Guo Pei

アジア人クチュールデザイナー、Guo Pei (グオ・ペイ) インタビュー

Guo Pei

Portraits/

日本人で、Guo Pei (グオ・ペイ) という名を聞いてピンとくる人はどれくらいいるだろう。少なくとも、1年前まではそう多くなかったはずだ。北京で生まれ、現地のファッション学校で学んだ彼女は、卒業後すぐに国内の有名アパレルブランドにてチーフデザイナーに就任。1997年には自身のクチュールブランド Guo Pei (グオペイ) を立ち上げている。現在、アジアにおけるオートクチュールの権威でる Asian Couture Federation (アジア・クチュール・フェデレーション) にて、アジアン・クチュール・“エキストラオーディネール (並外れた)” として名誉会員登録される彼女に転機が訪れるのが、今年の3月。NY のメトロポリタン美術館にて開催された一年に一度のファッションの祭典、MET GALA (メット・ガラ) にて Rihanna (リアーナ) が着用した巨大なイエローのドレスのデザイナーとして、瞬く間に世界中にその名が知れ渡ったのだ。

アジア人クチュールデザイナー、Guo Pei (グオ・ペイ) インタビュー

Portraits

Sep 30, 2015 7:30 PM

Editor – Shunsuke Okabe

パリの Musée des Arts Décoratifs (装飾美術館) にて開催された Guo Pei のアーカイブ展より

中国の宮廷衣装を思わせる刺繍を施したゴールドのブロケードは、クチュールの技巧によって球体のような構築的なシルエットへと作り変えられる

時にシアトリカルな Guo Pei のクリエイション。Puccini (プッチーニ) の「トゥーランドット」を思わせるエンペラードレスもお手の物。

どこか悪趣味なミスマッチ感は、彼女のロマンティックなコレクションに絶妙な "毒っ気" を添えている

2年にも及んだという制作期間、そして総重量25kgということからもこの作品の圧倒的な存在感は計り知ることが出来るだろう。彼女がこれまでに発表してきた絢爛なクチュール作品は、今年の2月のパリオートクチュールファッションウィークにて開催された回顧展でも披露され、大きな反響を得ている。

モデル泣かせなスーパープラットフォームシューズも彼女のコレクションの定番アイテム

そしてこの展覧会と時を同じくして発表された、M・A・C (マック) とのコラボコレクション。架空の花をテーマにしたコレクションでは、アイシャドウパレットやリップアイテム、チーク、ブラシに至るまで、彼女の耽美的でロマンティックな世界観が凝縮された珠玉のラインナップが揃う。

今回、『The Fashion Post』は10月2日の発売に先立って独占インタビューを敢行。コラボレーションのインスピレーション、そして彼女の “エキストラオーディネール” な創造力の片鱗を覗いてみよう。

– 恐らく今までに数え切れないほど聞かれている質問だとは思いますが、今一度今年の3月に NY で開催された MET GALA にて、Rihanna が着用したドレスについて教えてもらえますか？

もちろんその質問は何度も受けてるけど、何度答えても苦じゃないわ！それほど Rihanna (リアーナ) はインスピレーションに溢れた人だもの。

実を言うと、あのドレスを着用したいと連絡があった時、彼女のことはよく知らなかったの。私の夫が取り次いでくれて、インターネットで私の事を知ったと聞いたわ。

実際着用してレッドカーペットに現れて実感したの、彼女にしかこのドレスは着れないって！だってあのドレスを発表したランウェイでは、モデルがあまりの重量に歩けなかったんだもの。

– この “事件” が起こったのが今年の3月のこと、あのドレスがもともと発表されたのは2010年。そして今回、MET GALA と時を同じくして M・A・C (マック) とのコラボレーションが発表されましたが、これら3つの出来事はすべて偶然だったのでしょうか？

信じられないかもしれないけど、偶然以外の何物でもないの。まずあのドレスは、2010年に私が発表した「1002th Night」というコレクションで披露したもの。そこから数年後に、NY のメトロポリタン美術館でファッション展覧会「China Looking Through The Glass」が開催されることが決まったの。私はアジアのオートクチュール協会の名誉会員でもあるから、このエキシビジョンにもいくつか作品を提供しているわ。そして M・A・C とのコラボレーションの話が上がったのは大体3年前。この展覧会の開催を聞く前のことね。こうして色んな偶然が度重なった後に、Rihanna とのコラボレーションが突然舞い込んできたの。まさにミラクルとしか言いようがないわね。

– アジアにおけるクチュリエの権威として確固たる地位を築いてきたあなたがビューティー分野でのコラボレーションを手がけるにあたり、どのようなイメージを思い描いたのでしょう？

基本的にはファッション、ビューティー共に共通した世界観をイメージしてるの。普段オートクチュールコレクションで制作するドレスではシルエットやファブリック、染色、刺繍などが主な要素だけど、そのプロセスをそのままコスメに反映させたのが今回のコラボコレクションね。一つ一つのプロダクトに対して、テクスチャ、シェード、発色、全体のバランスを組み立てていく。M・A・C と Guo Pei のコラボアイテムは、それぞれがクチュールドレスのようなストーリーで生み出されているの。その証拠に、パッケージには実際のファブリックを使って、普通のコスメには無いようなリュクスなデザインに仕上げているわ。デコラティブであること、花のようにエレガントであること。その世界観をコレクションから感じ取ってもらえたら嬉しいわね。