US版 『Marie Claire (マリクレール)』アクセサリーディレクター、Kyle Anderson (カイル・アンダーソン) インタビュー
Kyle Anderson
輝くブロンドヘアにミラーレンズのサングラス、そして最新の Chanel (シャネル) のバッグ。どこかのアイドルか、大富豪の息子か、はたまたロシアかどこかのファッションブロガーか。否、彼はアメリカ版『Marie Claire (マリクレール)』のアクセサリーディレクターであり、敏腕エディターの Kyle Anderson (カイル・アンダーソン)。
US版 『Marie Claire (マリクレール)』アクセサリーディレクター、Kyle Anderson (カイル・アンダーソン) インタビュー
Portraits
輝くブロンドヘアにミラーレンズのサングラス、そして最新の Chanel (シャネル) のバッグ。どこかのアイドルか、大富豪の息子か、はたまたロシアかどこかのファッションブロガーか。否、彼はアメリカ版『Marie Claire (マリクレール)』のアクセサリーディレクターであり、敏腕エディターの Kyle Anderson (カイル・アンダーソン)。
その華やかなルックスで、ファッションウィークのストリートスナップの常連として、またソーシャルメディアアイコンとしても知られる彼の手にかかれば、ラグジュアリーブランドのバッグやシューズはたちまち崇高なアートへと姿を変える。ある時はポエティックに、またある時にはコミカルに、そしてある息をのむほどドラマティックに表現される彼のアクセサリー・エディトリアル。何故彼はラグジュアリーブランドにこだわるのか、そして何故私たちは美しいアクセサリーに魅せられるのか。その秘密を、彼の言葉、そして “Best Caprured (最も上手く捉えられた)” 10枚の写真と共に解き明かす。
「僕がスティルライフ (物撮り) が好きな理由、それはラグジュアリーブランドのアイテムを使っていかに楽しく、いかにクリエイティブであるかということを写真で表現出来るから。実際『Marie Claire』の読者はスマートでクリエイティブなものに魅力を感じてくれる人が多い。動かない “物体” にいかにストーリーをもたらし、いかに楽しくて驚きのあるビジュアルを作ることが出来るか。そしてそれら全ては、完全無欠なまでに美しくなくてはならない。ここで生まれるクリエイティブな思考工程が好きなんだ。有名ブランドのデザイナーですら驚きのコメントをくれることがある。彼らの作ったバッグがこんなビジュアルになるとは想像もしてなかった、と。これこそ僕たちの仕事のやりがいに他ならないね。今回は『Marie Claire』でこれまでに掲載してきたアクセサリーエディトリアルから、特に気に入っている10のビジュアルをピックアップしたよ。来シーズン2016年春夏のあのブランドのバッグはどんな写真になるのか、次号を期待して欲しいな。」− Kyle Anderson (『Marie Claire』マーケット&アクセサリーディレクター)
1「David Yurman diamond pave rings on circuit boards」David Yurman (デヴィッド・ヤーマン) ダイヤモンドリング
「ジオメトリックなパヴェダイヤモンドの配置が美しいリングは David Yurman (デヴィッド・ヤーマン) のもの。ダイヤモンドの中には、ブラックライトを当てると光るタイプのものがある。その特性に着想を得たこのリングは、絵文字をモチーフにしたユニークなデザインが気に入っている。このデザインを最大限魅力的に見せるために僕が思いついたのが、電子回路。この撮影では、リングのサイズに合わせて特注の電子回路を作った。だからこの撮影は、構想を含め何ヶ月もの歳月を要したよ。そうして出来上がった写真は、まるで合成したかのように見えるけど、実はこれは全て一発勝負なんだ。」(2015年12月号に掲載)
2「Alexander Wang platform wedge hiking boot」Alexander Wang (アレキサンダー・ワン) プラットフォームブーツ
「型押しのパテントレザーがパンクムード満載の Alexander Wang の無骨なフォルムと同化するようなプロップ (小道具) は、実はハイキングとスキーの用具。このシーズンはパンクとハイキングという相反するテイストがトレンドだったから、双方の共通点を一枚の写真で表現したんだ。」(2015年9月号に掲載)
3「Alexander Wang boots with fish」Alexander Wangカーフレザーブーツ
「この撮影をしたのは、2年前の3月に行われた2014-15年秋冬パリ ファッションウィークの直後。Chanel (シャネル) のショーでスーパーマーケットをテーマにした壮大なコレクションを見て感化された僕たちが思いついたのは、とことんリアルなグローサリー。これ以降、スーパーマーケットに行く度にこの撮影のことを思い出しちゃうんだ。あの魚の匂いとかね。」(2014年9月号に掲載)
4「Dior platform pump on blades」Dior (ディオール) プラットフォームパンプス
「このシーズンは特にユニークなデザインのシューズが揃ったんだ。特に強く惹かれたのが、インダストリアルなディティール。こうして出来上がったのが、ユニークなスニーカーソールを歯車のパーツに見立てたこのビジュアル。」(2014年9月号に掲載)
5「Loewe bag and action figure」Loewe (ロエベ) 「Puzzle (パズル)」バッグ
「このシーズン僕の中では明確なテーマがあった。80年代から90年代にかけての東京。ただフューチャリスティックなだけでなく、どこかレトロな趣も残す色合いが印象的なアクセサリーが多く発表されたシーズン。その世界観に忠実に作り上げたのが、オモチャとラグジュアリーブランドのアイテムを組み合わせたストーリーなんだ。中でも日本語のモチーフを大胆にあしらった Loewe の「Puzzle」バッグはこれ以上ないほどピッタリなシチュエーションだね。」(2015年11月号に掲載)
6「Gianvito Rossi silver boot on lipgloss」Gianvito Rossi (ジャンヴィト・ロッシ) シルバーアンクルブーツ
「この写真が掲載されたのは、ちょうどホリデーシーズン真っ盛りの12月号。アメリカではニューイヤーに盛大なパーティーで祝うのが通例だから、華やかなビジュアルにしたかった。普通パーティールックというとキラキラしたグリッターを思い浮かべるけど、僕がイメージするニューヨーカーはスリークなメタリックの方が似合うと感じたんだ。いつもと違う鮮やかなリップスティックに挑戦するように、メタリックのアクセサリーでスタイリッシュなパーティールックを演出したかった。」(2014年12月号に掲載)
7「Diamond BVLGARI necklace with rabbits」BVLGARI (ブルガリ) ダイヤモンド ハイジュエリー ネックレス
「ただでさえ存在感たっぷりのハイジュエリー。そこに何かユニークな遊び心を効かせたかったんだ。キュートでプレイフル。その世界観を表現するために、それぞれのジュエリーと小さなペットを戯れさせたんだ。メゾンのアイコンである「Serpenti (セルペンティ)」のヘビモチーフとラビット。予想だにしない組み合わせに、フォトグラファーも驚いていたよ。」(2014年12月号に掲載)
8「Louis Vuitton bag on Sand Art」Louis Vuitton (ルイ・ヴィトン) パッチワークレザーバッグ
「クリエイションの源には、幼いころの思い出から着想を得たものも少なくない。その中の一つが、様々な色の砂を使って遊ぶサンドアート。でもいざ撮影をしてみるとこれがなかなか難しい。最初は水槽を砂で満たしてバッグを浮かべたかったんだけど上手くいかなかった。最終的に、平面で並べるのが一番美しいと判断したんだ。丁寧に敷き詰めた砂が、撮影の時に少し崩れてバッグにかかってしまった。でもそれが良かった。砂の表情豊かなテクスチャーとバッグが一体化したような、ポエティックな画に仕上がったよ。」(2015年2月号に掲載)
9「Ralph Lauren watch on boys military toys」Ralph Lauren (ラルフ・ローレン) タイムピース
「ミリタリーテイストのタイムピースに合わせてアーミーストーリーにしたかったんだ。ここで気をつけなければいけないのが、ご存知の通りアメリカは軍社会ということ。読者の中にはアーミーを彷彿とさせるイメージを快く思わない人もいる。彼らにとっても理解しやすく、なおかつギリギリのところで挑発的なメッセージを込めたのがこの写真。熟考の甲斐あって、このストーリーは大いに反響があったよ。」(2015年3月号に掲載)
10「Multi-colored Loewe woven bag on colorful string」Loewe 編み込みレザーバッグ
「メッセージはシンプル、グラフィカルでカラフル。色鮮やかなレザーを編み込んだバッグの生き生きとした表情を引き出すために、幾多もの糸を敷き詰めたんだ。」(2015年3月号に掲載)
ランウェイのトレンド動向を常に見てきた Kyle Anderson (カイル・アンダーソン)。今買うべきバッグは?シューズは何を履けばいいの?ジュエリーは?春夏コレクションの本格的な立ち上がりを前に、今一度トレンドのアクセサリー術をおさらい。ようこそ、ファビュラスなランウェイアクセサリーの世界へ。
「アクセサリーは自分の個性を表現する最大の武器、これが僕のモットー。洋服みたいにサイジングを気にしたり、バランスを取ったりする心配もない。ファビュラスなアクセサリーはそれだけでスタイリングをグレードアップしてくれるんだ。まだまだ寒いけど、暖かい春はすぐそこ。2016年春夏のランウェイアクセサリーから、注目のトレンドを振り返ってみよう。
まずシューズで気になったディティールは、何と言ってもフラット。10年前、いや5年前でも考えられなかったはずだよ。ランウェイを歩くモデルの足元がフラットシューズだなんて。中でもリラックスした今季のムードを体現するスタイルといえば、コンフォートサンダル。もはや定番になりつつフラットのコンフォートシューズも、Fendi (フェンディ) や Versace (ヴェルサーチ) の手にかかればエッジの効いた足元を演出することが出来るんだ。その他に注目のシューズといえば、ポインテッドトゥのチャンキーヒール。Prada (プラダ) や Proenza Schouler (プロエンザ・スクーラー)、Valentino (ヴァレンティノ) など様々なブランドがエレガントなポインテッドトゥで春夏のスタイリングをフェミニンに仕上げていたね。それでもヒールは必須、というファッション玄人にオススメなのがユニークなデザインのプラットフォームシューズ。ただ高いだけでなく、ひねりの加わったデザインこそ春夏に相応しい。
ランウェイで僕がいつも目を光らせているのが、バッグ。今季2016年春夏では特に2つのキーワードをトレンドとして注目している。一つめはヴィンテージモチーフ。Gucci (グッチ) や Chloé (クロエ) に代表されるようなロマンティックなギークシックなスタイリングには、ゴールド金具やパッチワーク、フリンジなどどこか懐かしいディティールのバッグがうってつけだね。もう一つのバッグトレンドとして注目しているのが、フューチャリスティック。Chanel (シャネル)、Dior (ディオール)、Loewe (ロエベ)、その他にも様々なブランドがシマーなメタリックシェードのバッグで涼しげな春夏スタイルを演出していがのが印象的だったな。
最後に、ジュエリー無くしてスタイリングは完成しない。春夏何と言っても取り入れるべきは、ビッグイヤリング。トレンドセッターの間ではすでに定番となっているステートメントジュエリーだけど、中でも Prada (プラダ) や EMILIO PUCCI (エミリオ・プッチ) が提案する大振りのイヤリングは、それ一つでインパクトを演出してくれる逸品。首回りのジュエリー使いで挑戦したいのは、チョーカー。Dior (ディオール) のようにスカーフとレイヤーしてアレンジしてみてもエレガントなんじゃないかな。そしてこれは知り合いのエディターたちの間でよく話題に上がるんだけど、ここ最近ずっとトレンドとして注目されているリングのレイヤー術は今季マストで習得したいね。Gucci (グッチ) みたいに何でもありのユニークなスタイリングなんか最高だね。
今挙げたアクセサリーは、何も全身ランウェイルックに合わせなきゃいけないなんてものじゃない。いつもの装いに取り入れるだけで一気にトレンド感を演出出来るうえ、身につけているだけで気分が上がるものばかりなんだ。」− Kyle Anderson (『Marie Claire』マーケット&アクセサリーディレクター)
Confort Sandals
Pointed Toes
Platforms
Vintage Finishing
Futuristic
Statement Earrings
Choker Necklace
Multi Layered Rings
問い合わせ先
エミリオ・プッチ ジャパン 03-5410-8992/HP: www.emiliopucci.com
グッチ グッチ ジャパン カスタマーサービス 0120-88-1921/HP: www.gucci.com
クリスチャン ディオール 0120-02-1947/HP: www.dior.com
クロエ カスタマーリレーションズ 03-4335-1750/HP: www.chloe.com
コーチ・カスタマーサービス・ジャパン 0120-556-750/HP: japan.coach.com
シャネル (ファッション) 0120-525-195/www.chanel.com
ブルーベル・ジャパン (ファッション事業本部) (ジュゼッペ・ザノッティ ・デザイン)03-5413-1050/HP: www.giuseppezanottidesign.com
TOM FORD JAPAN 03-5466-1123 HP: http://www.tomford.com
ヴェルサーチ ジャパン 03-3569-1611/HP: www.versace.com
フェンディ ジャパン 03-3514-6187/HP: www.fendi.com
プラダ ジャパンカスタマーリレーションズ (プラダ) 0120-559-914/HP: www.prada.com
プラダ ジャパンカスタマーリレーションズ (ミュウミュウ) 0120-559-914/HP: www.miumiu.com
マーク ジェイコブス カスタマーセンター 03-4335-1711 HP: www.marcjacobs.jp
プロエンザ・スクーラー/HP: www.proenzaschouler.com
ランバン ジャパン 03-4500-6172 HP: www.lanvin.com
ルイ・ヴィトン クライアントサービス 0120-00-1854/HP: jp.louisvuitton.com
レポシ HP: www.repossi.com
ロエベ ジャパン カスタマーサービス 03-6215-6116 /www.loewe.com
<プロフィール>
Kyle Anderson (カイル・アンダーソン)、アメリカ版『ELLE (エル)』のシニアアクセサリーエディターを経て2011年よりアメリカ版『Marie Claire (マリクレール)』のスタイル&アクセサリーディレクターとして参画。現在マーケット&アクセサリーディレクターとして世界4大都市のコレクションレポート、ジュエリー、タイムピースの統括を手がけている。