「Co-Ed (コー・エド)」 という概念が導く未来 vol.2 Masks
maison margiela
Spring Summer 2021 'co-ed' collection
photography: tomoyuki kawakami
styling: riku oshima
hair & make up: taro yoshida
model: ali tillman, matthew, muhanad
text: miwa goroku
edit: manaha hosoda
「Co-Ed (コー・エド)」 は、Maison Margiela (メゾン マルジェラ) のクリエイションの頂点に位置する 「Artisanal (アーティザナル)」 と称するオートクチュールにおいて、クリエイティブ・ディレクターの John Galliano (ジョン・ガリアーノ) が提起するアイデアや技術がプレタポルテとして具現化された男女共通のライン。メゾン独自のナンバリング・システムに加わりながらもナンバーを持たず、真っ白なラベルで区分されている。
ジェンダーレスをコンセプトに掲げるが、たとえばシェアやミニマルといったワードにも置き換えられる近年のユニセックスウエアのムードとは根本から何かが違う。つながり、コミュニティ、協調すること…… 二項を対立させることなく 「Co-Ed」 がスポットを当てるのは、透明性や包含性だ。タフな時代を生きる私たちが今、持つべきものはなんだろう。「Co-Ed」 はそのアーティスティックなクリエイションのプロセスを明らかにすることで未来へと続く答えを示し、検証する。(第2回/全4回)
「Co-Ed (コー・エド)」 という概念が導く未来 vol.2 Masks
Maison Margiela を象徴する 「匿名性」 の概念は現在、「ジェンダー・フリュイド」の考え方を包括するものへと進化・発展を遂げている。「ジェンダー・フリュイド (=流動する性) 」 とは、自分は男性である、あるいは女性であるという固定概念を外すこと。そして自分の中にある不確実な性差の感覚に自覚的であること。2021年の最新 「Co-Ed」 コレクションは、赤と白のフェイスマスクがこの概念を視覚的に伝える。
今回、モデルたちにスタイリングした白のジャケットとコートは、ミルフィーユのようなファブリックのレイヤーで構築され、服の構造を露わにする。水に濡れて肌に張りついたような折り目を表現したウェット加工、何層にも重ねられたレイヤーが透けて、それまで見えていなかった時の痕跡を着る人に、そして見る人にも伝えていく。製品化へのプロセスに透明性を与えるという、メゾンの新たな試みを象徴するシリーズだ。
「S.W.A.L.K. II」 日本エクスクルーシブ映像 〜Masks / Anonymity of the Lining
‘anonymity of the lining (ライニングの匿名性)’ というハウスコードは、フォーマルなテーラリングのシルエットの中に隠されている。何層にもレイヤーが透けて見えるファブリックで仕立てたジャケットやコートなどが、それまで見えなかった時の痕跡を可視化させる。vol.1 の切り裂かれたフォーマルジャケット、その中から溢れ出すフリルなども、このコードに紐づくテクニックだ。