Angela Yuen
Angela Yuen

アジアの “Itガール”、Angela Yuen (アンジェラ・ユン) インタビュー

Photo by Chikashi Suzuki

Angela Yuen

Photohgrapher: Chikashi Suzuki
Writer: Sakuya Konohana
Stylist: Mayu Yauchi
Hair & Makeup: Sara Maeda

Portraits/

撮影監督として、ウォン・カーウァイの『欲望の翼』(1991)や『ブエノスアイレス』(1997)などアジア映画の名作を手がけ、近年ではガス・ヴァン・サント、ジム・ジャームッシュやアレハンドロ・ホドロフスキーらの撮影監督を務めるなど世界的に活躍するクリストファー・ドイル。彼が世界へ放つヴィヴィッドな色彩と幻想的な光が織りなす映像美は、現代の映画界を代表する鬼才と呼んでも過言はないだろう。そんなドイルが監督、脚本家、撮影監督として作り上げたのが、12月15日に公開された話題作『宵闇真珠』だ。

アジアの “Itガール”、Angela Yuen (アンジェラ・ユン) インタビュー

ジャケット ¥552,000、ネックレス ¥131,000、バングル (右) ¥137,000、バングル (左) ¥194,000、全て Chanel (シャネル) | Photo by Chikashi Suzuki

ジャケット ¥552,000、ネックレス ¥131,000、バングル (右) ¥137,000、バングル (左) ¥194,000、全て Chanel (シャネル) | Photo by Chikashi Suzuki

撮影監督として、ウォン・カーウァイの『欲望の翼』(1991)や『ブエノスアイレス』(1997)などアジア映画の名作を手がけ、近年ではガス・ヴァン・サント、ジム・ジャームッシュやアレハンドロ・ホドロフスキーらの撮影監督を務めるなど世界的に活躍するクリストファー・ドイル。彼が世界へ放つヴィヴィッドな色彩と幻想的な光が織りなす映像美は、現代の映画界を代表する鬼才と呼んでも過言はないだろう。そんなドイルが監督、脚本家、撮影監督として作り上げたのが、12月15日に公開された話題作『宵闇真珠』だ。

ドイルと一緒に監督と脚本家を兼任したのは香港出身のジェニー・シュン。本作はシュンがアメリカ留学を経て、故郷である香港の漁村に帰ってきたときの記憶から生まれた物語だ。ヒロイン探しが何年もかかるなか、Angela Yuen (アンジェラ・ユン) に出会った瞬間、シュンはこう思ったという。「この映画を監督できる!」。

1993年香港生まれのモデル/女優、アンジェラ・ユン。日本では知名度がそこまで高くないが、香港では Chanel (シャネル) の広告や shu uemura (シュウ ウエムラ) のアンバサダーに起用されており、日本のロックバンド、銀杏BOYZのシングルジャケットを飾るなど、アジアの“Itガール”になるのは時間の問題であろう。今作の英題である『THE WHITE GIRL』にふさわしい、真珠のような輝きを放つ彼女に映画やファッションについて話を聞いた。

―幻想的な映像と香港最後の寂れた漁村を取り巻くサスペンス。2つの異質の世界が交錯する非常に美しい映画でした。セリフもあまりない役で一番難しかったことは?

私が演じた16歳の少女は小さな漁村に住む、太陽を浴びると死んでしまう奇病におかされた女の子で、アクションや動きがあまりありません。監督たちからも役作りについてはほとんど指導がなくて、役柄について自分なりに考えなければいけなかったんです。ロケ時間もわずか2週間。猛スピードで撮影が進んでいくなかで、最初のころは「私の演技は大丈夫だったのかな?」と毎日心配していました。

トップス ¥175,000、パンツ ¥869,000、シューズ ¥122,000、ネックレス (短) ¥309,000、ネックレス (長) ¥503,000、ブローチ ¥84,000、ベルト ¥153,000、両腕にしたブレスレット各 ¥233,000、左腕にしたバングル ¥261,000、全て Chanel (シャネル)、ソックス/スタイリスト私物

トップス ¥175,000、パンツ ¥869,000、シューズ ¥122,000、ネックレス (短) ¥309,000、ネックレス (長) ¥503,000、ブローチ ¥84,000、ベルト ¥153,000、両腕にしたブレスレット各 ¥233,000、左腕にしたバングル ¥261,000、全て Chanel (シャネル)、ソックス/スタイリスト私物

―巨匠クリストファー・ドイルと一緒に仕事をした感想は?

この役を演じるにあたり、脚本以外の資料はほとんどなかったんです。むしろ、ドイル監督が一番大切にしていたのは、現場の雰囲気とカメラの動きでした。現場に行く前にドイル監督に「こんな風に演じようかと思うのですが」と何度か相談したのですが、監督は「いや、現場に行けば分かるから」の一点張りで、指示も指導もまったくない(笑)。監督が役者に期待したことは、「現場へ行き、その場でその時に感じたことをそのまま演じる」ということだったように思います。

私にとって、今回の演技はとてもチャレンジングでした。ただ、監督は絶対に「今の演技は悪かったよ」とは言わないんです。それよりも、「次はもっとこうしてみたら?」というふうにアドバイスを下さる。つまり、自由に演技をさせてもらっているようでいながら、次のカットではより高いハードルを越えなければいけない。自由度も高いけれど、自分が求める完成度もどんどん高くなっていく……やはり難しかったですね。

ジャケット ¥880,000、パンツ ¥293,000、フィンガーレスグローブ ¥92,000、シューズ ¥91,000、ネックレス ¥440,000、ジャケットにつけたブローチ (ロゴ) ¥57,000、ジャケットにつけたブローチ (香水ビン) ¥62,000、全て Chanel (シャネル)

ジャケット ¥880,000、パンツ ¥293,000、フィンガーレスグローブ ¥92,000、シューズ ¥91,000、ネックレス ¥440,000、ジャケットにつけたブローチ (ロゴ) ¥57,000、ジャケットにつけたブローチ (香水ビン) ¥62,000、全て Chanel (シャネル)

―幻想的でミステリアスな雰囲気をかもし出しながら、16歳のリアルな感情をもった少女を見事に演じていらっしゃったと思います。オダギリ・ジョーさんとのケミストリーも素晴らしかったですね。

オダギリさんとのシーンは本当に勉強になりました。もちろん言葉の壁はあったのですが、言葉にしなくてもお互い“なにか”が通じ合ったような気持ちになりました。オダギリさんは現場の雰囲気をとても大事になさる方で、皆に安心感を与えてくれる方。例えば、波が押し寄せる海辺でのシーンでは、私たちが波にさらわれないようにワイヤーが張り巡らされていたのですが、「オダギリさんがいれば安心だ!」と思ってしまうような(笑)。オダギリさんとの撮影は本当にスムーズに運んで、どのシーンでも大体2カットで完成したんですよ。

―本作は「トロピカル(我々がかつていた場所)・ノワール(目にみえないもの)」と監督たちが名づけたそうですが。

私が脚本で一番気に入ったのが、物語の時間と空間がとてもあいまいな設定というところでした。どの時代なのか、場所はどこなのか、クリアに描かれていません。映画の舞台となった漁村もいずれ消えて行く運命にある、現代の香港からどんどん失われていく“古き良き時代”を象徴しています。この映画を通して、香港における“古き良き時代”と“新しい時代”の出会い、そして、失われつつある古い世界を記録するのは大切なんじゃないかな、と思ったんです。

―“香港最後の漁村”、“陽に当たらない少女”という設定が、グローバル化の波の中で、揺らぐ伝統文化や波に乗り遅れた人々を指しているということですか?

この漁村がいつか失くなってしまうことは少女を含め、漁村の皆も分かっています。でもそれでも皆、村を離れようとはしません。映画の最後にも明確な答えが提示されているわけではなく、なんとなくフェードアウトして終わる結末ですよね。ここには、“リアルな人間”が映し出されていると思うんです。失われるのが分かっているからといって、現実を捨てるのは難しい。問題や困難が待ち受けているのが分かっていながらも、私たちは成るがままに身を任せてしまう……。新しい時代の到来において、こういった身の処し方を選ぶ人は案外多いのかもしれません。

―世界中の人々が香港に憧れる心の根底には、ウォン・カーウァイの監督作でフェイ・ウォン主演の『恋する惑星』(1995年)のイメージがあると思います。1993年生まれのアンジェラさんにとって、90年代に世界を魅了した彼女はどんな存在ですか?

私はフェイ・ウォンの大ファンで映画も全部観ているし、歌も全部歌えます!(笑) 彼女を超えられる人なんて誰もいません!(笑) 彼女を目標にするというのもおこがましいぐらいなんですが、「彼女のような演技ができればなぁ」といつも思っています。でも、『宵闇真珠』って実は『恋する惑星』になんとなく似ているところがあるんじゃないかな。両作品とも幻想的な物語のなかで夢見る少女を描いていますよね(笑)。

―今日のアンジェラさんの私服はシャネルのヴィンテージ風Tシャツにワイドデニムをあわせてとても素敵なのですが、ヴィンテージファッションがお好きなのですか?

ヴィンテージはよく着ています。モノを大切にすることはエコですし、それよりもなによりも、“物語”がある服が好きなんです。ヴィンテージに限らず、“ストーリー”がある服やスタイルに惹かれます。

―東京ではショッピングを楽しまれましたか?

原宿へ行きました! あとは下北沢へ行って古着屋さんめぐりも。色いろな古着から自分だけの1枚を見つけるのが好きなんです。

ジャケット ¥552,000、ネックレス ¥131,000、全て Chanel (シャネル) | Photo by Chikashi Suzuki

ジャケット ¥552,000、ネックレス ¥131,000、全て Chanel (シャネル) | Photo by Chikashi Suzuki

問い合わせ先/シャネル (カスタマーケア) 0120-525-519

<プロフィール>
Angela Yuen (アンジェラ・ユン)
1993年10月25日生まれ、香港出身。香港浸会大学を卒業し、学士号を取得。2015年にモデルデビューし、一流ブランドの広告塔やアンバサダーに選ばれ、一躍トップモデルに駆け上がる。また、ファッション・シーンから注目を集めるだけではなく、峯田和伸が率いるロック・バンド「銀杏BOYZ」のシングルのジャケットを飾るなど、今もっとも注目を集めるアジアの次世代ミューズである。

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