Shioli Kutsuna
Shioli Kutsuna

世界へと扉を開く女優、忽那汐里インタビュー

Shioli Kutsuna

Photographer: Chikashi Suzuki
Stylist: Shotaro Yamaguchi at eightpeace
Hair & Makeup: ITSUKI at UM
Writer: Tomoko Ogawa

Portraits/

作品という世界の外では年齢よりも少し大人びたようなクールな表情を見せる25歳の女優・忽那汐里だが、スクリーンの上では真逆と言えるほどの小悪魔キャラから背中一面に刺青を入れたヒロインまでを堂々と演じ分けている。最新出演作『オー・ルーシー!』(公開中)では、寺島しのぶ扮する主人公・節子が狂い咲くきっかけになる、破天荒な姪の美花役を熱演。ハリウッドデビュー作となったNetflixオリジナル映画『アウトサイダー』(17)に続き、R指定ながらカルト的人気を誇るマーベルコミック映画の続編 『デッドプール2』(6月1日公開中)にも出演を果たした彼女だが、すべてはオーディションで自ら勝ち取った彼女にしかできない役だ。日本を拠点にしながら、世界へ扉を開いている彼女に、出演作について、ファッションについて、最近思うことについて話を訊いた。

世界へと扉を開く女優、忽那汐里インタビュー

シャツ ¥59,000、スカート ¥89,000、全て TOGA (トーガ) | Photo by Chikashi Suzuki

シャツ ¥59,000、スカート ¥89,000、全て TOGA (トーガ) | Photo by Chikashi Suzuki

作品という世界の外では年齢よりも少し大人びたようなクールな表情を見せる25歳の女優・忽那汐里だが、スクリーンの上では真逆と言えるほどの小悪魔キャラから背中一面に刺青を入れたヒロインまでを堂々と演じ分けている。最新出演作『オー・ルーシー!』(公開中)では、寺島しのぶ扮する主人公・節子が狂い咲くきっかけになる、破天荒な姪の美花役を熱演。ハリウッドデビュー作となったNetflixオリジナル映画『アウトサイダー』(17)に続き、R指定ながらカルト的人気を誇るマーベルコミック映画の続編 『デッドプール2』(6月1日公開中)にも出演を果たした彼女だが、すべてはオーディションで自ら勝ち取った彼女にしかできない役だ。日本を拠点にしながら、世界へ扉を開いている彼女に、出演作について、ファッションについて、最近思うことについて話を訊いた。

—忽那さんは、現在公開中の映画『オー・ルーシー!』に出演されていますが、どういったきっかけで参加することになったのでしょうか?

同名のショートフィルムの長編を作るということで、早い段階で、平柳敦子監督とは顔合わせしていたんですけど、私が演じた活発な役柄の美花は、「オーディションをして探します」という話になって、だったら1回見てもらいたいとオーディションしてもらって、決まりました。

—平柳監督とお仕事されていかがでした?

彼女は日本生まれ日本育ちで、映画をアメリカで勉強した監督であり、お母さんでもあるんですけど、妥協を全くしないタイプの方でしたね。寄り道もせず、違うと思ったらハッキリ「それは要らない」と容赦しない。長編初監督なのに、こんなに肝の据わった女性監督はそんなにいないと思います。みんなを引っ張ってくださって。私、映画では、女性の監督と仕事したことがなかったので、面白かったですね。

—ウーマン・パワーを感じられる現場だったんですね。

撮影監督が、実力もある若いメキシコ人の女性(パウラ・ウイドブロ)だったんですが、彼女も自分が撮りたい絵やアングルをはっきり提示してくるし、お互い強い女性同士が主張をし合うという現場も面白くて。

 

『オー・ルーシー!』

—混乱した40代の女性が主人公の物語ですけど、自分をさらけ出して暴走してもいいんだよと言われているような気持ちになる作品でした。

主人公は独身で、毎日ただ1日の終わりを迎える生活をしていたけれど、あるきっかけで急に予想もしてなかった別の可能性が見えてくる。誰でも一歩踏み出して新しい環境に行きたいというのは、どこかにある感情だと思うんです。彼女の場合は、いろいろ上手くいかなかないことが続きますけど、それでも自分が望んで決めたことに損はないというようなことをブラックコメディだけどポジティブに伝えたいという思いが込められた映画ですよね。

—暴走した経験ってありますか?

うーん、結局、自分の好奇心に嘘が全くつけないなとは思います。日本に来るまでは、ずっと私はオーストラリアにいるものだと思ってましたし。でも、選択に迫られたときって、選択をしない理由がなくなっちゃうんですよね。私はだいたいリスキーなほうを選んじゃうんですけど。

—リスキーだという自覚はあるんですか?

あります。いつも一か八かです。

 

『デッドプール2』© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved

—6月1日に、出演作『デッドプール2』が公開されましたが、現場はいかがでした?

私は4~5回に分けてロスに撮影に行っていたので、その都度の滞在はそんなに長くなかったんです。でも、役が出来上がっていくまでのプロセスが普通のスタンダードな映画とはあまりにも違って、その贅沢さは正直感じましたね。なかなか時間がタイトなものが多いので。やっぱり、異国に行って右も左もわからない状況で始めていく感じは、緊張もしますけど楽しいですね。ワクワクする。

—忽那さんは、日本にいるときが一番ホーム感があるんですか?

ありますよ。もう11~12年目日本にいますし。ベースと感覚は14歳までいたオーストラリアにありますけど、だんだん向こうの日々の生活の記憶は薄れてきていて、逆にアメリカに行くとすごく外国にいる感覚がしたりして、それはそれで新鮮ですね。だから、長いこと海外に行っていると、日本に帰ってきたなぁという感じはします。

—オーディションを受けて、監督と対等にコミュニケーションを取れる現場で演じるというシステムが一番しっくりきているんでしょうか?

そうですね。オーディションのフェアな感じが私は好きですね。役に一番合った人がキャスティングされていきますし、本来ならそれが自然な形なのかなって。

© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

—忽那さんは、きちんと自分で選択しているなということが伝わってくる女優さんだと思います。

自分のペースを掴むのに時間がかかりましたけど、どんなことでも経験すると慣れてくるじゃないですか。私はずっと女優をやっていくんだろうなと思っていたので、いろんなものが見えてきた段階で、結局自分は本当に何をしたいのか、自分のために道を作ってあげないといけないなと思って。表に出る側として、自分の道を誘導していくのも仕事の一つかなと。その結果、今は「脳みそが一番健康な状態」と自信を持って言えますね。もちろん心配事やストレスはありますけど、潤ってる、満たされると思います。

—それはすばらしいことだと思います。今回は「THE LOOK」で TOGA を着ていただいていますが、TOGA にはどんな印象がありますか?

説明しにくいんですが、ドレッシーで外に着ていける服なんだけど、カジュアルな要素が必ずあるという何とも言えないバランスの印象がありますね。いろんな要素が必ずあって、女性らしいんだけど強い、柔らかくは決してないという感じ。

シャツ ¥59,000、スカート ¥89,000、全て TOGA (トーガ) | Photo by Chikashi Suzuki

シャツ ¥59,000、スカート ¥89,000、全て TOGA (トーガ) | Photo by Chikashi Suzuki

—ファッションは作り手のメッセージを代弁するものでもあると思いますが、忽那さんは洋服を選ぶことにはどんな意識をしていますか?

衣装も私生活も含めて、洋服選びはすごく大事だと思っています。先日、ディナーの席でそういう話になったんです。日本は、映画や役者とファッションが離れた位置にあるというか、外国に比べると映画の中にファッションを取り入れてアイコンにしていったりという一体化があまりない。でも表に出る仕事なので、その二つが一体であることは大事だと思いますね。

—どういうスタイルが個人的にはお好きなんですか?

クラシックもヴィンテージも好きですし、ストリートも好きです。でも、70年~最近までのヴィンテージが一番好きかな。自分のワードローブに多いですね。

—ファッションからインスピレーションを得ることはあります?

私がヴィンテージを好きな理由も、結局、今まで残ってきたということは誰かがそれに愛着を持って、インスピレーション源になってきたものだからだと思うんです。現代のものでも、洋服はやっぱり気持ちを作ってくれるものですし、人に印象を与える大きな表現だと思いますね。

—今、興味のあるフォトグラファーはいますか?

最近知ったばかりの方なんですけど、何なんだこのパンクな写真家はって思ったのが、LES KRIMS という人。パンクというか、人の創造したものは必ず写真で表現できる、全部パロディだって彼は言っているんですよね。際どい作品も多いんですけど、面白いなって。

—今回撮影してくれている鈴木親さんの被写体には何度かなっていらっしゃいますが、親さんの写真の印象は?

親さんの写真って、クレジット見なくてもわかるというか、変わらないスタイルでずっとやってきていらっしゃいますよね。それこそ、ほとんどメイクもしていないのに、匂いまで伝わるような感じがある。被写体になっている方達も、親さんの写真で見る顔は別格に艶っぽいんですよね。誰を見ても、親さんが初めて撮った方の表情には、いつも驚かされます。

ドレス ¥131,000、TOGA (トーガ) | Photo by Chikashi Suzuki

ドレス ¥131,000、TOGA (トーガ) | Photo by Chikashi Suzuki

—最近、よく考えていることについて教えてください。

趣味についてですかね。何もしないのが不得意な性格で、ちょくちょく新しいこと試しています。例えばゴルフ、陶芸、編み物、読書とか。今ちょうど読んでいるのは、フランク・ハーバートの洋書『DUNE』なんですけど、1800ページくらいあるので、なかなか進まなくて(笑)。有名な本だけどあまりにも長いからどうしようと思いつつ、今は時間があるからと思って読み始めたところです。

—最後に、最近ハマっていることはありますか?

何だろう、植物かな。ジャングルとまではいかないけど、一応見渡す限りはどの角度にも植物を置いてますね。それと、今までは半信半疑だったんですけど、最近マインドフルネス瞑想をしていて。忘れちゃう日もありますけど。大手企業やNBAなどでも導入されて、効果も科学的にデータで立証されていますし、割と一般的になってきていますよね。オーディション前や、気持ちが苛立っているときにはいいし、効果があるから続けられているんだと思います。

<プロフィール>
忽那汐里(くつな しおり)
1992 年生まれ。オーストラリア出身。2006 年 8 月「第 11 回全日本国民的美少女コンテスト」審査員特別賞受賞。09 年、映画『守護天使』で映画デビュー、女優として、数多くの映画作品、テレビドラマで活躍し、11 年「第 85 回キネマ旬報」新人女優賞、14 年には「第 37 回日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞するなど、演技力も高く評価されている。Netflixオリジナル映画『アウトサイダー』(17)にヒロイン役として出演し、 日米合作映画『オー・ルーシー!』(18)、『デッドプール2』(18)にも出演。日本だけでなく、海外へと活躍の幅を広げている。

【問い合わせ先】
トーガ原宿店 (TOGA) 03-6419-8136
HP: www.toga.jp

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