chiaki kuriyama

ポール・スミスと描く、私らしい人生の仕立て方 vol.4 栗山千明

“Classic with a twist (ひねりのあるクラシック)”。英国の伝統的なテーラリングを継承しながら、溢れるユーモアと冒険心とともに唯一無二の個性を確立してきた Paul Smith (ポール・スミス)。2026年春夏の最新コレクションでは Paul Smith の「旅の記憶」をテーマに、端正なシルエットへ鮮やかな遊び心を落とし込んだルックが並ぶ。

日々移り変わる流行や、「こうあるべき」という固定概念を、ユーモアのある“ひねり”で軽やかに手放す。 TFP がおくる連載企画では、そんな Paul Smith の精神に共鳴し、自らの意思でそれぞれのライフステージを歩む4人の女性たちが、「私らしい人生の仕立て方」を紐解いていく。

最終回に登場するのは、俳優の栗山千明。10代の頃から俳優として第一線で活躍しさまざまな作品を経験していく中で、世間が描く「栗山千明像」を豊かに更新し続けてきた彼女。時代に合わせて柔軟に、それでも自分を見失わずに進む、人生の歩み方について。

Paul Smith
with chiaki kuriyama

model: Chiaki Kuriyama
photography: Yusuke Abe
videographer: Taro Okagawa
music: Modern Jazz War
styling: Ume
hair & make up: Seiichi Okuhara
interview & text: Yuki Namba
edit: Yuki Namba, Miu Nakamura

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− 栗山さんは、10代の頃から輝かしいキャリアをスタートさせています。当時はクールな女性像という視線を浴びていたと思いますが、ご自身ではどう捉えていましたか?

私自身がクールで完璧な女性に憧れていたので、その憧れに自分を持っていけたらなと思っていたところはあります。でもそれ以上に、やはり演じさせていただいた役の印象で、皆さんがそうおっしゃってくださっていたのかなと思いますね。役のイメージを持っていただけているのであれば、そのお芝居が上手くいったということかなと思うので、それはとても誇らしかったです。

− 実際の自分とのギャップを感じることもあったのでしょうか?

お芝居をさせていただいている上で、もっといろんな役にチャレンジしたり、仕事の幅を広げていきたいという意味で、クールだけではなくいたいなという気持ちはありました。ただ私自身としては、クールで完璧でありたいという思いはありつつも、どちらかというと緊張しいというか、人見知りなところがあって、それを隠しているような感覚もあったと思います。

− 最近の栗山さんのご活躍を拝見していると、多趣味な素顔や“ひねり”が差し込まれているように感じます。いつ頃から変化してきたのでしょうか?

いろんな役をやらせていただくようになったのもありますし、10代の頃の緊張感がちょっとほぐれてきて、お仕事をより楽しめるような精神力になったのが大きく違うところかなと思います。お芝居で無邪気なシーンをやるとしても、私自身がほぐれて、役に取り組みやすくなっていきました。

− 自分でイメージを変えていこうとしたというよりは、自然に自分らしさが出てきた?

そうだと思います。10代から中身は変わっていないかもしれないですが、見せ方が変わってきましたね。10代の時は、極端な言い方をすると、大人に混じってお芝居をしているので「ちゃんとしてなきゃ」「真面目にいなきゃ」と肩に力が入っていて、それが緊張や人見知りにつながっていたと思うんです。だんだん「あ、みんな優しいんだな」と分かってくると、緊張もほぐれて、もともと好きだったアニメや漫画、音楽の話を現場でするようになったりと、素を出しやすい環境になりました。

− 当時の自信と、今の自信は違いますか?

やはりまだ経験が浅い時には、「負けちゃいけない!」とか「やってやるぜ!」みたいなそういう気合いの入り方をしていたと思います。ない自信を自分で作っているみたいな感じ。今は、今までの経験を糧にしていることが自信につながっているなと思います。

ラフなデニムジャケットにタイドアップを合わせた栗山。カジュアルな素材感ながら、端正なシルエットが都会的なクリーンさを演出。中に着たシャツには、遊び心溢れる刺繍が施され、Paul Smith らしい大人のひねりを加えたスタイリングに。

ジャケット ¥41,800、シャツ ¥29,700、タイ *参考商品、パンツ ¥38,500、シューズ ¥77,000、ベルト ¥19,800/すべて Paul Smith (ポール・スミス)

− 今日着ていただいている Paul Smith のお洋服も、端正なシルエットの中に刺繍やちょっとした遊び心があるのが特徴です。そうした精神や、生き方についてどう感じますか?

年齢に関係なく、自分のアイデンティティや好きなものを露骨に見せるのではなく、さりげなく生活の中に取り入れているのは素敵だなと思いますし、洗練されているイメージがありますよね。やはり、基本がきちんとしているところから崩すことが大事というか、そこでその人の個性が出てくるような気がしています。最初から個性全開というのもあるかもしれないけど、しっかりとした基本がある上で、その人の個性がさりげなく出ているのが素敵だなと思うので。Paul Smithのお洋服も、だから惹かれるのだなと思います。

− 自分の個性の出し方に迷いやすい若い世代に向けて、栗山さんが伝えたいアドバイスはありますか?

今は多様性を受け入れてくれるからこその悩みがあるんだなと思います 。でも、好きなものを自由に言えるこの時代は素敵だと思うので、素直に自分がいいと思うものを好きでいられたら、それが個性につながっていくのかなと思います。

私は運良く5歳の時から36年ほどこのお仕事をさせていただいてるんですが、やはり長く続けていることが自信になったりするので、すぐに諦めるのではなく、ある程度続けていくことで見えてくるものがあると思います 。最初は自分に合わないかなと思っていても、積み重ねることで気持ちが変わるかもしれないから、一つひとつ大切にトライしてみてほしいです。

−36年のキャリアの中で、自分を見失わずに少しずつ変化をしていくのは、簡単なことではないように思います。どんなマインドセットで歩んでこられたのでしょうか?

自分ではこれっていう答えが出てこないんですが、私は結構「受け入れている」方だと思います 。自分が気づかなかったことを周りから導いていただくことが多いです。ファッションも、自分ではトライしなかったものを提案してもらって「こういうのも結構好きかも」と気づいたり、お芝居も監督のディレクションで自分の想像以上のものができたりとか。あまりノーと言うことはなく過ごしてきましたね。それが私なのかもしれない。

自分一人が考えていることって結局浅いと思うんですよ。脚本家さんや監督さんが長い年月をかけて作る作品なので、その方たちの助言や導きで深みが出ると思っていて。スタイリングもそうで、いろんな洋服を見てきたプロの方の提案を楽しんだ上で、柔軟に変化していけるんだと思います。

− 現在地点から見て、変化してきた自分をどう感じますか?

すごくラッキーだなと思います (笑)。本当に出会いだと思っていて、今までの作品に携わった方が違う人だったら今の自分にはなっていないと思います 。今こうやって幸せでいられるのは、いろんな方との出会いで培った自分だなと思っているので、本当にラッキーです。