区別なく表現されている。

コート ¥776,600、ソックス ¥170,500、シューズ ¥119,900/すべて Maison Margiela (メゾン マルジェラ)

「Co-Ed」 でのガーメントやシューズ、バッグは、「アヴァン・プルミエール」 コレクションと呼ばれるコンセプチュアルで前衛的なシーズニングコレクションや、タイムレスなワードローブのライン ‘4’ とライン ’14’ へと進化し、私たちの日常とつながっていく。今季の映像「S.W.A.L.K. II」 は、John Galliano が新たに定義したナンバリングシステムが、本人の言葉によって改めて明らかにされた意味でも観ておきたい映像である。

 

「S.W.A.L.K. II」 日本エクスクルーシブ映像 〜The Nina Mary Janes & The Hyperion

S.W.A.L.K. II」 の未収録映像を、TFP エクスクルーシブで特別に公開。全4回にわけて、クリエイティブと制作プロセスを捉えたシーンをお届けする。最終回でフィーチャーするのは、ジェンダーレスなポインテッド トゥの新しいフラットシューズ 「The Nina Mary Janes & The Hyperion」。

「エレガントで先の尖ったメリー・ジェーン。ちょっといかがわしい感じ」 と John Galliano が説明する新作のシューズ。タンゴの靴に着想を得たキトゥンヒールも、今季のデザインの特徴だ。ヴェニスで見つけたという18世紀のブロケードを思わせる素材でつくられた 「レチクラ」(メゾンが探し出したビンテージや在庫の残革や残布を修復・再生して限定的な服やアクセサリーとしてアップサイクルされたカプセルコレクション) のエディションもある。スーツに合わせて履いてみたい。