ホンマタカシが捉えた忽那汐里とルメールのダイアログ vol.2
lemaire
with shioli kutsuna
model: shioli kutsuna
photography: takashi homma
styling: takanohvskaya
hair: waka adachi
make up: tomohiro muramatsu
text: manaha hosoda
edit: manaha hosoda & miu nakamura
「街中で女性が前を横切る時、自分の赤ちゃんを暖めるために大きなコートをかけてあげる時、そこで布がはためく……そういう瞬間にこそ、服は生き生きとしはじめる。日常的なちょっとした瞬間が、シンプルな服に感情をもたらす」駅の構内をイメージした映画のようなセットの中で発表された LEMAIRE (ルメール) 2023年春夏コレクションでは、まさに Christophe Lemaire (クリストフ・ルメール) と Sarah-Linh Tran (サラ=リン・トラン) がインタビューで語った”感情”のある服が表現されていた。Ana Roxanne (アナ・ロクサンヌ) の実験的な音楽とともに誘われるのは、フィクションと現実の狭間で揺れる LEMAIRE の世界。
彼らが提唱する、視線や瞬き、微笑みからはじまる服と着る人のダイアログ。世界中を飛び回り、その曇りのない眼差しで、出会った全てのものを享受する女優の忽那汐里が、最新コレクションに袖を通した。まるで虫眼鏡で覗きこむように、気にかけなければあっという間に過ぎてしまう一瞬を写真家・ホンマタカシが捉える(第2回/全3回)。
ホンマタカシが捉えた忽那汐里とルメールのダイアログ vol.2
本を読んだり、詩を綴ったり、うたた寝したり、楽器を弾いたり、誰かの日常のワンシーンを演出することで、いくつもの物語を投影した今シーズンの Lemaire。ショーからインスピレーションを得て、ホンマが撮影の舞台に選んだのは、都内某所の音楽スタジオ。ジェンダーを問わない、Lemaire らしいワントーンのコーディネートに身を包んだ忽那は、ギターを手に取った。普段から楽器をたしなんでいるという彼女には、どちらもよく似合う。より襟が広くなり、撥水加工など新しい素材で、ぐっと軽やかになった Lemaire の夏のワードローブ。しなやかで、風通しのいいシャツやショーツが、着る人のパーソナリティにそっと寄り添い、さりげなくも新たなハーモニーを奏でる。