女優・葵わかなインタビュー
Wakana Aoi
photography: daisuke hamada
interview & text: tomoko ogawa
連続テレビ小説97作目『わろてんか』のヒロイン・北村てん役を演じてお茶の間に明るい朝を届けている女優・葵わかな。10歳にデビューし、実力派役者への階段を着実に登りながらも、17年の4月から大学に進学。葵さんは、現在19歳。子どもと大人の間でまだ揺れる彼女は、今、朝ドラという世界で、二つの人生を背負っている。これまでの人生と、今しかない彼女の挑戦について話を聞いた。
女優・葵わかなインタビュー
Portraits
連続テレビ小説97作目『わろてんか』のヒロイン・北村てん役を演じてお茶の間に明るい朝を届けている女優・葵わかな。10歳にデビューし、実力派役者への階段を着実に登りながらも、17年の4月から大学に進学。葵さんは、現在19歳。子どもと大人の間でまだ揺れる彼女は、今、朝ドラという世界で、二つの人生を背負っている。これまでの人生と、今しかない彼女の挑戦について話を聞いた。
—もともとバラエティ番組に出たくて10歳でこの世界に入ったということですが、バラエティ好きな子どもだったんですか?
そういうわけでもないんです。たぶん今とあんまり変わってないと思うんですけど、クイズバラエティ番組「ヘキサゴン」が当時小学校で流行っていて、ピンポーンってボタンを押すじゃないですか。それをやってみたいって思ったことありません?
—あまりないかな。
参加できたら面白いのになぁと。当時は、テレビを見てるといっても、出ている人の中にもいろいろな職業があることも、どうやったらテレビに出られるのかってことも知らなかったし、今思うと本当に出たかったのだろうかも謎なんですけど(笑)。遊園地に行ってみたいくらいの感覚で「楽しそう」と言っていたら、母から「オーディション受けてみる?」と聞かれて。オーディション用の写真を撮りに原宿に行ったら、そこでスカウトしていただいて。じゃあやってみようかと。
—何かやりたいことがあると、主張してきたタイプですか?
習い事はいろいろさせてもらっていたので、そうなのかもしれないですね。親に言われて習っていたものもいくつかあるんですけど、基本的には、「自分の好きなこと、続けられることを見つけなさい」と言われていました。
—すてきな教育方針ですね。
芸能関係のお仕事を始めるというときも、「やりたいならやってみたらいいんじゃない? その代わり絶対すぐに止めちゃ駄目、続けられるなら」と言われて。でも、子どもだから最初はなんでも続けられると思ってるじゃないですか。それで、やってみたら続いたっていう。
—いつ頃から意識的に女優業をしたいと思うようになったんでしょうか。
小学生のときには習い事の範囲を越えていなかったですし、将来のことも全く考えていなかったんです。14歳で映画『陽だまりの彼女』に出演させていただいたときに、お芝居をやりたいって自分から思うようになったんですよね。
—それはまたどうして?
初めての映画で、私、本当に何もできなくて。それに対して三木孝浩監督が親身にいろんなことを教えてくださったし、悩むきっかけをくれたんです。悩み始めたらわかんないだらけだから、本当にご飯を食べられないくらい追いつめられたんですけど、終わってみたら楽しかったし、お芝居ってこういうことかと当時の自分なりに思って、次への意欲も湧いて興味も出てきて。その後の進路を考えるタイミングでも、お仕事を辞めるという選択肢はなかったですね。
—ほかの同級生みたいに自由に遊べないことに不満はなかったですか?
やりたくてやってるし、楽しいからいいやという感じでした。「高校時代は、一生に一度しかない」ってよく言いますけど、確かにそうだけど、その時期にできるお仕事も一生に一度しかないのでどちらもできれば一番いいなと思ってました。
—女優をしながら大学に進学もしようと決めた具体的な理由はあるんでしょうか?
普通に大学ってどんなところなんだろう?と。行かなかったら、一生どんなところかがわからないままなのかなぁと。じゃあ、勉強もそこまで嫌いじゃないし、学ぶことに対して興味があったし、トータルで考えてこの分野なら4年間続けられるという自分のなかでの見通しもできたので、受験してみようかなと思ったんです。
—自分のことを大人びているなと思ったりしますか?
よく言われますね。自分では、最初のうちの人見知りをしているときは大人びて見えるんだろうなと思ってます。
—人見知りなんですか?
はい。客観的に周りを見ようと思ってるから落ち着いた面もあるとは思うんですけど、実際は全然19歳らしいです。10歳から仕事をしてきた大人の視点の自分はいるけど、そうでない自分もいて。元気なときは自分で、「まぁまぁ」とこらえることができるんですけど、少々疲れてくると難しかったりもしますし(笑)。友達や家族の前ではけっこう子どもだと思います。
—じゃあ、葵さんが憧れる人ってどんな人ですか?
気を配れる人。気を遣うんじゃなくて、気を配れる。言い方の差かもしれないですけど、気を遣うだと自分の気も減ってしまう気がするけど、気を配るだとアンパンマンみたいにスライムみたいにプラスαで与えられるみたいな印象があるので。
—朝ドラの3度目のオーディションで『わろてんか』のヒロイン役に選ばれたそうですが、朝ドラへの思い入れは強かったんでしょうか。
他の方はどうかはわからないんですが、私にとっては、朝ドラのオーディションは毎年恒例で受けるものみたいな感じだったんです。この時期になったら、オーディションシートをいただいて書いて出して受けてという。今年もそんな時期かと受けてみたらヒロインに決まって、「え! そんなこと本当にあるんだ!」じゃないけど、それくらい信じられなかった。一番自分がびっくりしたと思います。
—現実感がなかった?
朝ドラ自体に出ることが初めてだったので、どんなものになるのかもわからなくて。でも、撮影に入る前から「大変だ」っていろんな方に言われて(笑)、でもどう大変なのかもイメージできないし、わからないことだらけで、だからこそ不安はあったんですけど、漠然と大丈夫と思ってました。始まってから、「大変だ」の意味が現実的にわかってきました(笑)。
—具体的にはどんなところが?
1日でこんなに座る時間がないとは思わなかったですね。自分から「待ってください」と言わないと飲み物すら飲めない。こんなに走り続ける感じで撮るものなんだと思いました。あとは、てんちゃんという人生を生きるということは、てんちゃんの背負ってるものを背負わなきゃいけない。でも、私は葵わかなでもあるから、2人分を背負わなきゃいけないっていう。
—確かに、そうですよね。
楽しいんだけど、しんどいなと思うときもありますし。大人にならなくてはいけないな、という部分もたくさんあります。それと、私が笑っていること、疲れて落ち込んでいることが、どう影響をもたらすのかということもすごく感じるようになりました。思ったときに思ったことができないという不自由さはありつつも、その分それだけ自分を見てもらえているということだし、愛があるからこそという幸せも実感してます。
—揉まれながら大人になっているんですね。
そうですね。共演者の方々も同世代があまりいなくて先輩ばかりなんですけど、みなさんすごく素敵で。力の差を感じて焦ることばかりですが、そういう環境に置かれていることはとてもありがたいです。自分ができないことに気づいて、今度はこうしてみようと挑戦して、またできないことに気づいて挑戦してという試行錯誤ができるんです、10ヵ月もあると。全151話なので。全何シーンあるのかは、計算したくないですが(笑)。
—なかなかない経験ですもんね。10ヵ月間も同じ役を生きるって。
はい。大変なこともありますけど、19歳でヒロインをやらせていただくことも、すごくありがたくて。私自身も成長途中で、子どもと大人の間で、わりと複雑なんです(笑)。そんな時期だからこそ、大人になってからだと吸収しづらいことも全部余すことなく取り込めるんじゃないかと。でも、こんな真面目なこと言ってますけど、お話自体はコメディなので、笑っていただけたらうれしいなと思っています。
<プロフィール>
1998年6月30日生まれ、神奈川県出身。2009年にスカウトされ、女優デビュー。同年、日本テレビ系「サムライ・ハイスクール」に出演。主な出演映画「陽だまりの彼女」(15)で上野樹里扮するヒロインの中学時代を演じる。主な出演作に映画『くちびるに歌を』(15)、『サバイバルファミリー』(16)、『逆光の頃』(17)など。NHK連続テレビ小説「わろてんか」のヒロインオーディションでは、2378名の候補者の中から選ばれた。今後の公開待機作に、2018年1月20日(土)より新潟先行ロードショー、1月27日(土)より有楽町スバル座ほか全国ロードショーの『ミッドナイト・バス』(18)がある。10代最後となる等身大の姿が写し出された、オフィシャルカレンダー「葵わかな オフィシャルカレンダー2018」が12月7日より発売。
カレンダー情報 | |
タイトル | 葵わかなオフィシャルカレンダー2018 |
発売日 | 2017年12月7日 |
価格 | 2,000円+税(税込2,160円) |
サイズ | B6判 卓上ケース入り |
ページ数 | 14枚 |
発行 | SDP |
HP | http://www.stardustpictures.co.jp/book/2017/wakana2018.html |
問い合わせ先
ユナイテッドアローズ 原宿本店 (セシルバンセン) 03-3479- 8180
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