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aya iwanaga

【写真家たちの目線】 vol.6 岩永彩

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今、あなたが見ている明日はどんな景色ですか? のアンサーとなる1枚を、それに紐づく言葉とともに寄せてもらう本企画。写真家が写真家に繋ぐリレー形式でお届けする。

第5回に登場した赤鹿麻耶が紹介してくれたのは、役者と写真家という2つの顔を持つアーティストの岩永彩。出身地である大阪から2012年に上京。役者として舞台に立ちながらも、ポートレートを中心としたパーソナルな作品を撮り続けている。2020年7月より東京・渋谷のモガカフェでモーニング喫茶「morning dew」をスタートする予定だったが、新型コロナウィルスの影響により敢えなく延期に。続報を待ちながら、ひとつのフィールドに収まらない彼女の活動に今後も期待したい。

赤鹿からは以下の紹介文を寄せられた。
「彩ちゃんは写真学校の同級生です。当時パン屋で働いてた彩ちゃん。売れ残ったパンを毎日持ってきてくれる優しい人でした。今でも会うと、こんな優しい人いる!?っていつもびっくりします。卒業後、みんなバタバタと写真のお仕事に向かったけど、彩ちゃんは今も変わらず、生活の中でのんびりと写真を楽しんでます。」

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【写真家たちの目線】 vol.6 岩永彩

「明日」とは夕方に出会うことが多い。

きょうは最寄駅を降りたときだった。本当に最悪だったの。会った瞬間にノンストップで愚痴るわたしに「大丈夫〜なんとかなるよ〜」と声をかけてくれる。最後に買えばよかったなと右手に持つトイレットペーパーを自動ドアにぶつけて思った。スーパーでのルートはいつも決まっている。お弁当用の冷凍食品を選んで、新商品のお菓子をチェック。

そうか、もう秋か。
朝のパンは悩んだ末にこれにしよう。

帰り道、突然両手が軽くなった。

「持つよ!だってこれ、わたしへのプレゼントでしょ?」と「明日」がスキップしながら前へ進む。

なにそれ。 

すこし進んだところでつまずいた「明日」が照れ臭そうに「ダンス」と言って笑った。

つられて一緒に笑うと心もすこし軽くなった、気がした。
(文・岩永彩)