女優・Alicia Vikander (アリシア・ヴィキャンデル) インタビュー
Alicia Vikander
お会いできて光栄です、と挨拶するや否や、開口一番に彼女はそう返した。取材当日、筆者は東急ハンズで買ったゴールドのピンをイヤリング代わりに着けていたのだ。「日本にある D.I.Y. ショップで買ったんです」と教えると、大きな目をさらに見開いて「日本人のハーフの友達がいるから話には聞いてたの。日本には何でも手に入る D.I.Y. ショップがあるって!」と答える。その小鳥がさえずるような声と飾らない物腰に魅了され、彼女の虜になるのに3秒とかからなかった。
女優・Alicia Vikander (アリシア・ヴィキャンデル) インタビュー
Portraits
” I like your earring! (素敵なイヤリングね!)”。
お会いできて光栄です、と挨拶するや否や、開口一番に彼女はそう返した。取材当日、筆者は東急ハンズで買ったゴールドのピンをイヤリング代わりに着けていたのだ。「日本にある D.I.Y. ショップで買ったんです」と教えると、大きな目をさらに見開いて「日本人のハーフの友達がいるから話には聞いてたの。日本には何でも手に入る D.I.Y. ショップがあるって!」と答える。その小鳥がさえずるような声と飾らない物腰に魅了され、彼女の虜になるのに3秒とかからなかった。
Alicia Vikander (アリシア・ヴィキャンデル)。名実ともに今最も旬なハリウッドセレブリティである。1988年、スウェーデンに生を受けた彼女は、幼くして王立のバレエ学校に通い、プリンシパルになることを夢見たという。その後故郷のスウェーデンでテレビドラマなどで女優としてのキャリアをスタートさせた彼女に大きな転機が訪れたのが2010年。Lisa Langseth (リサ・サングセス) 監督作品『Pure (原題:Till det som är vackert)』で数々の映画賞に輝いたヤングスターは、その後 Joe Wright (ジョー・ライト) 監督作品『Anna Karenina (アンナ・カレーニナ)』、Alex Garland (アレックス・ガーランド) による SF スリラー『Ex Machina (エクス・マキナ)』、そして Tom Hooper (トム・フーパー) 監督『The Danish Girl (リリーのすべて)』など相次いで話題作に登場している。
そして10月7日についに日本でのロードショーを控える最新作『ジェイソン・ボーン』。作中で Alicia 演じるのは、屈強な主人公、そして影の組織に立ち向かうヒロインだ。
「とにかくスケールが大きくて圧倒されたの!」と語る話題作の舞台裏、そしてパーソナルな一面を紐解くべく、TFP では国内独占取材を敢行。このインタビューを見れば、『ジェイソン・ボーン』が2倍楽しくなるだけでなく、Alicia Vikander という女優が更に好きになるに違いない。
— まず、とても初歩的なことから聞いてもいいでしょうか?日本では Alicia さんの名前を “アリシア・ヴィキャンデル” と表記していますが、海外のインタビューではむしろ “アリシア・ヴァイキャンダー” と発音されることが多いようなので。どちらが本来の発音に近いのでしょう?
スウェーデン語の発音に近いのは “アリシア・ヴィキャンデル”。面白いことに、正解は日本語の表記の方なの!何故かアメリカでは違う発音で呼ばれることが多いんだけど。
— そうだったんですね!それを聞いて安心しました。では本題に移って、10月7日より遂に日本でも上映される『ジェイソン・ボーン』ですが、今回のキャストはオーディション無しで決まったとのこと。知らせを聞いた時を振り返って、どのような心境でしたか?
率直に、驚いたわ。監督の Paul Greengrass (ポール・グリーングラス) に初めて会った時、いかに私が『ボーン』シリーズに夢中だったか話したの。そしたら意気投合して、すぐさまキャストに指名してもらったわ。
— きっと、これ以上ない適材だと一瞬で感じたのではないでしょうか。同作は日本で10月7日より上映されますが、収録で一番印象に残っているのはどのシーンですか?
その質問には、どういった意味で印象に残っているかということを考慮して答える必要があるわね。まずクランクインして衝撃だったのは、とにかく人が多いということ。これほど多くの人が関わる作品に携われることを感じて、とてもワクワクしたの。
最後のシーンのことも覚えてるわ。(作中で Alicia 演じる) Lee がワシントンのど真ん中で、CIA の頭と待ち合わせるシーンよ。大きな SUV に乗り込むカットだったんだけど、いつ車が来るのかを知らされてなかったのよ!だからこそ自然に人を待っている光景を再現出来たと思うの。
— そんな裏話があったんですね (笑) 豪快なアクションで知られる同シリーズのこと、カーアクションの撮影もすごかったのではと想像しながら見ていました。
カーアクションに使われた車の数、知ってる?172台よ!あるシーンの撮影でホテルの屋上に上ったんだけど、生まれて初めて空を飛ぶ車を見たわ (笑)
— 空を飛ぶ車、僕は見たこと無いです (笑)
とにかくリアリティを追求する『ボーン』シリーズだから CG はほとんどと言っていいほど使ってないの。唯一 CG を使っていることと言えば、フレームの中に写り込んでしまった別のカメラを消すことくらい。きっとこれから映画を観る人たちも、アクションシーンの迫力には圧倒されるはずよ。
いつの時代だって、自分の意思を強く持った女性は時代を象徴する
— 本作でもう一つ、個人的に興味深いと感じたのがそのストーリーです。Jason Bourne (ジェイソン・ボーン) という人物と CIA の関係性を軸に台本が描かれているのはこれまでと同じですが、それらに付随するストーリーの多くがテクノロジーにまつわるものだったからです。サイバーテロだったり、ソーシャルメディア企業の裏側であったり。
そうね、デジタル時代ならではのセキュリティやプライバシーの問題は作品の中で重要な要素となっているわ。
— この作品を通して、テクノロジーに対する考え方に何か変化はありましたか?
この作品によって、というわけでもないけど、テクノロジーは使い方次第だと常に考えているわ。映画の中で描かれているテクノロジーを用いた情報操作やセキュリティ対策だって、善悪の二元論で語れるほど単純じゃない。そして現代において、テクノロジー無しで生活することは不可能だって誰しも気づいてるはずよ。だからこそ、より一層プライバシーに対する意識を尊重することが大切だと気付かされたわ。
— まさにその通りだと思います。それではもう一つ、少し込み入った質問を。『ジェイソン・ボーン』ではCIA という権力社会において野心を煮えたぎらせるヒロインを演じ、昨年公開された『リリーのすべて』ではトランスジェンダーの夫を支える妻を演じています。昨今話題に上ることの多い、フェミニズムに対する考え方を反映させた役どころを通して、Alicia さんのジェンダーに対する考え方に何か変化はありましたか?
『リリーのすべて』のストーリーで興味深いのは、実話に基づいたストーリーだということ。1920年代に実在した人物にフォーカスを置いているの。フェミニストと言うとあたかも一過性のものに聞こえてしまうけど、いつの時代だって、自分の意思を強く持った女性は時代を象徴する存在なの。そういった意味で、『リリーのすべて』は自分の視野を大きく広げてくれる契機となった作品と言えるわ。
— 次世代の女性におけるロールモデルを地で行く Alicia さんですが、逆にプライベートで女性として幸せを感じるのはどんな瞬間でしょう?
う~ん、女性としてというわけでもないけど、親友や家族と一緒にいるときが一番幸せを感じるわ。
— なるほど。なぜこんな質問をしたかというと、もし僕が女性なら Louis Vuitton (ルイ・ヴィトン) のドレスを着てレッドカーペットを歩くことが一番の憧れだからです (笑)
あら!そうだったのね!(笑) もちろん、レッドカーペットは最高よ。非現実の夢の世界だもの。
— これまで最も感動したレッドカーペットの経験ついて教えて下さい。
もちろん、印象に残る経験はたくさんあるわ。でも一番最初に出席したレッドカーペットの衝撃は、今でも鮮明に覚えている。5年前のこと。故郷のスウェーデンを拠点にしていた私にカンヌ国際映画祭の誘いが舞い込んできたの。床につくロングドレスなんて当然持ってなかったから、何を着て行こうか慌てて友達に相談したわ。そんな中、Valentino (ヴァレンティノ) がドレスを貸し出ししてくれると声をかけてくれたの。美しいクチュールのドレスを初めて身につけるなんて、言葉に出来ないほどの高揚感だったわ。これこそ、女性ならではの幸せね。
作品情報 | |
映画タイトル | ジェイソン・ボーン |
原題 | Jason Bourne |
監督 | Paul Greengrass (ポール・グリーングラス)、 |
脚本 | Christopher Rouse (クリストファー・ラウズ)、Paul Greengrass (ポール・グリーングラス) |
製作 | Jeffrey M. Weiner (ジェフリー・M・ワイナー)、Ben Smith (ベン・スミス) 、Matt Damon (マット・デイモン)、Frank Marshall (フランク・マーシャル) |
キャラクター原案 | Robert Ludlum (ロバート・ラドラム) |
出演 | Matt Damon (マット・デイモン)、Alicia Vikander (アリシア・ヴィキャンデル)、Vincent Cassel (ヴァンサン・カッセル)、Tommy Lee Jones (トミー・リー・ジョーンズ)、Julia Stiles(ジュリア・スタイルズ) |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2016年 |
上映時間 | 123分 |
配給 | 東宝東和 |
HP | bourne.jp |
© Universal Pictures | |
2016年10月7日 (金) よりTOHOシネマズスカラ座他全国ロードショー |