コムアイが纏うマルティン・ラミレス vol.2 Horserider
lemaire
with kom_i
model: kom_i
photography: yusuke yamatani
styling: shohei kashima
hair: takai
make up: kanako yoshida
text & edit: manaha hosoda
20世紀の最も優れたアウトサイダー・アートの画家と評される Martin Ramirez (マルティン・ラミレス)。故郷であるメキシコを離れ、アメリカに移住するも、孤独に苦しみ、精神病を患った同氏は、隔離状態の中で何かに取り憑かれたようにドローイング作品を描き続けた。
様々な問題に直面し、自由と変化の必要性がかつてないほど叫ばれる今の時代の空気と Martin Ramirez の作品群が共鳴すると考えたパリジャンブランドの LEMAIRE (ルメール) はカプセルコレクションとして、ファブリックの上に原画を忠実に再現。困難の連続に見舞われた激動の人生から生み出された作品の数々に、あなたは何を見る?ミュージシャン、モデル、女優として活躍し、最近では環境問題にも積極的に取り組むアーティストのコムアイが2シーズン目となるコレクションを纏う。(第2回/全3回)
コムアイが纏うマルティン・ラミレス vol.2 Horserider
2020年秋冬シーズンよりスタートした LEMAIRE と Martine Ramirez のコラボレーション。もとよりアール・ブリュット(正規の美術教育を受けていない作家による芸術作品)に関心を抱いていたデザイナーの Sarah-Linh Tran (サラ=リン・トラン) は、そうした作品を扱うパリのギャラリーでインターンしていた際、同氏の作品とその背景にある悲劇的な物語に出会ったという。ニューヨークのギャラリー「Ricco/Maresca」を介して、画家の孫との対話を重ねることで、より作品への理解を深めた彼らにとって、非常に思い入れの強いコラボレーションであることは間違いない。
実際にコレクションをひとつひとつ手に取ってみると、LEMAIRE の芸術への敬意が細部にまでこめられていることがわかる。藤色を基調とした「Horse and Rider」と「Horserider」の2作品は、色鉛筆独特の絶妙な色彩を、服をキャンバスにして丁寧に再現。“色に飛び込む”ようにして色彩を操る LEMAIRE だからこそ為せる技だろう。透け感の美しいシースルーシャツのうえでも、Martin Ramirez の繊細な美学が隅々まで息づく。