Charlize Theron
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常に戦い抜いてきた孤高の大女優 Charlize Theron (シャーリーズ・セロン) インタビュー

Emily Berl/Contour by Getty Images

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男性主導の世界で戦い続けてきた孤高の大女優、シャーリーズ・セロン。南アフリカ共和国で生まれ、波乱に満ちた人生を送りながらも、その類いまれなる美貌と卓越した演技力でアカデミー主演女優賞を受賞するまでに上り詰めた彼女は、いまや全世界から羨望の視線を集めるスターのひとりだ。そんな彼女が、自身が主演を務める最新作『アトミック・ブロンド』について語ってくれた。

常に戦い抜いてきた孤高の大女優 Charlize Theron (シャーリーズ・セロン) インタビュー

Emily Berl/Contour by Getty Images

Emily Berl/Contour by Getty Images

近年、男女間での雇用格差に批判が集まっているハリウッド、その男性主導の世界で戦い続けてきた孤高の大女優、シャーリーズ・セロン。南アフリカ共和国で生まれ、波乱に満ちた人生を送りながらも、その類いまれなる美貌と卓越した演技力でアカデミー主演女優賞を受賞するまでに上り詰めた彼女は、いまや全世界から羨望の視線を集めるスターのひとりだ。

そんな彼女が主演を務める最新作『アトミック・ブロンド』は、『ジョン・ウィック』などで知られる期待の新星、デヴィッド・リーチ監督が贈る至極のスパイムービーだ。1989年、東西を分断していた壁が崩壊する直前のベルリンを舞台に壮絶なアクションを臨場感たっぷりに描いた本作のヒロインは、ミステリアスかつセンシュアルな史上最強の女スパイ。

これまでに徹底した役作りで話題を集めてきたセロン演じるロレーンに、私たちは気づかぬうちに誘惑され、突き放され、あっという間に目が離せないほど引き込まれてしまう。ニュー・オーダーの『ブルー・マンデイ』が爆音で流れるオープニングから幕を開け、音楽やファッションなど当時のカルチャーや政治的背景が仔細に描き出された本作は、ただのエンターテイメント作品では片付けることの出来ない問題作だ。

緊急来日とあって、多忙を極めるスケジュールの合間を縫ってのインタビューだったにも関わらず、彼女が発した言葉の一つ一つは実に丁寧かつ明晰、そして力強かった。

映画『アトミック・ブロンド』予告編

—女性が憧れるようなクールなキャラクターを演じることが多いですが、出演作を選ぶ際に決め手みたいなものはあるのでしょうか?

実は、その質問には私、答えられないの。というのも、いつも驚かされるような役に惹かれたりするし、もともと特定のタイプの役をやりたい、といって探す方ではないから。ただ、普段から脚本だったり、本だったり、色々なものを読むことはしていて、キャラクターというよりは、こういうものがあったらいいなっていうアイディアはいつも探しているかもしれません。時には、ただそのキャラクターにサプライズがあったり、構想段階の企画が思いもよらない強い方向に進んでいると思った時に、役者としてその役をやってみたいと思ったりもします。すごく幸運だと思うのは、人生においても、キャリアにおいても、私は自分のやりたいことを出来ているということ。実際、私は2人の子供を持つシングルマザーですが、撮影の時には子供達と離れなければなりません。だから、私が出演している映画というのは、本当に私が心からやりたいと思った作品です。そして、そのことを私のファンはちゃんと理解してくれていると思います。そういう状況に、私は心から感謝しています。自分が作りたい、心からやりたいと思ったことを今、追求出来ているんですから。

-本作では Diorや John Gallianといったブランドからヴィンテージまで様々なアイテムを着用されていますが、衣装デザイナーの Cindy Evans (シンディ・エヴァンス) さんとはどうやって衣装を決めましたか?お気に入りのルックがあったら、教えてください。

この映画を作る上で最も楽しかったことの一つが、まさに衣装でした。Cindy とは8本、いやもしかしたら10本もの作品で一緒に仕事をしていて、私は彼女のことを最高の衣装デザイナーだと思っています。彼女は、キャラクターというものを本当によく理解しているし、衣装が言葉を発さずともキャラクターの人物像っていうものを観客に伝えることが出来るということをよく理解している真のアーティストです。従来のスパイスリラーっていうのは灰色が基調になっていて、着ているものも色彩が暗かったり、ポップな色合いが全然使われていなかったりしますが、今回、私たちはライティングや衣装に関して、そういうものとはひと味違ったものを作りたいと考えていました。そんな中で、当時のベルリンのアンダーグラウンドでは、パンクシーンが非常に盛り上がりをみせていたことを知って、おそらく当時のスパイはこうした場所で活動していたんではないか、と私たちは考えたんです。そこからインスピレーションを得て、今回の映画の衣装を掘り下げていきました。Cindy は勿論、私が衣装を着て、戦わなければいけないこともわかっていたので、実用性もきちんと考慮された衣装をデザインしてくれました。この映画の衣装はどれも、実際に男性陣をボッコボコに出来るのよ(笑)これって意外と難しいことなの。それに、彼女が多くのデザイナー達と素晴らしいコネクションを持っているおかげで、Galliano が私のためにデザインしてくれた素晴らしいコートも着ることが出来ました。あれは個人的にもすごく気に入っている衣装のひとつで、とても特別なアイテムだったので、映画のオープニングではこのコートを着たいと思いました。そして、映画の最後にディオールのコートを着ることで、それが Galliano のコートとの良い対比になるんじゃないかと思いました。本当に、コートは全部好きだったわ。彼女の使う色のパレットもすごく気に入っています。あとは、例えばスエットシャツと6インチのヒールを合わせたりっていう、ハイエンドなアイテムとそうでないものをミックスしたりするのもすごく楽しかったわ。

-これまで幾つもの厳しい肉体改造を行われてきたと思いますが、本作ではどのようなトレーニングを行いましたか?

本当にたくさんトレーニングしたわ(笑)プリプロに入った段階から、全ての空き時間トレーニングに使うことにしました。朝、子供達を学校に送り届けてからスタジオに直行して、4~5時間ワークアウトするという日々が続きましたね。まず、最初はとにかく体力、筋力作りをメインに置いて、特に上体を鍛えました。あと、耐久力をつけるためにカーディオ系のエクササイズも結構したわね。ある程度鍛え上げたところで、男性と実際に戦う練習を始めました。いろいろと違ったスタイルの戦い方をしてみたけど、特にムエタイに集中したわ。例えば、1時間ワークアウトして、1時間実際にファイトして、それをまた繰り返すというようなトレーニングで、この映画に臨みました。

-映画では、本当に80年代のファッションや音楽、文化背景などが仔細に描かれていて、すごく楽しかったです。あなたにとって80年代とはどのような時代だったのでしょう?

私は80sキッズだからね(笑)その時代に生まれ育ったので、やっぱり私にとってとても特別な時代だし、当時の音楽も大好きだし、どうしてもこの時代の話になるとノスタルジックになっちゃうわ。それに、80年代はファッションにおいても、音楽のサウンドにおいても、すごく革命的な時代だったんじゃないかと思う。政治的にも、冷戦が全世界に影響を与えた時代だったと思います。その革命は、当時の若者やアート、音楽にも非常に強い影響を及ぼしたんじゃないかしら。映画のサウンドトラックには、私も大好きな曲がたくさん収録されていますが、実は政治的な影響を強く受けている曲もたくさんあって、Queen と David Bowie の「Under Pressure」なんかはベルリンの壁崩壊について歌っているんですけど、私はそのことを全然知りませんでした。80年代というと、ポップで楽しい時代というイメージがあったのですが、実はすごく政治的であり、革命的な時代だったんですね。多くのソングライター達もそうした側面を、曲に組み込んでいました。80年代は、私の大好きな時代ですし、その時代の音楽がラジオでかかると、ついボリュームを大きくしちゃう。だって、楽しい思い出がたくさん蘇ってくるんですもの。

-最後に日本の現代に生きる女性たちに何かメッセージはありますか?

STAY STRONG (強くいなさい)!私たち女性、特に若い女性は、お互いに支え合う必要があります。そのことを大切にして欲しいわ。

<プロフィール>
Charlize Theron (シャーリーズ・セロン)
1975年、南アフリカ共和国出身。『2days トゥー・デイズ』(96)で映画デビュー。その後、『ディアボロス/悪魔の扉』(97)、『サイダーハウス・ルール』(99)などに出演。『モンスター』(03)では、大幅な肉体改造を行い実在した連続殺人犯を怪演し、アカデミー主演女優賞、ベルリン国際映画祭銀熊賞、ゴールデングローブ賞主演女優賞などに輝いた。幅広い演技が高い評価を受けており、近年ではスキンヘッドで挑んだ『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』(15)女戦士フュリオサ役が話題となった。また、プロデューサーとしてもキャリアを重ね、Netflix のドラマ『ガールボス』(17)ではエグゼクティブ・プロデューサーとしても名を連ねている。

作品情報
タイトル アトミック・ブロンド
監督 デヴィッド・リーチ
脚本 カート・ジョンスタッド
出演 シャーリーズ・セロン、ジェームズ・マカボイ、エディ・マーサン、ジョン・グッドマン、トビー・ジョーンズ
配給 KADOKAWA
製作国 アメリカ
製作年 2017年
上映時間 115分
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10月20日(金)より全国ロードショー