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「何でもシェアしてきたから強い絆で結ばれていると思う。音楽で繋がった絆かな」ノース・ロンドンから新鋭 Sorry が愛するもの

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photography: yuto mizuya
interview & text: mami chino

Portraits/

Real Estate (リアル・エステート) や Arctic Monkeys (アークティック・モンキーズ) など、数多くの実力派アーティストを有するイギリス最大のインディペンデント・レーベル Domino (ドミノ)。ノース・ロンドンの幼馴染で結成されたバンド、Sorry (ソーリー) は Domino 最大の秘蔵っ子だ。コロナ禍でリリースしたファーストアルバム『925』で瞬く間に人気に火がついた彼らは、昨年リリースした新譜『Anywhere But Here』をひっさげ、念願の初来日公演を果たした。取材中に垣間見えた彼らの掛け合いの絶妙な間合いは、リスナーが楽曲やギグを通して感じられる違和感のようなものと限りなく近いだろう。会話が多いわけでもなくちょっと不気味、だけどなぜか心地良いという複雑な感情のレイヤーがバンド本人と、彼らの表現する空気や音に滲み出て、どこかくせになる。カジュアルに行われたインタビューから、そんなムードを感じて欲しい。

「何でもシェアしてきたから強い絆で結ばれていると思う。音楽で繋がった絆かな」ノース・ロンドンから新鋭 Sorry が愛するもの

—こんにちは。 今回が初来日になりますよね?

Lincoln Barrett (以下Lincoln) :アメージングだよ!

Louis O’Bryen (以下 Louis ):日本でプレイすることを何年も夢見ていたんだ。

Asha Lorenz (以下 Asha):イギリスから遠かったけど、原宿にあるレコードショップの BIG LOVE RECORDS (ビッグ・ラブ・レコーズ) から7インチのシングルをリリースしたこともあって、日本とは繋がりを感じていたの。

—BIG LOVE RECORDS との出会いは?

Asha:Domino のスタッフがお店の人と知り合いで、最初は私たちのミックステープをお店に置いてもらうところから関係が始まった。それがカセットテープだったから、後にヴァイナルでも作ってもらったんだ。そこから仲良くなったんだよね。

—そのミックステープがすごくレアだと聞きました!

Asha:もうBIG LOVE RECORDS でも完売しているんじゃないかな? いや、1つは残っているのかな? というか保管しているってことなのかな……? とにかく、私はもう手元にひとつもないのよ(笑)。

Campbell Baum(以下 Campbell):俺は2個持っているけど。

Lincoln:え、まじ? シカゴでギグをした時に、それを持ってきたファンがいて、手に入れるまで相当苦労したって語られたよ(笑)。

 

—初来日ですし、何か日本でやってみたいことはありますか?

Louis:神戸牛は食べてみたいよねー。

Asha:実は一昨日くらいにみんなでディズニーシーに行ったんだけど、その日は雨が降っていた上に風も強くて……。そのせいで今日は風邪気味よ。ライブの翌日には出国しちゃうから、本当はもっと長く滞在したかったな。

Louis:何かおすすめがあったら教えてよ、今夜中に全部やるからさ。ちなみにやってみたことは、明治神宮に行って、いくつかのレコードショップを覗いてみて、ボーリングを何ゲームかした。

—結構、楽しみましたね(笑)。下北沢はロンドンで言うとダルストンみたいな雰囲気で、レコードショップとか古着屋さんもたくさんあるし、きっと心地良いと思いますよ!

Marco Pini(以下 Marco):行ったよ! たしかにそうだね。

Lincoln:俺、一緒に行けなかったから明日にでも行きたい! 頑張って早起きしないと(笑)。飛行機ではぐっすりだったのに、こっちに着いたら時差ボケでちっとも寝られないんだ!

Campbell:Marco も時差ボケがひどそうだったよね。

Marco:うん、どうしても4時に目が覚める……。また少し寝るために、ひとりで出歩いてラーメンを食べに行ったよ。

Lincoln:あの青いコンビニ……そうだローソン! 俺も寝られないからガウンのまま、ローソンのおにぎりを買いに行ったよ。で、また10分後に今日の格好に着替えてホテルを出発したんだけど、またそこに寄っておにぎりを買ったらレジ打ちの店員がなぜかびっくりしていた(笑)。

Louis:するだろ(笑)。

—今日はみなさんジャケットを羽織っていて、かなりシックなスタイルですが、話し合って決めたんですか?

Lincoln:本当はホテルのガウンのままで来たかったよ。

Asha:一応、今回のアルバムの世界観に染まりたくてシックにまとめたの。アルバムに合った装いができるように毎回変えていきたいんだよね。

Lincoln :いつかパジャマでやろうよ!

Louis:そういえば、東京の古着屋でもいくつか買い物したんだ。俺とアーシャとキャンベルの3人でね。

Asha:いま被っているハットがそれよ。

Lincoln:明日、俺も探すわ。まじでパジャマが欲しい。

 

—『Anywhere But Here』はパンデミックが終わってすぐに制作したものですか?

Asha:そうね。ほとんどが昨年中に制作したもので、まだ行動規制があった頃だったけど、レコーディングはすべてブリストルでやった。Lincoln がそのタイミングでコロナの濃厚接触者になっちゃって……。

Lincoln:大変だったよ……スタジオの中に入れないから、外に停めた車の中で遠隔で指示を出して作ったな。

—『925』がそれこそコロナ真っ只中で発表したアルバムでしたが、そこから今作を制作するのにあたってのモチベーションは何だったのでしょうか?

Louis:『925』はファーストアルバムということもあって、すべてのことに対してのモチベーションが高かったことを覚えているけど、正直そこからしばらくの間は何をやったらいいのかわからない日々が続いていた……。

Asha:んー? でも思い返すと音楽制作はずっと続けていたじゃん? だから次のアルバムを完成させる準備はいつでもできてたっちゃできていたんだよね。

—ノース・ロンドンの幼馴染の仲間とともに結成した Sorry ですが、振り返ると結成当時はどんな人やものからの影響が大きかったですか?

Asha:横並びのバンドや、メンバーでさえもみんながお互いからインスピレーションを受けていたと思う。

Campbell:俺たちは10代からバンドをやっていたから、とにかくギグで受けた影響が大きかったよ。

Louis:そうだね。Sorry を始めた当時、同じライブハウスでプレイしていたバンドはどれもスタイルが違かったから、音楽的にというよりはライバルみたいなもので彼らの存在そのものから刺激をもらっていたんだよな。

—そもそも Sorry のバンドメンバーはどうやって集まったんですか?

Louis:Asha は俺の同級生で、Lincoln は Asha の家の近所だった。Campbell とはギグで出会ったんだっけ?

Campbell:そうだね、その時はライブハウスでブッキングを担当していたんだ。

Louis:ロングヘアーでね。それで、Marco は Asha の友達で、気がついたらギグに行く仲になっていた。なんとなくそれでメンバーになっていったって感じかな。

Lincoln:そうだね。バンドってツアーを続けていくうちに仲が拗れることってよくあることなんだ。でも俺たちは、昔からお互いの考えやフィーリング、好きな音楽、自分で作った音楽まで何でもシェアしてきたから強い絆で結ばれていると思う。音楽で繋がった絆とも言うべきかな。

—Sorryの音楽制作に打ち込んでいる時間以外で、みなさんがどんなことをしているのかも気になっています。

Lincoln:寝ているよ。

Asha:うーん……でも、やっぱり音楽を作っているんだよね。Marcoも GG Skips 名義で活動しているし、Campbell も Broadside Hacks っていうトラディショナル・フォークにフォーカスしたプロジェクトを進めている。結局、みんな音楽を愛しているの。

Lincoln:それはそうだね。

Louis:全てが楽曲制作に繋がることばかり自然とやっている気がする。リリックを書いたり、映像作品をディグったり。

Campbell:“So Music” だろ。

Asha:“NO MUSIC NO LIFE”。

—まさにですね。では最後に、日本のファンに向けて謝って(Sorry)おきたいことはありますか?

全員:長いこと待たせて、ごめんね!