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【東京の女の子】GIRL no.5 恵子

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【東京の女の子】GIRL no.5 恵子

keiko
about a girl

model: keiko
photographer: takashi homma
hair: mai fujita (mitsouko)
editor&writer: tomoko ogawa

幅広い分野で写真表現の可能性を様々な方法で追求し、国内外で注目される写真家ホンマタカシ。彼が「東京のいま」を生きる女の子の素顔をポートレートし、彼女たちの生の表情と声を届ける「ABOUT A GIRL」第5回目は、医者を目指して勉強中の学生、恵子さん。世田谷生まれ、世田谷育ち、生粋の東京ガールの彼女に話を聞いた。

—いま大学生ですか?

今年で26歳で、4年生です。社会人だったら4年目の年です。

—普通の4年制大学に行ってから、医大に転向されたとか。

そうです。

—なんでお医者さんになろうと思ったのかな?

普通に大学入って、就職先活動もして、金融に就職先も決まっていたんですけど、決まってから私やってけないかもという気持ちになって。それから、専門職でもう少し自分に向いているのはなんだろうとすごく考えて、自分の父親が医者だったので医者もありかなと。

—いるよね、途中から医者を志す人。30歳くらいで。

同級生にもいろんな方がいますね。編入クラス制度があって、30くらいの方が一番多いですけど、40歳くらいの方もいます。そういう意味では、あまり年齢を感じることはないです。

—今のところは思った通りの学生生活?

けっこう大変。毎日悩みながらやってますし、身を削って勉強してます(笑)。とりあえず、半分まで来たので、あと半分頑張ろうかなって。あと3年で卒業して、そのあと、2年研修して、そこから専門に入ります。

—長いね。でも、目標が明確だからいいのかな。

私は、ただ医者をやっていていいのかな……という疑問もあるので。

—務めるか開業するかでだいぶ違うらしいしね。

そうですね。自分が50、60歳になったときにずっと医者をやってられるかは、まだあまりわからなくて。

—そこまで考えてるんだ(笑)。

ですね。ただ、父親の時代とは違うので、もっと自由に、せっかく他の大学に行って文系の勉強をしたので、そういうのも生かしてやれたらいいかなって。

—文系を生かしたというと具体的には?

小児科に行きたいと思っているんですが、子どもの数も少なくなってきているので、あまり需要がなくて。だから、もっとお母さんと子どもの話をなるべく聞けるようなことができたらいいなと。ただ病気を治すというより、その前後で何かできたらいいんじゃないかって考えていて。まだ、具体的にはわからないんですけど。

—そんなに理系センスは要らないもの?

そうですね、思ったよりは。暗記が多いので。でも、人体も立体なので、空間を把握する力が必要なんです。私はそれが欠落しているので(笑)、けっこう大変です。地図読むのとかも苦手なので。

—話は、変るけど東京オリンピックは楽しみですか?

あんまり実感がない。というか、正直そんなに興味はない……。

—あはは、スポーツはやらない人?

球技とかが苦手で、一人で完結するものしかできないです。高校はゴルフ部だったんですけど、みんな着替えもせずにローファーを脱いで、腰に毛布とかを巻きながらやってて(笑)。全然真面目にやってなかった。だから、協調性がない。

—では、音楽は何を聞きます?

割と何でも聴くんですけど、クラシックも最近聴くようになって。アイスランドのピアニストのヴィキングル・オラフソンを聞いてます、名前の発音が難しいんですけど。この前、来日していて2回コンサートに行きました。

—現代の人?

恵子:はい、若いです。30半ばくらいかな。バッハとかを弾いてて。あまり激しい音楽を聴くと心が乱されるので、最近は落ち着いたのがいいなという感じです。

—医者の勉強をしててクラシックを聴いてる、なんてハードル高いよね(笑)。将来もずっと東京にいる予定? お医者さんになったらどこに住むかわからないか。

そうですね、どこでもあり得る。でも、海外が好きなので海外もありですし、地方にはいい病院もあるので、若いうちだったら全然どこでもいいかなと思ってます。

—自分が東京生まれ、育ちだなって気づかされる瞬間ってありますか?

以前、イギリスで3番目の都会と言われているマンチェスターに1年留学したんですけど、けっこう田舎で。工業地帯で、あまり変化がない場所だったので、わりと飽きてしまって。東京みたいな変化がある場所に、自分は慣れているんだなと思いました。

—たとえば、東京の人って冷たいとかいわれるじゃん。そういう環境が与える性格はあると思う?

ご近所付き合いはあまりなかったので、そういう近しい人がずっといるという環境は慣れないかもしれない。

—高校生のときはどこに遊びに行ってました?

渋谷はわりと行きました。

—例えば、渋谷に来て何するの?

女子校だったんですけど、みんなすごくよく食べる人たちで。シェイキーズの食べ放題によく行っていました。あとは鍋ぞうとか。ひたすら食べてました。

—東京で好きな場所は?

日比谷とか。

—どっちにしろ、谷が好きなんだ、渋谷も。日比谷も元々は谷だったのかな。あの辺までずっと海だったのか。

確かに。

—世田谷も谷。

あぁ確かに。谷、好きかもしれないです。