my new wardrobe
standard vol.3

ワードローブの定番、未来のスタンダード。

my new wardrobe
standard vol.3

photography: kyohei hattori
edit: takuya kikuchi

あなたにとって、スタンダードとは? — TFPが注目する3人に、スタイルを作るのに欠かせないアイテムをヒアリングする当連載。今回はメンズ3名に各々の定番アイテムとそのお気に入りの理由、スタイルのこだわりをミニインタビューとともにお届け。ワードローブに欠かせないアイテムの、選びの視点をチェック。

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standard vol.3

ワードローブの定番、未来のスタンダード。

「Tiffany&Co.のネックレス」

「BOTTEGA VENETAのブレスレット」

recommended by

高橋侃

NHKドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』(12月18日、25日21時〜)に出演。地方競馬の厩舎で働く厩務員を演じる。「役者は役に成長させてもらうって本当だなと実感しています。演じる役の魅力的なところは自分もこうありたいなと思うことがありますね。誰かが引いたレールに乗るより自分でレールを作っていける役者になりたいですね。役者以外でも夢中になれることがあればフットワーク軽くチャレンジしていきたいです」

—美容師・モデルから俳優に転身して、ご自身のスタイルに変化はありましたか?

すごくありましたね。昔はアクセサリーをたくさんつけたり金髪にしたりと、「着飾っているのが自分」と思っていたのですが、役者を始めてからは自分は自分であり、役者業とはニュートラルな自分に足し算をしていく、裸一貫で勝負しなければならない仕事。「頑張って着飾ろう」という気持ちが少し薄れた気がします。今までのようにピアスをつけていないと物足りない自分がいて、つけていない自分に慣れるのに時間がかかりました(笑)。役者を始める時に美容師もモデルも一度全て捨てて、まっさらな自分で取り組もうと決めてからはファッションに対するマインドも体つきに対する考え方も変わりました。以前は体が細い方がかっこいいと思っていたのですが、今では役に合わせて鍛えたり、体重を増やしたりして体が変わっていくと、洋服に対しての考え方も変わってきましたね。

—現在のスタンダードとして2つのアイテムを選んだ理由は?

役者としてニュートラルな自分の時にも、今日はちょっと着飾りたいという時にも合うオーセンティックな魅力があるからです。昔からロンドンのスケーターカルチャーが好きで、今年の夏は PRADA (プラダ) のショートパンツにハイソックス、トップスはTシャツに足元は VANS (ヴァンズ) というオーセンティックなスタイルでした。一方で最近は役者として自分がニュートラルでいられるものも着るようになりました。今日の TOGA (トーガ)×H&M コラボのネイビーのセットアップもそうですね。遊びのあるスタイリングにもオーセンティックなスタイルにも合う、対応力の高さがこの Tiffany&Co. (ティファニー) の「ハードウェア」と BOTTEGA VENETA (ボッテガ・ヴェネタ) のチェーンブレスレットにはあると思います。

—一方でジェンダーレスなアイテムが昔から好きというのは意外です。

昔から男性らしいものよりも女性らしさのあるジェンダーレスなものが好きですね。今日着ている Astrid Andersen (アストリッド・アンデルセン) のシースルーのインナーもそういう意味で気に入っています。美容師時代はシースルー素材を着ていると「男が着るものじゃないでしょ!?」と周りから言われることもありましたが、その時から「なぜ着ちゃダメなの?」という思いがあって。“男っぽさ”って服で表現しなくても、持っていたい人が自分の中に持っていればいいのかなと思います。なので人前に出る時にはジェンダーレスなテイストの魅力を少しでも発信できたらと思いますね。ファッションが好きな自分と役者としての自分、その間に立って自分を表現していきたいです。

高橋侃(俳優)

「COMME des GARCONS SHIRTのトラックパンツ」

recommended by

Christophe Capitanio

デニムと靴は気に入ったらとことん穿いて、全く同じものをリピートすることが多いというクリストフさん。「PLAY COMME des GARCONS(プレイ・コムデギャルソン)のスニーカーも全く同じものを何度も買い足しています。このパンツもまた同じ形が発売されたら購入したいですね」

—ボトムスは年間通して4本しか穿かないそうですね。

本当に気に入ったものだけを穿いています。A.P.C. (アー・ペー・セー) ノンウォッシュデニムと Acne Studios (アクネ ストゥディオズ) のデニムのほか、夏は A.P.C.のデニムショーツ、冬はこの COMME des GARCONS SHIRT (コム デ ギャルソン・シャツ) のトラックパンツという4本のみ。このトラックパンツは2019SSのものなのですが、しっかりした厚みと光沢のある生地、センタープリーツ入りで品もあり、ヒップの形もきれい。自分にとっての冬のスタンダードになっています。パリの冬は東京よりも寒いのですが、東京の冬はこのパンツで充分乗り切れます。

—アウターとフーディは東京のブランドですが、気に入っている理由は?

URU (ウル) のショールカラーのコートは今シーズンのもので、ウールのしなやかな素材感と軽い着心地で気に入っています。デザイナーの漆山さんは友人でもあり、ショールカラーのコートは以前から展開している人気の形で5年前にも購入し今も着ているのですが、今年の秋冬コレクションでより好みのものが登場したので購入しました。Midorikawa (ミドリカワ) のデザイナーの緑川さんも友人で、ブランド創設時から注目しつづけています。ロゴが入っていなくてもファッションが好きな人にはわかるオリジナルの生地やディテールでらしさを表現しているのがいい。パリで着ていても「それどこの!? 」とよく尋ねられ、パリの友人たちもその個性に一目置いています。このフーディは OUT OF MUSEUM (アウト オブ ミュージアム) の小林眞さんとのコラボレーションのもので、マウスの鼻の部分が立体的な遊び心のあるデザイン。いつも素材やディテールに新しいアイデアがあって、セットアップのアイテムもすごくかわいいんです。日本のブランドの凝ったディテールや生地、高い縫製技術は世界に誇るべきものだと思いますね。

—ブレスレットの重ねづけは個性的でインパクトがありますね。

アクセサリーはあまり合わせ方を考えずに多めに重ねています。HERMES (エルメス) のブレスレット「cartouche」は12年前にパリの本店で購入。インパクト大のニットブレスは3年前にLAの直営店で購入した The Elder Statesman (ジ エルダー ステイツマン)。カラーストーンのブレスレットは Dior (ディオール) の Kim Jones (キム・ジョーンズ) によるファーストコレクションのもので誕生日に購入。細身のシルバーのバングルは Tiffany&Co. (ティファニー)、ハワイで購入したビーズネックレスに、細いチェーンブレスはイタリアのジュエリーブランド ATELIER VM (アトリエ VM)。ダイヤつきのピンキーリングは Vanrycke (ヴァンリーク)。バッグは Louis Vuitton (ルイ・ヴィトン) の2019年のクルーズコレクションで登場した Grace Coddington (グレース・コディントン) コラボの「パナム・セット キャットグラム」。グレースの愛猫と Nicolas Ghesquière (ニコラ・ジェスキエール) の愛犬を描いたイラストがモノグラム・キャンバスにのっています。

クリストフ・キャピタニオ (bodco ブランドマネージャー)

「COMOLIのコート、ニット、パンツ」

recommended by

森健

PATEK PHILIPPE (パテック フィリップ) の時計と CHROME HEARTS (クロムハーツ) のブレスレットはあえて重ねづけ。「大人の CHROME HEARTS はいかにもじゃない組み合わせで見せるのがお洒落だなと思います。オーダーメイドインソールを搭載した靴は、底を張り替えれば長く愛用できるもの。親しい人のリクエストで新たな型が生まれることも」

—COMOLI (コモリ) が新たなスタンダードになりつつあるとか?

これまで着ていたインポートブランドがしっくりこなくなった2年前にデザイナーの小森さんと出会って、COMOLI を着るように。コートもニットもパンツも今シーズンの COMOLI です。素材や作りは申し分なく、適正な価格で自分の靴との相性も良い。COMOLI はスタートして今年で11年目ですが、自分の COMOLI 歴を取り戻すように様々なアイテムを毎日着ています。コートからパンツまで全部ネイビーでトップスとボトムスはカシミアのニット素材。シーズンをミックスしてもきれいにまとまるのが魅力ですね。着心地とシルエットが今の気分に合っていて、これからもブランド自体をスタンダードとして長く付き合っていくと思います。小森さんにもうちの靴を履いていただいていて、今年初めて FOOTWORKS (フットワークス) のサンダルを作ったのも、小森さんのリクエストがあったから。最初は自分と小森さんのサイズのみ作ったのですが、思っていた以上に良い出来で幅広いサイズを展開することになりました。

—PATEK PHILIPPE×CHROME HEARTS の手元が新鮮です。

ブレスレットは去年購入した CHROME HEARTS で COMOLI と CHROME HEARTS は相性が良いと思い合せています。時計は1941年製の PATEK PHILIPPE でステンレススチール素材のケースに針とダイヤルはホワイトゴールドのもの。ブーツは自分のブランドであるオーダーメイドインソール専用シューズ TAKESHI MORI (タケシ モリ) のモンキーブーツ。オーダーメイドインソールを搭載したシューズブランドで10型以上あり、革の種類と製法の組み合わせを選べます。このモンキーブーツは GUIDI (グイディ) の革を使用したもの。靴はオーダーしてから約1ヶ月、インソール単品はオーダー当日に完成します。メガネはイギリスのブランド HILTON CLASSIC (ヒルトンクラシック) の1970年代のビンテージフレームです。

—TAKESHI MORI はファッションデザイナーからも支持されているそうですね。

あまりファッションやトレンドを意識せずにモノ作りをしてきたのですが、それが結果的にデザイナーさんから魅力的に映っているのが嬉しいですね。一般的な革靴とは作り方が大きく異なるので、既成品の革靴のように足に合わずに痛くなるということがほぼありません。体を正しい位置で立てて、正しい位置で使えるように作っているので足と体がまっすぐ使えていれば痛くならないですし、しっかり支えてくれるのでスニーカーよりも疲れないという人が多いです。体を正しい位置で支える道具的な靴。木型を足に合わせるのではなく、足のねじれを整えるように木型の調整を一人一人に合せて行っています。履くと最初は違和感がある人もいますがすぐに慣れ、足のねじれによる肩こりや腰の痛みなどのトラブルを、姿勢を整えることで改善するようにしています。インソールと靴は完成後に歩き方や立ち方を指導してからお渡ししています。

森健(FOOTWORKS/TAKESHI MORI 代表)