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新たな扉を開いたマルチアーティスト、ベッキーインタビュー

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Photographer: Hiroki Watanabe
Stylist: Riku Oshima
Hair&Makeup: KATO
Writer: Mariko Uramoto

Portraits/

今の生き方を「第二章の人生」と呼ぶ、タレント・女優のベッキー。今、ファッションや演劇、アートなど表現の枠を超えて活動の場を広げている。彼女は、どんな思いで日々を過ごしているのだろう。

新たな扉を開いたマルチアーティスト、ベッキーインタビュー

ワンピース ¥28,000、キャミソール ¥19,000、全て KOTONA (コトナ) | ピアス ¥20,000、リング(右手人差し指) *参考商品、リング(右手中指) ¥21,000、リング(左手小指) ¥12,000、ブレスレット ¥29,000、全て moil (モイル)

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今の生き方を「第二章の人生」と呼ぶ、タレント・女優のベッキー。今、ファッションや演劇、アートなど表現の枠を超えて活動の場を広げている。彼女は、どんな思いで日々を過ごしているのだろう。

—ここ最近はアート制作に力を入れているそうですね。絵を描き始めるきっかけは?

もともと絵はずっと描いてたんです。十数年くらい。ただ、洋服とかグッズのデザインに近かったので、絵自体を作品として残すということがなかったんですよね。昨年、放送作家の高須光聖さんのアートプロジェクトでオファーがあって、そのとき初めて挑戦したんです。

—どのような作品を作ったんですか?

「100人が見たうちの3人の心に刺さるテディベア」というお題だったので、愛くるしいテディベアの首がシュッと長くなっているものを作りました(笑)。これがアートデビューですね。作ってみたら、「アートってこんなに自由でいいんだ。もしかしたら一番自分らしさが出せるんじゃないか」って気づいてしまった。作品を見た野性爆弾のくっきーが「めっちゃおもろいやん」って言ってくれて、理解してくれる人がいるとわかったのも嬉しかったですね。テディベアのような造形物を作り続けるのは難しいけど、もともと絵が好きだったから描いてみようかなって。キャンパスとアクリル絵の具を買って、描き始めた瞬間に「見つけた、これだ」って。

—「見つけた」というのは?

テレビ番組はある程度の進行や内容は決まっていますが、絵は「こういうの描いて」って言われないし、すべて自分発信だから。こんなに100%自分で居られる場所があるんだって発見だったんです。

—今、ベッキーさんにとって絵を描く時間はどういうものですか。

自由を感じられる時間ですね。なんかこう、空を羽ばたける感じ。キャンパスに絵筆をスーッと運ぶのが、羽を広げてスーッと飛んでいる感じに近いんです。とにかく心地よくて。正直、仕事は窮屈なこともあるじゃないですか。特に私の仕事は人からジャッジされることが多いので、番組の趣旨に合っていないとNGだし、誰かを傷つける発言をしてもいけない。でも、アートには正解、不正解がない。もちろん人によって好き嫌いはあるけれど、正解は求められない。そのジャッジがない環境がものすごく居心地がいいなと思います。

—絵の制作と合わせて、ファッションの世界でも活躍されていますね。ファッション誌でたびたび「このモデルは誰だろう」と思ってクレジットを見たら、ベッキーさんだったということがあって驚くんです。昔から画面を通じて知っているはずなのに、こんな表情もされるのかと。

ありがたいことにファッションのお仕事も増えています。たぶん、2年前に髪をばっさり切ったことがきっかけになったのかなと。イメージが変わったこともあると思うんですが、私自身、決まったメイクさん、スタイリストさんだけにお願いしていたのをやめて、いろんな方ともお仕事をしようと思うようになりました。これまでずっとベッキールールというものを自分に課していて、あらかじめ決まったメイクやスタイルがあったんです。でも、ファッションの仕事をするなら、いろんな表情を見せる必要があるし、いろんな方の力を借りてそれを引き出してもらわないといけないわけだから、自分がルールに縛られていたらいけないなって。それをやめたら「新鮮だね」、「ベッキーじゃないみたいだね」って言われることが増えて。『The Fashion Post』の Emporio Armani (エンポリオ アルマーニ) の撮影もわりと自由にしていただきました。

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—現場で決めることも多かったそうですが、クリエイターたちもやりがいがあったようです。

私もすごく楽しかったです。これまでは、自分でベッキーを守ってたんですよね。ルールの中にいた。でも、ファッションの仕事をするときにそれは必要ない。そういう意識を持ち始めたのって正直、遅いくらいですけど。

—プライベートのファッションにルールはありますか?

ふだんは直感で服を選ぶことがほとんどでルールはないですね。「私はこう」と決めすぎない。女性らしいファッションをする時もあるし、派手なスタイルを楽しむこともあります。

—メイクのこだわりはどうでしょうか?

ふだんはあまりお化粧しないんです。ファンデーションも塗らないですね。すっぴんとの差をあまり作りたくなくて。ファッションのお仕事のときにたまに全然メイクをしないこともあるので、その時に「誰だこれ?」ってなるのが嫌で(笑)。

—お休みの日はどのように過ごしていますか?

家にいるときは朝ごはんを作って、掃除をして、夜ご飯の買い物にいって、絵を少し描いて、夜ご飯の支度をする。普通の生活です。でも、外出するって決めたら結構アクティブかもしれない。山登りをしたり、葉山の海にいったり。

—山登りされるんですね。意外でした。

でも私、山登りするときは高尾山か富士山の二択しかないんです(笑)。その中間の山に行ったことがなくて。今度は富士山が見える山に登ってみるのもいいなと思っています。

—山登りの好きなところはどんなところですか?

自分とひたすら向き合うことかな。「苦しいな、しんどいな」って思っていても、自分はここまで頑張れるんだって気づきがある。大げさかもしれないけど、人生にも似ているなって。あとは一緒に行った人の人間性もわかる(笑)。

—たしかに。本当にきつい時、人って本性が出ますよね(笑)。

すごく素直な人もいるし、全然アドバイス聞いてくれないなっていう人もいる。本当によくわかります(笑)。

—料理は毎日されているんですか。

基本1日2食は作ります。それまでは全然作ったことがなかったんですよ。2年ぐらい前にちゃんと料理をしようと思って、本とか料理番組を見ながら、少しずつ勉強しています。将来結婚するんだったら、料理は担当したいなと思ってて。

—どうですか、料理やってみて。

自分の中で波がありますね。すごく楽しいときもあるし、何を作っていいのかわからなくなることもある。私、好きな言葉で「料理は追われると辛い。追うと楽しい」というのがあって、本当にそうだなと思うんです。自分で料理を作るようになる前は、「何を作っていいのかわからなくて困る」って気持ちが理解できなかった。メニューなんて無数にあるじゃないって。でも、今はものすごくわかる。だから、手書きのレシピノートにもその言葉を書いて、料理が苦しくなったら見るようにしています(笑)。

—仕事のときに大事にしている言葉や、気合いを入れるための儀式みたいなものはありますか?

必ず、楽屋で集中して気持ちを作ります。集中しすぎて、楽屋をピリつかせることもあるくらい(笑)。どんなに楽しいバラエティのときでもそうですね。私に与えられたポジションとか番組の方向性があるから、それをきちんと自分の中で整理して、気持ちを作ってからスタジオに入る。スタジオに入ったあとは、楽しもうって気持ちだけなんですけど。

ワンピース ¥28,000、キャミソール ¥19,000、全て KOTONA (コトナ) | ピアス ¥20,000、moil (モイル)

ワンピース ¥28,000、キャミソール ¥19,000、全て KOTONA (コトナ) | ピアス ¥20,000、moil (モイル)

—お芝居のときもそうですか?

もっと時間がかかりますね。特に泣きのシーンがある時は、周りの方にきちんと挨拶ができないくらい集中しているので、マネージャーさんにお願いして「今日は集中しているので、挨拶ができなくて申し訳ないです」って伝言を頼みます。不器用なんですよ。現場に行ってすぐ涙を流すってことができない。手ぶらで戦場に行ってもいいとは思うんですけど、手抜きができなくて。あ、日によっても違いますよ。5秒ぐらいで気持ちが整うこともあるし、頭の中で台本を2回ぐらい通しでリハーサルをしてやっと気持ちが作れることもある。

—そういう儀式はいつ頃からですか?

私は14歳で「おはスタ」の仕事が始まったのですが、その頃からですね。スタジオに入った瞬間に、演者もスタッフも全力で仕事をしているって察したんです。前日に恋人にフラれても、大切な人が死んでもそういう私情を持ち込まずにみんなが必死で仕事をしている。それで学びました。「全力でぶつかるんですね、わかりました」って。だから14歳のときから、プロ意識は持っていました。

—その姿勢でずっと芸能の世界に。

でも、そういう頑張りすぎちゃうところは周りを威圧することもあるなって気づいたんです。最近は、年相応に肩の力を抜いて、もっと楽な気持ちで取り組むようにしています。

—ベッキーさんは今の生き方を“第二章”と呼ばれていますが、仕事に対する気持ちの変化もそうでしょうか。

そうですね。今までと変わったのは、肩の力は抜くこと。でも、変わらないのは、手を抜かないことです。頑張りすぎると周りの人にも知らず知らずのうちに同調させてしまうから、それをやめようって。私自身楽しむことが大事だな、と。あとは、とにかく仕事第一だったのをやめて、今は生活をきちんと成立させた上で、仕事も全力で取り組むようになりました。しっかり家事をして、友人や家族、目の前の人を幸せにする。そうすると心も体もバランスがいいと気づいた。事務所には申し訳ないんですけどね。仕事のためだけに生きていたらもったいないと思うようになりました。順位をはっきりつけているわけではないけれど、まずは一人の人間として、目の前のことをきちんと自分でできるように。

—2018年は「挑戦の年」とも伺っています。その一つが一人旅だったそうですね。

一人旅行は一生やらないって決めてたんですよ。誰かと旅の思い出を共有できないなんてつまんないと思ってて。でも、今年はあえてやりたくなかったことをやろうと思って、ハンガリーに行ってきました。

—どうしてハンガリーに?

レトロな温泉がたくさんあるんですよね。主演ドラマを終えて、ホッとしたくて、温泉入るためだけにハンガリーに行くって最高のギャグだなと思って(笑)。航空券とかホテルの手配とか全部一人でやりました。

—行ってみてどうでしたか?

「一人旅、最高」って思いました。行く前は、一人ぼっちでさみしいんだろうなって思っていたけど、独り占めだったんです。景色も喜びも達成感も全部独り占め。もちろんハプニングもあって、一人で対処しなきゃいけないんですけど、その度に「自分、できるじゃん」って褒める時間が持てたのもよかったかもしれない。ふだん、仕事やプライベートで自分を褒めることないので、それも貴重な経験でした。

—9月1日からは「NEWoMan新宿」の約10mの壁面(NEWoMan ART wall.)にアート作品を展示するという新しい試みもありますね。

はい。1年ほど前に絵を描き始めて、次の目標は個展を開くことだったんです。100%自分でいられるものをやっぱり人に見てもらえたらなって。私、モットーは有言実行なので、「個展やります、2019年に」って宣言してたんです。結果的にNEWoManにご縁をいただいて前倒しになったんですが。したいことを口に出すってつくづく大事だなと思いました。

—10mという大きさにとまどいはなかったですか?

プライベートでNEWoManはよく行っていて、アートウォールのことは知っていたので、「あ、正方形の3枚の絵だな」って直感でひらめきました。今、自分の身長よりも大きい160cmの正方形のキャンパスを3枚描いています。

—絵のテーマは?

一つは、生きる喜びや嬉しいって気持ちを描きたいなと。もう一つは、NEWoManに捧げようと思っています。シーズンごとのキーカラーがあるので、それに合わせたものを作る予定です。残りの1枚は残った時間で決めようと。自分でもわからないんです、どういうものになるのか。絵じゃないものを作る可能性もあるし、キャンパスのまま飾っているかもしれない。アートのいいところは、そういう自由さがあるところですよね。なにも間違いじゃない。だから、やっちゃえって。

ワンピース ¥28,000、キャミソール ¥19,000、全て KOTONA (コトナ)

ワンピース ¥28,000、キャミソール ¥19,000、全て KOTONA (コトナ)

イベント情報
イベント名 ベッキー meets NEWoMan ART wall.
会期 9月1日(土)〜9月20日(木)
場所 東京都新宿区新宿 4−1-6
(JR 新宿駅ミライナタワー改札横のウィンドウディスプレイ、NEWoMan 2F メインエントランス前)
備考 オンラインショップ BASE にてオリジナルグッズの販売も予定。

問い合わせ先
KOTONA (コトナ) 03-6804-2309
HP: www.kotona.jp.net

moil (モイル) info.il.moil@gmail.com
HP: moil-il.com