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コムアイが纏うマルティン・ラミレス vol.3 Boat and Canal

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model: kom_i
photography: yusuke yamatani
styling: shohei kashima
hair: takai
make up: kanako yoshida
text & edit: manaha hosoda

20世紀の最も優れたアウトサイダー・アートの画家と評される Martin Ramirez (マルティン・ラミレス)。故郷であるメキシコを離れ、アメリカに移住するも、孤独に苦しみ、精神病を患った同氏は、隔離状態の中で何かに取り憑かれたようにドローイング作品を描き続けた。

様々な問題に直面し、自由と変化の必要性がかつてないほど叫ばれる今の時代の空気と Martin Ramirez の作品群が共鳴すると考えたパリジャンブランドの LEMAIRE (ルメール) はカプセルコレクションとして、ファブリックの上に原画を忠実に再現。困難の連続に見舞われた激動の人生から生み出された作品の数々に、あなたは何を見る?ミュージシャン、モデル、女優として活躍し、最近では環境問題にも積極的に取り組むアーティストのコムアイが2シーズン目となるコレクションを纏う。(最終回/全3回)

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コムアイが纏うマルティン・ラミレス vol.3 Boat and Canal

ドレス ¥244,000、トップス ¥122,000/ともに LEMAIRE (ルメール)、タイツ *スタイリスト私物

ハイネックトップス¥66,000、スカート¥99,000/ともに LEMAIRE (ルメール)

ラストを飾るのは、そのタイトルの通り運河を進む帆つきの舟を描いた「Boat and Canal」。遠近法を無視した幻想的な世界は、テキスタイルに落とし込まれることによって、サイケデリックなムードに。幾重にも線を重ねたプリミティブな作品は、陽にさらされたようなコットンリネンで質感までが描写されている。フロントに配されたボタンとベルトでシルエットを遊べるクロップドトップスは、vol.1で登場した「Madonna」をプリントしたパラシュートドレスとレイヤード。同じく「Boat and Canal」が描かれたスカートを合わせれば、セットアップを楽しむこともできる。

以前のように、好きな時に好きな場所へ行くことができなくなった昨今。精神病棟で外界から遮断され、自身の心象風景を焼き付けた Martin Ramirez のドローイングには改めて、心に迫る何かがある。夢と現実の狭間で葛藤し、苦しみ、もがいた彼が最後に見た景色とは一体どんなものだったのか。ただ美しいだけではない、強い意志が託されたコレクションを通して、一人の画家の人生に思いを馳せてみたい。

「Madonna」が描かれたドライシルク製のスカーフ。¥33,000/LEMAIRE (ルメール)