Brian Phillips
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NY拠点のPRエージェンシー「Black Frame」CEO、Brian Phillips (ブライアン・フィリップス) インタビュー

Brian Phillips

writer: akiko ichikawa

Portraits/

NY を拠点とする PR 会社「Black Frame (ブラック・フレーム)」。2004年の設立以来、OPENING CEREMONY (オープニングセレモニー) や RODARTE (ロダルテ) ら NY コレクションの人気ブランドはもちろん、KENZO (ケンゾー) や Nicholas Kirkwood (ニコラス カークウッド) などヨーロッパデザイナーズ、そして Nike (ナイキ) といったメガブランド、ほかホテル、アート系のクライアントとのプロジェクトも幅広く手がける。 オリンピックに沸いたリオ・デ・ジャネイロにいち早くブランチをオープンしたり、最近では「Framework (フレーム・ワーク)」というクリエーティブディレクションやプロダクションなどの別部門も開設したり、ますます業務内容も多角化。つい先日は Spike Jonze (スパイク・ジョーンズ) が監督を務めた KENZO の新フレグランス「KENZO WORLD」の映像が話題沸騰したが、そのクリエーティブコンサルタントも務めた。 NY のアートギャラリー街、チェルシーにあるオフィスに代表/CEO の Brian Phillips (ブライアン・フィリップス) を訪ねた。

NY拠点のPRエージェンシー「Black Frame」CEO、Brian Phillips (ブライアン・フィリップス) インタビュー

NY を拠点とする PR エージェンシー「Black Frame (ブラック・フレーム)」。2004年の設立以来、OPENING CEREMONY (オープニングセレモニー) や RODARTE (ロダルテ) ら NY コレクションの人気ブランドはもちろん、KENZO (ケンゾー) や Nicholas Kirkwood (ニコラス カークウッド) などヨーロッパデザイナーズ、そして Nike (ナイキ) といったメガブランド、ほかホテル、アート系のクライアントとのプロジェクトも幅広く手がける。 オリンピックに沸いたリオ・デ・ジャネイロにいち早くブランチをオープンしたり、最近では「Framework (フレーム・ワーク)」というクリエーティブディレクションやプロダクションなどの別部門も開設したり、ますます業務内容も多角化。つい先日は Spike Jonze (スパイク・ジョーンズ) が監督を務めた KENZO の新フレグランス「KENZO WORLD」の映像が話題沸騰したが、そのクリエーティブコンサルタントも務めた。 NY のアートギャラリー街、チェルシーにあるオフィスに代表/CEO の Brian Phillips (ブライアン・フィリップス) を訪ねた。


 

出身はカリフォルニアでしたよね、どのようにして NY にコンタクトを持つようになったのですか?

きっかけはコロンビア大に入学したときです。子供の頃から雑誌が大好きだった。まだインターネットも普及していなかった時だから、雑誌でレストランやクラブ、ファッションやアートなどクールな情報はなんでも収集していたね。学生時代は『PAPER』や『ELLE』でもインターンして、ファッションショーに潜り込んだりしていました。 『PAPER』では現「OPENING CEREMONY」のHumberto Leon (ウンベルト・レオン) と出会ったり、その後、アーティストの Terence KOH (テレンス・コー) のスタジオでも働いたり。当時ダウンタウンには面白い連中が溢れていましたね。90年代後半のことです。 その後間もなく『VISIONAIRE (ヴィジョネア)』でインターンをすることになって。Jorge  Garcia (ジョージ・ガルシア) のアシスタント的な役割で、最終的にはパートタイム社員みたいになった。当時 Jorge は『VISIONAIRE』のためにスポンサーを探したり、マーケティングや PR をしたり、といったビジネスサイドを支えていたから、この時に僕は多くのことを学びました。

その後どのようにして「Black Frame」を立ち上げるに至ったのですか?

卒業後は知り合いと PR &プロダクションの小さな会社を立ち上げたのですが、あまりうまくいかなくて。大学の専攻は美術だったから、アートディーラーにでもなろうかな、と思っていた矢先、『VISIONAIRE』が DIOR HOMME (ディオール オム) とコラボレーションした号を出したんです。当時 Hedi Slimane (エディ・スリマン) がクリエーティブディレクターになったばかりで、その発刊パーティで Cecilia Dea (セシリア・ディーン) が Hedi を紹介してくれたんですね。 Hedi Slimane といえば僕にとってはスターみたいな存在だった。センスもスタイルも本当にクールですべてを持っている、というような。そしてある日、Dior の PR ディレクターから電話がかかってきたんです、「Hedi が君に PR をやらせたいといっているからパリに来てくれないか?」って。 当時僕は24歳。パリに行ったことさえなかった僕がミーティングへ出席するために飛行機に飛び乗った。アヴェニューモンテーヌのディオールオフィスへでは恐れ多くてドキドキする気持ちとエキサイティングでワクワクする気持ちがないまぜになったようでした。 そもそも Dior では過去、PR を外部に託すっていうことはなかった。だから PR ディレクターは開口一番「へえ、君が Hedi が選んだって子か」ってジロリと睨みをきかせて、震え上がったよ。今振り返ればファッションのことなんてちっともわかってなかったけど、ミーティングでは何でも知っててできるふりをするしかなかった(笑)。 Hedi はデザインはもちろん、ビジネスの手法まで本当にセレクティブだったから、逆に僕のようなものが選ばれたんだと思う。自分もファッションだけでなく、アートや建築などカルチャーを幅広くカバーする会社を作りたいと思っていたから、彼の方向性がマッチしたんだね。 それでパリからの帰り道「Black Frame」という社名を思いついて、自分の会社を立ち上げることになったんです。

—  最初のクライアントが DIOR HOMME とはかなりラッキーでしたね。

そのとおり。小さい会社だったけど、少しずつクライアントを増やしていけた。でも最初は旧友たちのおかげだね。古巣の『VISIONAIRE』の PR も任され、Humberto が2002年に OPENING CEREMONY を立ち上げていたから、彼らの仕事もするようになった。 Humberto や Carol Lim(キャロル・リム ) の大学の同窓生だった「RODARTE (ロダルテ)」の Mulleavy (ミュラヴィ) 姉妹からは「私たちは共通の友人もたくさんいるから、きっと仕事もうまくいくと思う」って、とてもスウィートな E メールをもらったのが出会いです。

KENZO Fall Winter 2016

KENZO Fall Winter 2016

KENZO Fall Winter 2016

KENZO Fall Winter 2016

 

その後、10年以上 NY で会社を続けてきて、ファッション業界の移り変わりをどのように見ていますか?

まずはスケールが信じられないくらい巨大化している。昔はファッションショーなんて、招待客しか見られなかったのが、誰でもネットからアクセスできるなど、オープン化もしている。 アップルやスマホ、SNS の出現が、コミュニケーションの仕方自体を変えてしまったね。ソーシャルなチャンネルにおけるパーソナルなアイデンティティのあり方が変わり、服の着方やどのようにファッションで自己表現していくか、といった範疇にまで影響を及ぼすようになった。 一方で『Youtube』なんかで何千万ってフォロワーがいる人が出現している今、ネットで自己表現できるならもうファッションなんて要らないってことにもなるかもしれない。そういった新しい世代に向けて、ファッションはどうあるべきか、常に時代の流れに敏感であることはデザイナーたちにとっては重要だと思います。

ファッションブランドのあり方も変化が必要ということですね。特にNYは毎シーズン新しいデザイナーが登場するので、生き残りも厳しくなっています。

Nike The Nature of Motion Salone del Mobile Exhibition 2016

Nike The Nature of Motion Salone del Mobile Exhibition 2016

 

独自のクリエーティビティを追求し続けることが大事。逆に Nike のような大企業はスケール感を持った発信もできる。その中間が一番難しいかもしれない。特にデザイナーはデビューから数年経って、中堅へシフトしていくのが一番難しい。 例えば2005年にデビューした RODARTE 。彼女たちは成長が遅すぎるんじゃないか?って意見する人も多い。デザインがアーティすぎるとか、ターゲットがニッチすぎる、と批判する人もいる。でも、ブランドがどうしたいのか?というのはデザイナー自身が決めるべきことだと思うんだ。 デザイナーはまず、自分自身にとっての目指す道はどこかを考えることが大切。例えば100ミリオンドルを売り上げる大ブランドになりたいのか、それともレガシーとしてファッション史に名前を残したいのか。ビジネスを成功させるための知恵や過去のストラテジーは、時に役立つかもしれないけど、その道筋はひとつじゃないはず。

 

Black Frame としては、どのようにファッションブランドやデザイナーをサポートしているのでしょうか?

クライアントによってそのアプローチ方法はカスタマイズしています。単にショールームにサンプルを持って、スタイリストやエディターに受け渡ししているだけでなく、ディレクション的な視点を持って企画に携わっていくこと。またファッションだけでなくて、アートや音楽、映像など他のカルチャーとのチャンネルを持っていることが強みでもある。 例えば、Humberto  と Carol Lim が新しい「KENZO」のクリエーティブディレクターとなったときも、僕らがアドバイザーとして入りました。キャンペーンの手法も従来型でなく、インディ映画監督の Gregg Araki (グレッグ・アラキ) を起用したショートフィルムを作るなど、常に新しい試みを追求しています。

僕らのクライアントではないけれど、Dries Van Noten (ドリス ヴァン ノッテン) の手法は素晴らしいですね。広告も打たず、セレブリティにフォーカスすることもないけれど、デザイナーは長年自分自身のクリエーティビティに忠実に、ブランドとしてのステートメントを持って着実なビジネスを続けている。これはひとつの成功例として学ぶべき点が多いと思います。 僕にとって一番の喜びといえば、クライアントが成長していくのを見守ること。そのために何ができるか、それを考えるのが一番の楽しみでもあります。

Black Frame
HP: http://framenoir.com

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