cocon karasuma
in kyoto

アート、音楽、ファッションを楽しむ新しい京都。COCON KARASUMA

cocon karasuma in kyoto
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アート、音楽、ファッションを楽しむ新しい京都。COCON KARASUMA

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in kyoto

by Manaha Hosoda

新しいアートフェアの開催やデザイナーズホテルのオープンラッシュなど、アート&カルチャーの発信地として最注目されている京都。その中心地である四条烏丸のランドマークであった COCON KARASUMA (古今烏丸) が2021年にリニューアル。17年ぶりのリノベーションを遂げて、さらに進化した COCON KARASUMA は、間違いなくいま足を運びたい最重要スポットのひとつ。TFPでは、現在開催中のイベントにフォーカスして、その魅力をお届けする。

もともと京都丸紅ビルとして昭和13年に竣工された COCON KARASUMA は、2004年より複合商業施設としてオープン。デザインは建築家・隈研吾が手がけた。2021年、再び隈研吾とタッグを組み、生まれ変わった COCON KARASUMA は、過去と未来をつなぐ、あたたかく人を迎え入れる、より風通しのいい空間へ。

ベンチのように使える木の階段がのびるエントランススペースは、設計・デザイン事務所の DAIKEI MILLS (ダイケイ・ミルズ) とアートブック・ディストリビューターの twelvebooks がタッグを組み期間限定で文化的コンテンツの発信を行うプロジェクト SKWAT (スクワット) が監修。「音(伝える)」をコンセプトに、「SKWAT HERTZ」としてエントランスと3Fの京都経済倶楽部跡でプロジェクトを展開中だ。さらに、同じく3Fのギャラリースペース「301SPACE」では、世界的に著名な現代アートギャラリー「BLUM & POE」による京都初のグループ展、ニューヨークのファッションブランド OVERCOAT (オーバーコート) のインスタレーション/ポップアップストア、そして現代アーティストの山田晋也と「Antiques & Art MASA」とのコラボレーションによる展示「PULSE OF SILENCE」が開催されている。

SKWAT HERTZ

階段をのぼるとすぐ目に入ってくるのは1台のピアノ。海外でよく目にするストリートピアノと同様、誰でも演奏することが可能であり、その音は常時録音されている。録音された音源は、エフエム京都(α-station)と共に制作するラジオプログラム「SWKAT HERTZ」(毎週火曜23時から30分間)にて発信。加えて、アーティストによるゲリラパフォーマンスも不定期に企画されており、これまでに青葉市子やSalyu、志人、日野浩志郎、折坂悠太らが参加している。また、会員制クラブであった「京都経済倶楽部」の跡地は、twelvebooks 主催によるアートブックサロンへと変身。twelvebooks が持つダメージ本などの、流通に乗らなくなったアートブックを一律1000円で提供する「thousandbooks」、そして生誕100周年を今年迎えた Joseph Beuys (ヨーゼフ・ボイス) の貴重なアーカイブ資料の展示販売をする「Beuys Room」が設置されている。

BLUM & POE

日本の美術界で働いた Timothy Blum (ティモシー・ブラム) とロサンゼルスの新進作家に造詣の深い Jeffrey Poe (ジェフリー・ポー) によって1994年にアメリカ・サンタモニカで設立された BLUM & POE (ブラム・アンド・ポー)。ふたりの審美眼は高い評価を集め、2003年にはよりひろいスペースを求めカルヴァー・シティに移転。現在は、展覧会やレクチャー、イベント、ブックフェアなど精力的な活動を行いつつ、ニューヨークと東京にもスペースを持っている。京都では初となる今回の展示では、Alma Allen (アルマ・アレン)、March Avery (マーチ・エイブリー)、浜名一憲、Friedrich Kunath (フリ ードリッヒ・クナス)、Mimi Lauter (ミミ・ローター)、Tony Lewis (トニー・ルイス)、岡﨑乾二郎と国際色豊かな7名の作家をフィーチャー。分厚い絵具のインパストやテクスチャー、鮮やかでみずみずしい色彩を持ったパステル、焼き物の不均衡な形態やひび割れ、グラファイトの光沢感……作家それぞれのオリジナリティ溢れる作品が一堂に会する。

OVERCOAT

以前「PORTRAITS」でもインタビューを掲載したデザイナーの大丸隆平によるブランド OVERCOAT はブランドの原点ともいえるコート・ジャケット・シャツ・パンツの定番商品を今回のポップアップストア限定で販売。加えて、大丸にとって京都初のインスタレーションとして、映像クリエイターの Jack Webb (ジャック・ウェブ) とアートディレクターの Peter Miles (ピーター・マイルズ) という両巨匠の監修・撮影によるブランドのイメージビデオも展示。OVERCOAT の服づくり、そしてヴィジョンを感じる空間に仕上げられている。

PULSE OF SILENCE

京都を拠点とする現代アーティストの山田晋也は、和装意匠制作の家に生まれ、代々残る文献をもとに染色技術に着眼し、復元や創作に従事。これまで皇室への作品献上、また伊勢神宮や比叡山延暦寺など多数の寺社仏閣に作品を奉納・収蔵するなど類稀なる経歴を持つ。今回は、お茶やお酒を楽しむ為の器、花を添え遊べる道具など暮らしの中で楽しみ活かせる調度品を取り扱うギャラリー「Antiques & Art MASA」による空間全体を使用したインスタレーションの中で、新作シリーズ「Womb into the doorway」を展示している。作家の根本に流れる仏教思想をもとに、自身の内面、原点への回帰、その内縁に広がる浄土の持つ静寂の世界を表現した作品が並ぶ。