実験音楽の祭典「MODE 2025」が3日間にわたり開催。マージナル・コンソートを始めとするアーティストが東京・銀座に集結
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実験音楽の祭典「MODE 2025」が3日間にわたり開催。マージナル・コンソートを始めとするアーティストが東京・銀座に集結
MODE 2025
to be held in Tokyo
実験音楽、オーディオビジュアル、パフォーミングアーツを紹介するイベントシリーズ 「MODE」 が、5月16日(金)から18日(日) まで銀座コリドー通りに面した空きビル 地下階「コリドースクエア銀座7丁目」にて開催される。年に数回のみライブパフォーマンスを行う Marginal Consort (マージナル・コンソート)による貴重な出演をはじめ、国内外で活躍する10組のアーティストをフィーチャーし、パフォーマンスに加え、映像作家Aura Satz(オーラ・ザッツ) および斎藤玲児による映像作品も上映される。
2018年にロンドンでスタートした実験音楽の祭典「MODE」。5月2日(金)に開催された Soundwalk Collective (サウンドウォーク・コレクティヴ) & Patti Smith (パティ・スミス)によるパフォーマンス、ならびに東京都現代美術館で開催中のエキシビションに続く、2025年度の追加プログラムとなる。
初日の5月16日(金)には、即興演奏の枠を超えたアートフォームとして国際的に高い評価を受ける「Marginal Consort」が登場。日本における即興音楽の草創期を築いた高柳昌行や小杉武久に師事した今井和雄を中心に、越川友尚、椎啓、多田正美の4名で構成される伝説的ユニットだ。年に数回しか行われないライブパフォーマンスは、1回あたり約3時間におよび、観る者の知覚を揺さぶる圧倒的な即興のセッションとして知られている。国内外で熱狂的な支持を集めるこの貴重な機会は、即興音楽の新たな地平を体感できるまたとない場となるだろう。
5月17日(土)には、コンピュータミュージックの先駆者として世界に名を馳せるCarl Stone(カール・ストーン)が登場。1970年代より革新的なサウンドアプローチで電子音楽を切り拓いてきた巨匠であり、現在はロサンゼルスと日本を拠点に活動している。2002年には東京・六本木に誕生したオルタナティブスペース「SuperDeluxe」のこけら落とし公演も務めた人物だ。さらにこの日は、注目の新世代アーティストもラインナップ。エクスペリメンタルバンド goat (ゴート) のメンバーであり、元・太鼓芸能集団「鼓童」所属の篠笛奏者、立石雷 (Rai Tateishi) が出演する。昨年、goat 主宰の日野浩志郎(Koshiro Hino)のプロデュースにより発表したソロアルバム『Presence』も話題を呼んだ彼が、日野によるライブプロセッシングとともに最新パフォーマンスを披露する。
最終日の5月18日(日)には、韓国出身のマルチインストゥルメンタリスト・コンポーザー、Park Jiha (パク・ジハ) が登場。韓国の伝統楽器と現代的な感性を融合させ、瞑想的かつ革新的なサウンドスケープを創り出してきた彼女は、今年2月に最新アルバム『All Living Things』をリリース。古代と現代、東洋と西洋を静かに交差させるその音楽は、国境を越えて高く評価されている。
続いて登場するのは、ニューヨークと東京を拠点に活動するアーティスト・パフォーマー・コンポーザーの恩田晃(Aki Onda)。フィールドレコーディング、映像、インスタレーションなど多岐にわたる表現を通じてジャンルを横断し、世界各地の美術館やアートセンターで作品を発表してきた恩田が、この日はベルを用いた最新パフォーマンス『Spirits Known and Unknown』を披露する。
また、5月17日と18日の2日間にわたり、映像表現の多様性と実験性に迫る特別スクリーニングプログラムが開催される。メイン上映として登場するのは、ロンドンを拠点に映像、サウンド、彫刻、パフォーマンスなど多岐にわたるメディアで活動するアーティスト、Aura Satz の初の長編映画《Preemptive Listening》。聴覚と政治、身体性をめぐる鋭い問題意識を内包した本作は、彼女の代表的プロジェクトの集大成とも言える作品だ。さらに、東京を拠点に、日常の中で収集した写真や映像素材を独自の視点で再構築する映像作家・斎藤玲児(Reiji Saito)の特集上映も実施。初期作から近年の作品まで、アーカイブ的な視点と個人の記録が交差する静謐な映像世界が披露される。
なお、5月17日(土)、18日プログラムは、2002年から2019年まで東京・六本木にて、オルタナティブなカルチャーを発信し続けた伝説のスペース SuperDeluxe (スーパーデラックス) との共同キュレーションにより実現。アート、音楽、実験的表現が交錯する唯一無二の体験を届ける。加えて、会場1階では、「SuperDeluxe」にて記録された、様々なアーティストによる貴重なパフォーマンス映像も上映。17年間にわたる実験と創造の歴史が、映像というかたちで再び息を吹き返す。視覚と聴覚を通じて時間と空間を超える「MODE 2025」。深い余韻をもたらす唯一無二のライブ体験にぜひ注目を。