Ayumi Hamamoto × FETICO
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濱本愛弓の試着歩き #5 FETICO

Ayumi Hamamoto × FETICO

photography: kyohei hattori
interview & styling: ayumi hamamoto
edit & text: miwa goroku

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スタイリストの濱本愛弓が気になるブランドを訪ね、最新アイテムをチェック&試着してまわる本連載。第5回はデザイナー舟山瑛美が手がける FETICO(フェティコ)のショールームへ。コルセットディテールのトップスやジャンプスーツなど、女性らしいシルエットを潔く追求したデザインで、デビュー3シーズン目にしてコアなファンを掴んでいる東京発のウィメンズブランド。ビッグシルエット人気が続く中、“フェティッシュ” のキーワードを秘めた FETICO は、そのワンコンセプトで際立った存在感を放っている。

濱本愛弓の試着歩き #5 FETICO

濱本愛弓(以下、H): この連載では、本当に着たいと思うブランドを訪ねて回っています。FETICO は個人的にもいつもオーダーさせてもらっていて、私のワードローブの一部になっていますが、実はまだデビュー3シーズン目なんですよね。

舟山瑛美(以下、F): そうなんです、ありがとうございます。濱本さんに初めて展示会でお会いしたとき、すごく FETICO が似合いそうな人が来た! と思ったのを覚えてます。

H: 嬉しい(笑)。春夏なのにぴったりとしたニットドレスとか、そういうボディラインが出るデザインを、FETICO はしっかりやってますよね。その潔さが、私はすごく好きです。いつも買いすぎてしまいそうになるので、1シーズン2着までにしようと決めているくらい。

(左から)濱本愛弓(スタイリスト)、舟山瑛美(FETICO デザイナー)

F: 肌を出すこと=男ウケ、みたいなゾーンに日本ではなってしまっているじゃないですか。そこを私はモードにやりたい。で、実際に FETICO を立ち上げてやってみたら 「こういうのを待ってた!」というような声もたくさん届いた。あ、同じ感覚の人がいる、と知ることができました。やってよかったなと。

H: FETICOのように、大人の魅力を出せるお洋服って、自分の体を好きになるきっかけにもなると思うんです。

F: 日本の女性はいろいろカバーしがちですが、全然隠さなくていいのにって、心から思います。

H: FETICO は素材選びもいいですよね。着る人を格上げしてくれる上質なベルベットとか。袖を通すと気分がよくなって、胸を張って着たくなるから、じゃあ少し胸をボリュームアップできるように筋トレしよう、とか。モチベーションにもつながるんです。いつもインスピレーションはどんなところから得ているのですか?

F: なんだろう。いろいろあるのですが、一番インスピレーションになっているのはやっぱり女性の体かな。

H:女性の体のしなやかさ、柔らかさは私も好きな部分ですね。スタイリングをするときも体のラインを意識してます。やっぱり女性の体が好きなんだなと思うことがあります。

ジャンプスーツ ¥53,900、トップス ¥26,400、グローブ ¥9,900/すべて FETICO(フェティコ)、シューズ、アクセサリー/スタイリスト私物

F: ちょっと前にユニセックスやオーバーサイズのトレンドが出てきたとき、個人的には全然惹かれなくて 「私これじゃないな」 って確信しました。もうちょっと古典的で、造形的な女性らしいところに惹かれます。FETICO はそことガッツリ向き合って、面白いと思う方向にデフォルメしながらアップデートして、新しいものをつくりたいと思っています。

H: 前シーズンの構築的なドレスは一点モノですよね、雑誌のカバーでもよく使われるくらい強さがあって、かっこいいなと思ってました。コンセプトが強いイメージですが、今回の秋冬に関してはチャイニーズの要素もありましたよね。テーマがあったのですか?

F: 緊急事態宣言中で外出ができず、それでも美しいものが見たくて映画漬けに。『花様年華』 とか、ウォン・カーウァイ作品の女性像がすごくたまらないなと、改めて感じたことが今シーズンはモチベーションになってます。

FETICO 2021AW。チャイナテイストのセットアップはトップ画像で着用。(左から)ジャケット ¥107,800、スカート ¥47,300、ビスチェ ¥29,700、グローブ ¥9,900/すべて FETICO(フェティコ)

H: 次の2022年春夏コレクションを先日拝見しましたが、再び FETICO らしい女性の強さを感じるシーズンですね。

F: そういってもらえて嬉しいです。次の春夏は今一度コンセプトに戻って、ブランドの掘り下げにフォーカスしています。古典的なブランドやクチュールのリサーチをたくさんしました。

H: ちなみに FETICO を立ち上げる前は、CHRISTIAN DADA(クリスチャンダダ)でウィメンズのデザインをなさっていたじゃないですか。その前職で表現されていた要素が FETICO には全然感じられない、というのもすごいなと。

F: もともと独立願望はありました。前職にいる間から、もし自分でやるんだったら、アイデンティティをしっかり出したい、その方が面白いブランドになると考えてました。

FETICO のシグネチャーとなっているジャンプスーツ、今秋冬は完売。グローブはエレガントなルックスでスマホ対応の頼もしさ。

H: FETICO は1人でやってるのですか?

F: パタンナーの髙濵と2人でやってます。DADA 時代から一緒で、専門の同級生でもあるんです。学生の時からすごく優秀で、ずっと目をつけてました(笑)

H: 二人三脚は忙しそう。お休みの日がちょっと想像つかないです。

F: 朝起きてまずはヨガして……

H: すごい! 毎日?!

F: いや、毎日家で仕事で引きこもり状態なので、逆に運動しないんです。自ら何かしないと体を1ミリも動かさないから、一応朝ヨガでストレッチして、お散歩してから仕事するみたいなルーティン。料理も好きですが、忙しくなるとほぼウーバーイーツですし(笑)

H: 仕事でずっとこもっていると、もうやだ! とかなる時、ないですか?

F: 毎シーズン絶対1週間くらいはあります。結構苦しむタイプです。これでいいかどうかを最終的にジャッジするタイミングで一度落ちます、でも、これいけるなってなったら吹っ切れます。

H: これからやってみたいことは?

F: ランジェリーをやってほしいという声をよくいただきます。アパレル視点でできたらなと考えているところです。

H: FETICO 的ランジェリーができたら最高ですね。海外のランジェリーのような潔さがありながら、より日本人のサイジングにあったデザインがあったら、私も絶対欲しい。ヘルシーとセクシーを兼ね備えた、品のある女性らしいもの…… ぜひお願いします!

F: そうですね。そこがずばり FETICO のメインゾーンだと思ってます。ぜひ楽しみに待っていてください。