Rosetta Getty
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デザイナー Rosetta Getty(ロゼッタ・ゲッティ)インタビュー

Rosetta Getty

Writer: Arisa Shirota

Portraits/

こんなにも目まぐるしく、情報や人、お金が世界を飛び交う時代がこれまでにあっただろうか。そして、改善の余地はあれど、こんなにも女性が自由に活躍できる時代がこれまでにあっただろうか。

時代が必要としていたブランド、Rosetta Getty (ロゼッタ・ゲッティ)。デザイナー自身の名前が冠されたNY発のブランドだ。Getty の作り出す洋服は、オフィスからディナーパーティまで、シーンを選ばず着ることのできるモダンなリアルクローズとして、多くの女性から支持されている。その凜とした美しさを感じさせる洗練されたデザインは、現代を生きる女性として、芯の強さとしなやかさを持つデザイナー自身の姿勢を反映しているようだ。

デザイナー Rosetta Getty(ロゼッタ・ゲッティ)インタビュー

実際、Rosetta Getty (ロゼッタ・ゲティ) の洋服を一番必要としているのは、Getty 自身かもしれない。なぜなら、彼女はNYをブランドの拠点としながら、LAで俳優兼音楽家として活躍する夫 Balthazar Getty (バルサザール・ゲッティ)、そして4人の子供と暮らす母親。彼女自身が、ディナーパーティに着ていく洋服を選ぶ時間も惜しむような、アクティブな生活を送る女性の1人なのだ。

彼女のファッションのバックグラウンドを振り返ると、現在のスタイルにたどり着くまでに、紆余曲折を経てきたことがわかる。15歳でモデルとしてキャリアをスタートし、その後ロサンゼルスの名門美術大学、オーティス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインを卒業。これまでに2つのブランドを手がけた経験を持つ。彼女は、その経験から自身のデザインをミニマルで洗練されたスタイルへと昇華させてきた。そして、2014年にスタートさせたのが、Rosetta Getty。「タイムレスなデザインは、私たちが生きている広義な意味での文化を写したもの」と語る彼女のブランドは、毎シーズン異なる女性アーティストたちとコラボレーションを重ねることで、その”文化”を更新している。時代の雰囲気を読み取りながら、自身のフィルターを通して世界中のアーティストの持つユニークな要素を洗練されたデザインへと落とし込む Rosetta Getty に自身のブランドと生活について話を聞いた。

―はじめに、あなたはLAのコミューンで生まれ育ちましたよね。どのような環境で育てられ、その経験はあなたにどのような影響を与えていますか?

育った環境のおかげか、私は子供の頃から自分を自由に表現することが得意でしたね。私の両親は、私をルールで縛ったりせず、何に関しても限界を決めなかったんです。だから、いつも自分の夢を無限に想像することができました。今では私は4人の子供の母親。私も両親が私を育ててくれたように、子供たちが自由に、クリエティブになれるよう心がけていますね。もう1つ私が育った環境から学んだことは、実践的な考え方。私の両親はヒッピーで、とても実践的なものの考え方をする人たちなんです。自分のブランドで、女性の生活に寄り添った実践的で機能的な洋服をデザインするのは、私のバックグラウンドの影響も大きいと思います。

―ファッションやアートの勢いがここ数年で更に盛り上がっているLAで生活されていますよね。LAの文化にインスパイアされることはありますか?

LAは最高!正直、ずっとここで暮らしていたい!特に、LAで活動しているアーティストたちからは大きなインスピレーションをもらっています。彼らは、数え切れないほどのユニークなアイディアをシェアしてくれるんです。今、アーティストが世界中からLAへ移住していて、私が子供の頃にはなかったエネルギーを感じますね。

―LA以外に、ブランドと一番繋がりのある場所はどこですか?

NY。ブランドの本社があって、コレクションのほとんどをそこで作っているんです。ファッションに紐づいた歴史のある、ガーメントディストリクトという地域で働く人たちと一緒に洋服を作っていて、彼らと働けていることを誇りに思っています。アメリカのファッションを盛り上げたいので、アメリカ国内でのプロダクションにこだわっていますね。

―Rosetta Getty はどのような世界観を持ったブランドですか?

表現したいのは、控えめなモダンラグジュアリー。私自身、仕事で常にLAとNYを行き来しているわけですが、自分の西海岸と東海岸というふたつの土地を行き来するライフスタイルが、デザインにも影響しているんです。仕事や旅行、家族で過ごす時間など様々なシーンに合う、いつでも快適に着られる洋服を作っています。それと、私たちが常に大きなインスピレーションを受けているのは、アートの世界。シーズン毎に色々なアーティストとタッグを組んで、洋服を作るために重要な、生地や色、雰囲気を一緒に考えているんです。

―Rosetta Getty は、様々な分野で活躍する女性アーティストたちからインスピレーションを得ています。どうして彼女たちはそんなに魅了的なのでしょうか?

私たちは皆、クリエイター。何かを作り出す上で、私と彼女たちの創作へのアプローチの仕方にはたくさんの共通点があり、共感するものがあるんです。アプローチだけでなく、創作のプロセスやプレゼンテーションの仕方も。それと、現在の女性たちには教養があって、1つだけでなくいくつかの分野に興味を持っていますよね。Rosetta Getty で表現したいのはモダンラグジュアリーと先ほども言いましたが、ブランドを作る上で、彼女たちの視野の広さも取り入れたいと思っています。タイムレスなデザインとは、私たちが生きている広義な意味での文化を写したものであるとも思っているからです。

―今までコラボレーションしたアーティストからどのような影響を受けていますか?

今までたくさんのアーティストとコラボしてきました。Alicia Kwade (アリシア・クワド)、Analia Saban (アナリア・サバン)、Hayden Dunham (ヘイデン・ダナム)、Liz Glynn (リズ・グリン)、Ana Ostoya (アナ・オストヤ)…。彼女たち一人一人から影響を受けていますね。例えば、Alicia と私には、ビジネスでコラボレーションをする関係性だけでなく、子供を持つ親としてのパーソナルな関係性もあります。Hayden Dunham とはデザイン分野での科学的な実験というコンセプトについてたくさん議論したり。私はデザイナーとして、日々形や素材と向き合っているわけですが、Hayden が、自分1人では思いつかないような面白いプリントやテクスチャーとの向き合い方を教えてくれました。

―アートとファッションはどのような繋がりがあると思いますか?

説明するのは難しいけれど、アートとファッションは常に関わりあっています。アーティストとの会話には、いつも夢中になってしまいますね。アーティストは全てのことに関して分析したり、意味を探したりしていて、その視点が最高にエキサイティングなんです。

―あなたのお気に入りのアーティストは誰ですか?

1人には絞れません!どうしてもというなら、Georgia O’Keeffe (ジョージア・オキーフ) かな。

―あなたのミューズは誰ですか?

この答えも、Georgia O’Keeffe。彼女は、自分の思うように人生を全うした人。そして、自然体で運命を楽しんでいた人でもあるの。今では、彼女は女性たちが世に出る道を切り開いた、とても勇敢な女性と考えられている。Georgia O’Keeffe の生き様は本当に素晴らしいんです。

―女性の立場や役割は昔と比べてどのように変わったと思いますか?そして、これからどのように変わると思いますか?

劇的に変わったわ!女性も、実行役員などの重要な役職に就ける環境になりましたよね。それは、女性だけでなく社会全体にとって大きな価値のあることだと思うんです。今は、色々な情報を簡単に手に入れられて、発信できる時代だから、若い世代の人たちは平等性の重要さを訴えかけやすくなったし。それと、お互いをサポートしやすくもなったと思う。でも、まだ変えるべきことはたくさんあります。日頃の出来事について子供達とも議論していきたい。彼らは女性のエンパワーメントについてとても興味を持っているみたいだから。

―あなたは、デザイナーとして活動する以外にも、NGO「Give Love Organization (ギブ・ラブ・オーガニゼーション)」の設立者で、ディレクターとしても活動していますよね。何を目的としている団体なのでしょうか?

“ギブラブ”では、学校やコミュニティ、NGOと協力して、助けを必要としている地域で衛生面の支援をしています。ハイチやコロンビア、ケニアなどの国では、安全な水が供給されていない地域がまだまだたくさんあるんです。10年前、ハイチで起こった大地震のあとには、友人のパトリシアと一緒にハイチに足を運び、現地のコミュニティを支援したり、物資を届ける活動をしてきました。助けを必要としている人たちを支援することは大切。それと、最近では、若い世代に責任を持った消費の仕方を教える必要があると思っています。消費者としての責任を、皆に考えて欲しい。持続可能な消費を心がけることで、いくつかの問題は解決できるはずです。

―あなたは、ファッションデザイナーであると同時に、アートコレクターでもあり、子供を持つ母親でもあります。どのように生活のバランスをとっているのですか?

家族の支えと、ブランドチームの理解にはとても感謝しています。それと、毎日欠かさず瞑想をしているんです。きっとそれが心を穏やかに保つ秘訣ですね。

―1日の過ごし方を教えてください。

家族の中で一番早く起きるのはいつも私。まず瞑想して、それからコーヒーを飲むんです。メールを返してからは、子供達を学校に送り届ける時間。それから、デザインスタジオへと向かいます。スタジオでは、必要に応じて色々な部門と一緒に働くんです。家族と食事をする大切な時間のために、午後6時には家に帰るようにしています。それからは、またメールを返したり、インスピレーションを得るために最新のアーティストの作品やドキュメンタリーを見たり、主人とブレインストームなどをして過ごしています。

―生活の中で、大切にしているものは何ですか?

家族や友人との関係です。本当に大切だと思えるものは、最終的に彼らだと思いますね。

―人生を送る上で、どのような姿勢を貫きたいと思っていますか?

見返りを求めず、与えることを惜しまない姿勢。

―自分の人生についてどう思いますか?

自分の人生を心から愛しています!自分の周りにあるもの全てが、奇跡です。

―ブランドを通して、世の中にどのような価値を届けたいと思っていますか?

ブランドは私にとって、メッセージやアイディアをコレクションという形で伝える、1つの手段なんです。現代の社会では、皆本当に必要なものはもう既に持っているので、消費の形が日々の生活でプラスになるようなインスピレーションを求めたり、何か目的を持ってものを買うという傾向に変化していると思います。それと、現代に生きる人たちのマインドセットと共鳴するものが求められていると感じています。私が常に意識していることは、持続可能な消費活動をサポートすることや、毎シーズンアーティストとコラボすることによって彼らをサポートするなど、自分たちが世界に何か良い働きかけをすることです。