ファッションデザイナー・Simone Rocha (シモーネ・ロシャ) インタビュー
Simone Rocha
アイルランド出身、現在ロンドンを拠点にするデザイナー Simone Rocha (シモーネ・ロシャ)。父にファッションデザイナーの John Rocha (ジョン・ロシャ) を持つファッションエリートである彼女は、同時に2010年にデビューした自身のブランドで世界中にファンを抱えている。ロマンティックでありながらどこかダーク、そしてフラジャイルでありながらリアリティをも共存させた Simone Rocha のコレクション。そのクリエイティビティとインスピレーションに迫るべく、今回 The Fashion Post は Dover Street Market Ginza (ドーバー ストリート マーケット ギンザ) の3周年を記念して特別来日した彼女とのインタビューを行った。ローンチしたばかりの2015年春夏コレクションから、目を見張るほど色鮮やかなフラワーモチーフが躍るインスタレーションスペースを前に、どこかシャイな印象で佇む彼女。その目には、燃え盛るような花々にも勝る力強いパワーがみなぎっている。
ファッションデザイナー・Simone Rocha (シモーネ・ロシャ) インタビュー
Portraits
インタビュー: 岡部 駿佑、写真: 岩野一真
アイルランド出身、現在ロンドンを拠点にするデザイナー Simone Rocha (シモーネ・ロシャ)。父にファッションデザイナーの John Rocha (ジョン・ロシャ) を持つファッションエリートである彼女は、同時に2010年にデビューした自身のブランドで世界中にファンを抱えている。ロマンティックでありながらどこかダーク、そしてフラジャイルでありながらリアリティをも共存させた Simone Rocha のコレクション。そのクリエイティビティとインスピレーションに迫るべく、今回 The Fashion Post は Dover Street Market Ginza (ドーバー ストリート マーケット ギンザ) の3周年を記念して特別来日した彼女とのインタビューを行った。ローンチしたばかりの2015年春夏コレクションから、目を見張るほど色鮮やかなフラワーモチーフが躍るインスタレーションスペースを前に、どこかシャイな印象で佇む彼女。その目には、燃え盛るような花々にも勝る力強いパワーがみなぎっている。
− 今回の来日は4回目だそうですね、日本の印象はいかがですか?
最後に東京に来たのは2年前で、今回4回目の来日になります。いつも東京に訪れる度に、この都市がいかに美しくデザインされているかということを強く印象付けられます。大都市でありながら、人工的な造形物と自然が見事に融合している。素晴らしい街だと感じます。今回の来日では京都にも訪れる予定をしているので、東京とまた違った一面を見られるのではないかと思っています。
− ちょうど桜が満開の時期なので、きっと素敵な景色が見られるはずです。
東京でも桜が咲き始めていますね。京都でもお花見が出来るのが楽しみでなりません。
- お花見といえば、ちょうど Dover Street Market Ginza (ドーバー・ストリート・マーケット・ギンザ) でローンチしたばかりの Simone Rocha (シモーヌ・ロシャ) 2015年春夏コレクションも、満開のフローラルモチーフで彩られていますね。
その通り、2015年春夏コレクションのモチーフである Mad Flower (マッド・フラワー) のインスタレーションを制作しました。今回のコレクションでは、ドイツ人コンテンポラリーダンサーの Pina Bausch (ピナ・バウシュ) にインスパイアされています。特に「World Cities」という演目で、香港をテーマに披露された彼女のダンスと言えばより分かりやすいでしょうか。演目内で披露される、アグレッシブでリアル、それでいてポエティックな躍動感を洋服に落とし込みました。アシッドカラーのフローラルモチーフは、この香港のシーンからきています。
- Simone Rocha のコレクションといえば、シアーな素材使いやフリルなどロマンティックなイメージを思い浮かべる人が多いと思います。
そうですね、服を作るうえで私はいつもパーソナルな視点を織り交ぜているので、自然とロマンスを思い浮かべているのではないでしょうか。
- コレクションを制作する際、特定の女性やミューズはいますか?
特定の女性をイメージすることはありません。ミューズといえば、実際に生活をしている女性すべてと言えばいいでしょうか。セレブリティやモデルではなく、一般的な女性が共感出来るコレクション作りを目指しています。さまざまな人種や年齢、タイプの女性をイメージしています。
- 最近のコレクションを見ると、アートシーンからの影響を強く受けているという印象があります。
今季の2015年春夏に加え、2015年秋冬コレクションでは Louise Bourgeois (ルイーズ・ブルジョワ) にインスパイアされたダークな世界観を打ち出しています。アメリカ人のアーティストの彼女は、蜘蛛をモチーフにした巨大なスカルプチュアで知られています。他には Francis Bacon (フランシス・ベーコン) は私のコレクションの中でも度々インスピレーションとして登場する、重要なアーティストです。
- 毎シーズンアーティスティックなコレクションを打ち出す一方で、先シーズンには J Brand (Jブランド) とのコラボコレクションも手がけていますね。
J Brand とのコラボレーションは、カプセルコレクションという形で秋冬と春夏の中間にあたるシーズンに発表しました。上質なデニムで知られる J Brand とのコラボレーションは、ある種私にとっての挑戦でした。これまで私は一度としてデニムという素材を使ったことがなかったので。
- 昨今、若手デザイナーと大手アパレル企業とのコラボはもはや定番となっていますね。
もちろん大手企業とのコラボすることによるメリットは大きいでしょう。しかしここで重要なのは、デザイナーによってコラボレーションに向いているかどうかということです。これはクリエイションという面だけではなく、いくつかのプロジェクトを同時に手がけることで視野の広がるデザイナーとそうでないデザイナーがいる。彼らはコラボというビジネスが自身のブランドにとってもアドバンテージとなることを分かっています。しかし私はこれまで自分のクリエイションの向上に力を注いできたので、マルチタスクには向いていないと思っています。とはいえ先の J Brand とのコラボレーションでは、自分がこれまでやったことの無い洋服、具体的にはデニムという素材を使ったコレクションを制作することで、新境地を発見出来たように感じます。
- セカンドラインやプレコレクションについてはどう思われますか?
これもまた、それぞれのデザイナーによって捉え方が異なるということを前提に置いた上で、私は Simone Rocha というブランドに専念したいと考えています。セカンドラインやプレコレクションで毎度趣向の異なるテーマを打ち出すのは大変なことだと思います。また、メインラインやメインコレクションのテーマをコマーシャルに落とし込んで売り込むというのも少し違うのでは無いかと思っています。あくまで個人的な意見ですが。
- 今後フラッグシップストアをオープンする予定はありますか?
今の時点ではフラッグシップストアをオープンするということは現実的ではありません。もっと先のことにはなると思いますが、もし単独のショップを作るとすれば、まずロンドンを選びます。拠点であるロンドンでショップを作るのは、私にとっても一つの目標でもあります。次はどこになるか、それは“サプライズ”とだけ言っておきます。