今週のTFP的おすすめ映画
TFP的
おすすめ映画
「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を月替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、
The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。
3/2026
『落下音』
©Fabian Gamper – Studio Zentral
本作が長編第2作となるドイツ出身の新鋭 Mascha Schilinski (マーシャ・シリンスキ) が監督・脚本を手がけ、北ドイツの農場を舞台に、それぞれ異なる時代を生きる4人の少女が体験する不可解な出来事を描いた映像叙事詩。1910年代、アルマは同じ村で自分と同じ名前を持つ、幼くして死んだ少女の気配を感じる。1940年代、戦争の傷跡が残るなか、エリカは片足を失った叔父への抑えきれない欲望に気づき、自らの得体の知れない影に戸惑う。1980年代、アンゲリカは常に自分の肌にまとわりつく“何か”の視線におびえていた。そして現代、家族とともに移り住んだレンカは、自分の存在が消えてしまいそうな孤独感にさいなまれる。4人の少女の不安は百年の時を経て響き合い、北ドイツの農場を静かに覆い尽くしていく。時間と存在の境界を揺るがす奇妙な物語が、観る者を記憶の迷宮へと誘うような映画体験をもたらす。
公開日: 4月3日(金)
監督: Mascha Schilinski
出演: Hanna Heckt (ハンナ・ヘクト)、Lea Drinda (レア・ドリンダ)、Lena Urzendowsky (レーナ・ウルゼンドフスキー)
HP: gaga.ne.jp/rakkaon_NOROSHI
『OCHI! オチ』
©2024 KURKAMART LLC AND IPR.VC FUND II KY. ALL RIGHTS RESERVED.
孤独な少女と不思議な生き物の心揺さぶる冒険の旅を、独創的な映像表現で描いたファンタジー映画。Björk (ビョーク) をはじめとする著名アーティストたちのミュージックビデオを手がけてきた映像作家 Isaiah Saxon (アイザイア・サクソン) が長編初監督・脚本を手がけ、パペットやアニマトロニクスなどアナログなクラフトを取り入れながら、幻想と現実が溶け合うノスタルジックな世界観で描き出す。霧に包まれた村の奥深い森に棲む、大きな瞳と耳を持った不思議な生き物・オチ。村の人間たちは何世代にもわたり、その存在を恐れ遠ざけてきた。オチを狩る父に戸惑い心を閉ざす少女ユーリは、怪我をした小さなオチを見つけ、ひそかに家へ連れ帰り傷の手当てをする。伝承とは異なるオチの本当の姿を知ったユーリは、幼いオチを家族の元へ帰すべく冒険の旅に出る。『システム・クラッシャー』の Helena Zengel (ヘレナ・ゼンゲル) が主人公ユーリを繊細かつ伸びやかに演じ、『哀れなるものたち』の Willem Dafoe (ウィレム・デフォー) がユーリの父マキシム役、『奇跡の海』の Emily Watson (エミリー・ワトソン) が母ダーシャ役、Netflixドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の Finn Wolfhard (フィン・ウルフハード) が兄ペトロ役で共演。神秘的な映像美と手触りのあるクラフトが織りなす、異彩のノスタルジック・ファンタジーがスクリーンに放たれる。
公開日: 4月3日(金)
監督: Isaiah Saxon
出演: Helena Zengel、Finn Wolfhard、Emily Watson
HP: a24jp.com/films/ochi
『Riceboy ライスボーイ』
©2022 Riceboy Sleeps Production Inc.
1990年代のカナダを舞台に、韓国から移住してきた母と息子の絆を16ミリフィルムの美しい映像で紡いだドラマ。自身も8歳で韓国からカナダに移住した経験を持つ Anthony Shim (アンソニー・シム) が監督・脚本を手がけ、移民としてのアイデンティティの揺らぎや親子の葛藤と再生を、力強くも繊細に描き出す。恋人を亡くし未婚の母となったソヨンは、まだ赤ん坊の息子ドンヒョンを連れてカナダのバンクーバー郊外に移住する。工場で働きはじめたソヨンは、言葉や文化の壁、人種差別に直面しながらも、懸命に息子を育てていく。やがて16歳になったドンヒョンは英語名「デービッド」を名乗り、カナダでの生活にすっかりなじんでいたが、心の奥底では自身のルーツや一度も会ったことのない父の存在に思いを募らせていた。そんなある日、衝撃的な知らせを受けた母子は初めて韓国へ帰郷し、悲しみの過去と対峙することになる。韓国を拠点にダンサー・振付師・俳優として活動する Choi Seung-yoon (チェ・スンユン) が母ソヨン、ドラマ『アンブレラ・アカデミー』の Ethan Hwang (イーサン・ファン) が息子ドンヒョンの青年期を演じた。16ミリフィルムの柔らかな光に包まれた、記憶と再生の物語を静かに映し出す。
公開日: 4月3日(金)
監督: Anthony Shim
出演: Choi Seung-yoon、Ethan Hwang、Dohyun Noel Hwang (ドヒョン・ノエル・ファン)
HP: culturallife.co.jp/riceboy
『マダム・ソワ・セヴェンヌ』
マリー・アントワネットが愛したとされるロココ時代の伝説の絹「セヴェンヌ」が、300年の時を経て日本でよみがえる様子をとらえたドキュメンタリー。神々しい白さと豊かな光沢に、軽くて強い特性を持ち、世界一美しい絹と謳われたセヴェンヌ。その伝統と技術を未来につなぐため、シルク産業の最前線に立つ日仏の養蚕家、製糸・織物職人、染色家、研究者、世界的メゾンの取り組みを、3年の歳月をかけて取材。かつて世界最高品質であった日本の養蚕技術の現状や海外からの視点を交えつつ、職人たちの手仕事と技術、天然素材で染め抜かれた鮮やかな色彩を、あますところなく映し出す。監督は『紅花の守人 いのちを染める』『世界一と言われた映画館』の佐藤広一。西陣織や丹後ちりめんにも造詣の深い、歌舞伎俳優で人間国宝の坂東玉三郎がナレーションを務めた。悠久の時を越えて受け継がれる美と技が、静かに輝きを放つ。
公開日: 4月4日(土)
監督: 佐藤広一
出演: 下山菊夫、ミッシェル・コスタ、高松秀徒
HP: madame-cevennes.com
『そして彼女たちは』
©Les Films du Fleuve – Archipel 35 – The Reunion – France 2 Cinéma – Be Tv & Orange – Proximus – RTBF (Télévision belge) / Photo©Christine Plenus
『ある子供』『少年と自転車』などで知られるベルギーの名匠 Jean-Pierre Dardenne (ジャン=ピエール・ダルデンヌ) 監督と、Luc Dardenne (リュック・ダルデンヌ) の兄弟が手がけた本作は、母子支援施設で暮らす5人の若き母親たちを描いた群像劇。製作には、『CLOSE クロース』の Lukas Dhont (ルーカス・ドン) 監督が共同プロデューサーに名を連ねた。若くして妊娠した女性たちを支援する施設で共同生活を送る、ジェシカ、ペルラ、アリアンヌ、ジュリー、ナイマの5人の少女。頼る人を持たず、貧困や暴力などさまざまな問題を抱える彼女たちは、戸惑い、悩み、目指すべき家族像を見いだせないまま母親になる。押し寄せる孤独感に飲み込まれそうになりながらも「愛する」ことを望む少女たちは、時に誰かに寄り添われ、それぞれが歩むべき道を選びとっていく。若くして母となった彼女たちの決断と、その先にある未来が、観る者の心を静かに揺さぶる。
公開日: 3月27日(金)
監督: Jean-Pierre Dardenne、Luc Dardenne
出演: Babette Verbeek (バベット・ヴェルベーク)、Elsa Houben (エルザ・ウーベン)、Janaina Halloy Fokan (ジャナイナ・アロワ・フォカン)
HP: www.bitters.co.jp/youngmothers
『私たちの話し方』
©2024 One Cool Film Production Limited, Lee Hysan Foundation. All Rights Reserved.
『狂舞派』『狂舞派3』で高く評価された Adam Wong (アダム・ウォン) 監督がメガホンをとり、聴覚に障害のある3人の若者たちの変化と成長をみずみずしく描いた香港発の青春映画が公開。20代のソフィーは3歳の時に聴覚を失い、人工内耳を装用することで「聞こえる人」として普通の生活を送ろうとしている。一方、ジーソンは生まれながらのろう者として、手話話者であることに誇りを持って生きている。アランは人工内耳装用者で、手話と口話のバイリンガルであり、手話禁止で口話教育を推進するろう学校で出会ったジーソンとアランは、お互いの環境の違いを認識しながらも、親友のまま大人になった。やがて、人工内耳を推奨するアンバサダーとしてアランとソフィーが出会うが、人工内耳の推進イベントでソフィーが語った「科学が発展すれば、この世からろう者はいなくなる」という言葉にジーソンが激怒してしまう。『作詞家志望』『黄昏をぶっ殺せ』の Chung Suet Ying (ジョン・シュッイン) がソフィーを演じ、Panther Chan (パンサー・チャン) による主題歌『What If』の作詞も担当。聴覚障害者の内なる世界に没入できる本作品を、スクリーンにて体感してみて。
公開日: 3月27日(金)
監督: Adam Wong
出演: Neo Yau (ネオ・ヤウ)、Chung Suet Ying、Marco Ng (マルコ・ン)
HP: mimosafilms.com/thewaywetalk
『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』
©2026映画「ストリート・キングダム」製作委員会
『アイデン&ティティ』の監督・田口トモロヲと脚本家・宮藤官九郎が再タッグを組んだ青春音楽映画。日本で初めてパンクロックを自分たちの手で生み出した若者たちによるムーブメント「東京ロッカーズ」の姿を、彼らのカメラマン兼マネージャーだった写真家・地引雄一の自伝的エッセイ『ストリート・キングダム』を原作に描く。1978年、ラジオで耳にしたセックス・ピストルズに突き動かされて上京したカメラマンの青年ユーイチは、小さなロックミニコミ誌『ロッキンドール』をきっかけに、ライブハウスを訪れる。そこは音楽もバンドも観客たちも何にも縛られない生のエネルギーにあふれた場所で、ボーカルのモモが率いるバンド「TOKAGE」のライブに衝撃を受けたユーイチは夢中でシャッターを押す。正式にカメラマンとして撮影を依頼されたユーイチは、彼らと交流を重ねていく。やがて彼らの音楽は若者たちを熱狂させ、そのムーブメントは「東京ロッカーズ」と呼ばれ日本のロックを塗り替えることとなる。峯田和伸がユーイチ役、若葉竜也がモモ役で主演を務め、吉岡里帆、仲野太賀、間宮祥太朗、大森南朋、中村獅童、中島セナらが共演。『アイデン&ティティ』の大友良英が音楽を手がけた。日本の音楽史を変えた「音」に賭ける若者たちの熱狂と衝動を、ユーモアを交えながら鮮烈に映し出す。
公開日: 3月27日(金)
監督: 田口トモロヲ
出演: 峯田和伸、若葉竜也、吉岡里帆
HP: happinet-phantom.com/streetkingdom
『決断するとき』
©2024 ARTISTS EQUITY. ALL RIGHTS RESERVED.
『オッペンハイマー』の Cillian Murphy (キリアン・マーフィ) が主演を務め、アイルランドの小説家 Claire Keegan (クレア・キーガン) によるベストセラー小説『ほんのささやかなこと』を映画化。アイルランドに実在した「マグダレン洗濯所」の人権問題を背景に、社会が長く黙認してきた現実を知ってしまった者の葛藤と決断を描く。1985年、アイルランドの小さな町。家族と慎ましく暮らす石炭商人のビル・ファーロングは、クリスマス前のある日、石炭を届けに訪れた地元の修道院で、そこに身を置く少女から「ここから出してほしい」と懇願される。若い女性たちが行き場もなく苦しんでいる現実を突きつけられた彼は、見て見ぬふりをすることが賢明だと理解しながらも良心の責めに悩み、ある決断を下す。『奇跡の海』の Emily Watson (エミリー・ワトソン) が修道院の院長シスター・メアリーを演じ、『マグダレンの祈り』の Eileen Walsh (アイリーン・ウォルシュ) がビルの妻アイリーンを演じた。原作小説にほれ込んだ Cillian Murphy が自ら映画化を希望し、初めて製作を担当。Cillian Murphy 主演のテレビドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』の Tim Mielants (ティム・ミーランツ) が監督を務め、製作に Matt Damon (マット・デイモン)、製作総指揮に Ben Affleck (ベン・アフレック) が名を連ねた。アイルランドに実在する人権問題を背景に描かれる人間ドラマが、「知ってしまった個人はどう振る舞うのか」を静かに問いかける。
公開日: 3月20日(金)
監督: Tim Mielants
出演: Cillian Murphy、Emily Watson、Eileen Walsh
HP: unpfilm.com/ketsudan
『自然は君に何を語るのか』
©2025 Jeonwonsa Film Co. All Rights Reserved.
ベルリン国際映画祭やカンヌ国際映画祭で幾度も受賞をしている韓国の名匠 Hong Sang-Soo (ホン・サンス) が、恋人の家族と一日を過ごすことになってしまった詩人の青年を主人公に、お酒によって引き起こされる取り返しのつかない失敗を、ユーモラスかつリアルに描いたホームドラマ。詩人のドンファは恋人ジュニを家まで送り届けた際、玄関先で彼女の父親と鉢合わせし、思いがけずジュニの家族と一日を過ごすことになる。最初はギクシャクしていたものの、ジュニの家族に家や近所を案内され、会話を重ねるうちに少しずつ距離を縮めていくドンファ。やがて一家とともに夕食の席についた彼は、勧められるままにお酒を口にするうちに酔いが回り、食卓には次第に気まずい雰囲気が漂っていく。Hong Sang-Soo 監督の『逃げた女』や 『旅人の必需品』でも詩人役を演じた Ha Seong-guk (ハ・ソングク) がドンファ役に扮し、本作で Hong Sang-Soo 映画初主演を飾った。娘の恋人を迎える両親役は、Hong Sang-Soo 映画の常連で、実生活でも夫婦の Kwon Hae-Hyo (クォン・ヘヒョ) と Jo Yoon-Hee (チョ・ユニ) が務めた。Hong Sang-Soo 監督のデビュー30周年を記念して5カ月連続で新作を上映する企画「月刊ホン・サンス」の第5弾作品として、2026年に劇場公開。Hong Sang-Soo 監督の真骨頂ともいえる、皮肉とコミカルが掛け合わされたホームドラマをぜひスクリーンにて体感してみてほしい。
公開日: 3月21日(土)
監督: Hong Sang-Soo
出演: Ha Seong-guk、Kwon Hae-Hyo、Jo Yoon-Hee
HP: mimosafilms.com/gekkan-hongsangsoo
『カミング・ホーム』
©2022 Apple Slice Productions LLC All Rights Reserved.
名優 Ben Kingsley (ベン・キングズレー) が主演を務め、孤独な老人が隣人たちとともに奇想天外な騒動に巻き込まれるなかで人生の喜びを取り戻していく姿をユーモラスにつづったヒューマンドラマ。ペンシルベニア州西部の小さな町に住む79歳の男性ミルトンは、娘デニスに認知症の初期症状を心配されながらも、ひとり暮らしを続けていた。ある夜、空から現れた正体不明の飛行物体がミルトンの家の庭に墜落し、平穏だった彼の日常は大きく揺らぎはじめる。周囲に訴えても相手にされず、ミルトンはともに飛行物体を目撃した同年代の隣人サンディーとジョイスと秘密を共有することになる。それぞれ孤独を抱えていた3人は忘れかけていた人生の喜びを取り戻し、これからの人生と向き合っていく。『ボディビルダー』の Harriet Sansom Harris (ハリエット・サンソム・ハリス) がサンディー、『コーンヘッズ』の Jane Curtin (ジェーン・カーティン) がジョイス、ドラマ『メディア王 華麗なる一族』シリーズの Zoe Winters (ゾーイ・ウィンターズ) がミルトンの娘デニスを演じた。監督は『リトル・ミス・サンシャイン』『ラビング 愛という名前のふたり』などのプロデューサーとして知られる Marc Turtletaub (マーク・タートルトーブ)。失われていく記憶や、変化していく家族との関係性を見つめながら、誰もが人生の終盤に向き合うテーマを笑いと涙で包み込んでいく。
公開日: 3月20日(金)
監督: Marc Turtletaub
出演: Ben Kingsley、Harriet Sansom Harris、Zoe Winters
HP: cominghome-movie.com
『A Missing Part また君に会えるまで』
『パパは奮闘中!』の Guillaume Senez (ギョーム・セネズ) 監督が、同作でもタッグを組んだ Romain Duris (ロマン・デュリス) を主演に迎えて描いたドラマ。日本を主な舞台に、親子の絆や愛という普遍的なテーマのもと、日本とフランスそれぞれの社会制度の違いを背景に、変容していく現代の家族のかたちを描く。東京でシェフとして働くフランス人のジェイは、日本人女性と結婚するも離婚。共同親権をめぐる日本とフランスの制度の違いにより、最愛の娘リリーと引き離されてしまう。望みを捨てきれない彼はタクシー運転手に転身し、街をさまよいながら娘の面影を追い続けていた。9年が過ぎ、ジェイが帰国を決意した矢先、少女へと成長した娘リリーが偶然彼のタクシーに乗り込んでくる。リリーは目の前の運転手が実の父親だと知らず、ジェイも名乗ることができないまま、2人はつかの間の時間をともにする。『女の一生』『母へ捧げる僕たちのアリア』の Judith Chemla (ジュディット・シュムラ)、『TAXi (2)』の津由、『キャメラを止めるな!』『マリの話』の成田結美のほか、阿部進之介、矢柴俊博らが共演。変わりゆく社会の中で家族と向き合おうとする人々の葛藤を、静かなまなざしで描いた本作をぜひ見届けてみては。
公開日: 3月21日(土)
監督: Guillaume Senez
出演: Romain Duris、Judith Chemla、Cirne 増喜明
HP: mam-film.com/a-missing-part
『粒子のダンス』
©2026 HIROMOTO OKA / NPO SHONAN YUEIZA
世界的に活躍する建築家・隈研吾の15年間の歩みを記録したドキュメンタリー映画。『湘南予告篇映画祭』などを主催する映像作家・岡博大が、大学時代の恩師である隈研吾の代表作品とその叡智を後世へ継承するべく自らカメラを手に取り、2010年から15年をかけて自主制作として撮りあげた。撮影を開始して間もない頃に起きた東日本大震災に伴う東北での復興プロジェクトを始め、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のメインスタジアムとなった国立競技場や、東京大学隈研吾研究室での建築教育の現場など、世界16カ国80以上のプロジェクトを撮影。常に新たな建築のあり方を問いかけ提案し続ける隈研吾の姿を、俳句のように断片的な映像の連なりで描き出す。東北では、南三陸や陸前高田、登米などの復興プロセスや市民の日常の記録映像を通じて、日本人の復興の知恵を伝える。東京五輪やコロナウイルスによるパンデミックなどの世界が大きく揺らいだ時代を背景に、本作は建築の可能性とその思想を静かに問いかける。
公開日: 3月21日(土)
監督: 岡博大
出演: 隈研吾
HP: www.particledance.jp
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
©2025 ITTF Rights LLC. All Rights Reserved.
『アンカット・ダイヤモンド』『グッド・タイム』の Josh Safdie (ジョシュ・サフディ) 監督が撮り下ろした本作は、 Timothee Chalamet (ティモシー・シャラメ) が主演を務め、1950年代のニューヨークを舞台に、実在の卓球選手 Marty Reisman (マーティ・リーズマン) の人生に着想を得て描いたドラマ。卓球人気の低いアメリカで世界一の卓球選手になることを夢見るマーティ・マウザーは、親戚の靴屋で働きながら世界選手権に参加するための資金を工面する。ロンドンで開催された世界選手権で日本の選手エンドウに敗れたマーティは、次回の日本での世界選手権への出場を目指す。不倫相手のレイチェルが妊娠し、卓球協会から選手資格を剥奪され、資金が底をつくなか、あらゆる方法で遠征費用を集めようとするマーティ。そんな彼に訪れるさまざまな問題や試練をどう乗り越えていくのか。引退した有名女優ケイ役で Gwyneth Paltrow (グウィネス・パルトロウ)、マーティの友人役でグラミー賞受賞アーティストの Tyler, The Creator (タイラー・ザ・クリエイター) が演じ、マーティの恋人役で Odessa A’zion (オデッサ・アザイオン)、ケイの夫でインク会社社長のミルトン役で Kevin O’Leary (ケビン・オレアリー)、さらに、日本人選手エンドウ役で東京2025デフリンピックの卓球日本代表・川口功人選手が共演。次々と降りかかる試練のなかで、夢を追い続けるマーティの行方とは。痛快かつスリリングな物語の結末をぜひ見届けてほしい。
公開日: 3月13日(金)
監督: Josh Safdie
出演: Timothee Chalamet、Gwyneth Paltrow、Odessa A’zion
HP: happinet-phantom.com/martysupreme
『ジョン・クランコ バレエの革命児』
©2023 Zeitsprung Pictures GmbH
ドイツ地方都市の小さなカンパニーだったシュツットガルト・バレエ団を世界トップレベルに押し上げた天才振付家 John Cranko (ジョン・クランコ) の半生を、同バレエ団の全面協力により映画化。John Cranko の代表作「オネーギン」の誕生秘話と、45歳の若さで非業の死を遂げた彼の素顔を、現役の花形ダンサーたちによる圧巻のダンスシーンで彩りながら描き出す。イギリスで活躍する新進気鋭の振付家ジョン・クランコは、警察のおとり捜査により同性愛行為の罪で起訴される。1960年、ロンドンを追われた彼は、伝手を頼ってシュツットガルト・バレエ団で客演することになる。偏見なく自分を受け入れてくれる同バレエ団に居場所を見つけた彼は翌61年に芸術監督に就任し、自由な発想で美と情熱を表現する作品とカンパニーを作り上げていく。1969年、バレエ団はニューヨークのメトロポリタン歌劇場に招かれ、一夜にして世界の頂点へと駆け上がる。『マレフィセント』『コントロール』の Sam Riley (サム・ライリー) が主演を務め、情熱と革新的な才能にあふれながらも芸術追求に純粋すぎるあまり時に他人を傷つけてしまうクランコを熱演。監督・脚本は『ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男』で知られ、長年にわたりシュツットガルト・バレエ団を取材してきた Joachim A. Lang (ヨアヒム・A・ラング) が務める。振付家の伝説を描いた緊迫感あふれるバレエ映画が、観る者の心を魅了する。
公開日: 3月13日(金)
監督: Joachim A. Lang
出演: Sam Riley、Hanns Zischler (ハンス・ジシュラー)、Lukas Gregorowicz (ルーカス・グレゴロビッチ)
HP: johncrankojp.com
『砂丘』
1960年代にベルリン、ベネチア、カンヌの3大映画祭すべてで最高賞を受賞したイタリアの巨匠 Michelangelo Antonioni (ミケランジェロ・アントニオーニ) が、1970年にアメリカに渡って手がけた作品。ロサンゼルスと死の谷と言われるデスバレーを舞台に、一組の男女が繰り広げる愛の心象風景を描いた。大学紛争の嵐が吹き荒れ、学生が武装警官と衝突する、カウンターカルチャー真っ盛りの1960年代末のロサンゼルス。学生集会でのむなしい議論に嫌気がさしたマークは、拳銃を手に学内で弾圧行為に及ぶ警官隊に立ち向かうが、発砲するチャンスを逸して逃走する。そして飛行場でセスナ機を奪い、大空へと飛び立った。一方、ロサンゼルスの不動産会社で秘書として働くダリアは、会議に参加するため、車で広大な砂漠を横断していた。そんな2人が偶然出会い、物語が徐々に動き出していく。主演は、監督 Michelangelo Antonioni が街中でスカウトした新人の Mark Frechette (マーク・フレチェット) と Daria Halprin (ダリア・ハルプリン)。音楽には Pink Floyd (ピンク・フロイド) を筆頭に、Grateful Dead (グレイトフル・デッド) の Jerry Garcia (ジェリー・ガルシア)、Kaleidoscope (カレイドスコープ)、The Rolling Stones (ローリング・ストーンズ) などの名だたるロックバンドの楽曲が使われている。アメリカの過去と現在を幻視する、壮大で詩的な黙示録的作品が現代のスクリーンに蘇る。
公開日: 3月13日(金)
監督: Michelangelo Antonioni
出演: Mark Frechette、Daria Halprin、Rod Taylor (ロッド・テイラー)
HP: zabriskie-point2026.com
『蒸発』
©2024 OSSA FILM, BR, MORI FILM
ドイツ人映画作家 Andreas Hartmann (アンドレアス・ハートマン) と、ベルリンと東京を拠点に活動する映像作家・森あらたが共同で監督を務め、日本の「蒸発」という現象を題材に描いたドキュメンタリー映画。日本では毎年約8万人が失踪し、そのうち数千人は完全に姿を消してしまう。彼らは「蒸発者」と呼ばれ、人間関係のトラブルや借金苦、ヤクザからの脅迫などさまざまな理由が挙げられる。いわゆる「夜逃げ屋」の支援を受け、すべてのしがらみを捨て別の場所で新しい生活を始める者もいる。深い喪失や挫折と、人生をゼロからやり直す希望が交差する「蒸発」は、これまで多くの文学や映画のモチーフとなってきた。本作では、知られざる「夜逃げ屋」の仕事や、蒸発者と残された人々の心の葛藤と和解の道のりを没入感ある映像で描き、日本特有の社会現象の実態に迫る。逃走と再生をめぐるドキュメンタリーの圧倒的な没入感を劇場にて体感してほしい。
公開日: 3月14日(土)
監督: Andreas Hartmann、森あらた
HP: aggie-films.jp/jht
『ブルームーン』
©2025 FUNNY VALENTINE, LLC ALL RIGHTS RESERVED.
『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 (ディスタンス)』に始まる『ビフォア』3部作や、アカデミー賞6部門にノミネートされた『6才のボクが、大人になるまで』で知られる Richard Linklater (リチャード・リンクレイター) 監督が撮り下ろした本作。長年にわたりタッグを組んできた Ethan Hawke (イーサン・ホーク) を主演に迎え、ブロードウェイの伝説的作詞家 Lorenz Hart (ロレンツ・ハート) が訪れたパーティで過ごす一夜を描いた会話劇が公開。『ザ・レディ・イズ・ア・トランプ』『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』などの大ヒット曲を生み出してきた作詞家ロレンツ・ハートは、長年タッグを組んできた作曲家リチャード・ロジャースが、ロレンツ・ハートに代わる新たな相棒と組んで手がけたミュージカル『オクラホマ!』が初演された1943年3月31日の夜、ブロードウェイのレストラン『サーディーズ』で行われたパーティに招待されていた。そこで過ごす一夜でロレンツ・ハートは、愛や嫉妬、焦りや憧れなど、交錯する自身のさまざまな感情と向き合っていく。Ethan Hawke がロレンツ・ハートを演じるほか、ハートが思いを寄せる女性エリザベス役で Margaret Qualley (マーガレット・クアリー)、かつての相棒であるリチャード・ロジャース役で Andrew Scott (アンドリュー・スコット)、ハートが信頼する相談相手でもあるバーテンダーのエディ役で Bobby Cannavale (ボビー・カナヴェイル) が共演。人生の喜びや痛みを一夜で描いた本作を、ぜひ劇場で見届けてほしい。
公開日: 3月6日(金)
監督: Richard Linklater
出演: Ethan Hawke、Margaret Qualley、Bobby Cannavale
HP: longride.jp/bluemoon
『ナースコール』
©2025 Zodiac Pictures Ltd / MMC Zodiac GmbH
『ありふれた教室』『セプテンバー5』の Leonie Benesch (レオニー・ベネシュ) が主演を務めた本作は、人手不足の満床病棟で看護師に絶え間なく降りかかる激務と不測のトラブルを描き、スイスで大ヒットを記録した社会派ヒューマンドラマ。スイス出身の脚本家・映画監督 Petra Volpe (ペトラ・フォルペ) がメガホンをとり、世界共通の差し迫った問題である病院の実態をリアルかつスリリングに映し出す。州立病院で働く、献身的でプロ意識の高い看護師フロリア。この日は同僚が病欠しており、遅番シフトはいつも以上に忙しい。満床病棟で、看護学生の教育もしなければならない。そんな状況のなかでも、不安や孤独を抱える患者たちに誠実に接するフロリアだったが、とても手に負えない事態に陥っていき、やがて重大な試練に直面する。緊迫感あふれるスリラーとしてのスピード感を備えながら、病院という社会の縮図に潜む歪みを体現した一作が、観る者に強い余韻を残す。
公開日: 3月6日(金)
監督: Petra Volpe
出演: Leonie Benesch、Sonja Riesen (ソニア・リーゼン)、Alireza Bayram (アリレザ・バイラム)
HP: nursecall-movie.com
『オーロラの涙』
©SIXTEEN DT LIMITED, BRO-CINEMA LDA, BRITISH BROADCASTING CORP
スコットランドの巨大な物流センターで働く移民の女性の日常を通して現代社会が抱える孤独と分断を描き、その先にかすかな希望の光を見いだしたヒューマンドラマ。ポルトガル出身でスコットランドを拠点に活動する Laura Carreira (ローラ・カレイラ) が自身の移民としての経験をもとに長編初監督・脚本を手がけた。スコットランドの郊外に建つ巨大な物流センターでピッカーとして働くポルトガル移民の女性オーロラ。スキャナーの指示に従って無数の通路を歩き回り、棚から商品を取り出すという単調な反復作業が、彼女の1日の大半を占めている。同僚たちとの会話は休憩中のわずかな時間のみで、勤務を終えると彼女は疲れた体を引きずり、移民労働者たちのシェアハウスへと帰っていく。住人同士の交流は表層的で関係が深まることはなく、寄る辺のない日々が淡々と続いていた。そんなある日、オーロラは不注意からスマートフォンを壊してしまう。職場の連絡手段であり、時間を埋めるための相棒でもある文明の利器を失ったことで、彼女の日常はゆるやかに、しかし確実に形を変えていく。実在する労働環境に根ざしたリアリズムが、希望の物語として鮮明に描かれる。
公開日: 3月6日(金)
監督: Laura Carreira
出演: Joana Santos (ジョアナ・サントス)、Ines Vaz (イネス・バズ)、Neil Leiper (ニール・ライパー)
HP: march.film/onfalling
『花緑青が明ける日に』
©2025 A NEW DAWN Film Partners
日本画家としての活動を軸にジャンルを超えてさまざまな創作活動を行ってきた四宮義俊が長編初監督・脚本を手がけ、フランスの気鋭スタジオ Miyu Productions (ミユ・プロダクションズ) との日仏共同製作で制作したアニメーション映画。森の中にある創業330年の老舗花火工場・帯刀煙火店は、町の再開発で立ち退きを迫られていた。そこで育った帯刀敬太郎は工場に4年間立てこもり、失踪した父・榮太郎に代わって幻の花火と呼ばれる「シュハリ」を完成させようと奮闘している。一方、敬太郎の幼なじみである式森カオルは、過去の事件をきっかけに地元を離れ東京で暮らしていた。市役所に勤める敬太郎の兄・千太郎から連絡を受けたカオルは、帯刀煙火店の立ち退きが翌日に迫った夏の終わりの日に帯刀家を訪れ、4年ぶりに敬太郎と再会を果たす。彼らは戻らない時間と失われた絆を取り戻すようにぶつかりあいながら、幻の花火の秘密に迫るべく驚きの計画を立てる。その鍵を握るのは、美しい青色の顔料「花緑青」だった。俳優の萩原利久と古川琴音が敬太郎役とカオル役でアニメ声優にそれぞれ初挑戦し、声優の入野自由が敬太郎の兄・千太郎役、俳優の岡部たかしが父・榮太郎役で声の出演を果たした。神秘的な映像の中で、幻の花火が照らし出す2人の未来とは。新世代の青春アニメーション映画がスクリーンに放たれる。
公開日: 3月6日(金)
監督: 四宮義俊
出演: 萩原利久、古川琴音、入野自由
HP: hanaroku.asmik-ace.co.jp
『しあわせな選択』
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『オールド・ボーイ』『別れる決心』などを手がける韓国の名匠 Park Chan-wook (パク・チャヌク) が、突然の解雇で人生が一変するサラリーマンの姿を、アイロニーとブラックユーモアを交えて描いたサスペンスドラマ。Park Chan-wook 監督が出世作『JSA』でタッグを組んだ Lee Byung-Hun (イ・ビョンホン) を、21年ぶりに主演に迎えた。製紙会社に勤めるごく普通のサラリーマンのマンスは、妻と2人の子ども、2匹の飼い犬と暮らし、すべてに満ち足りていると思っていた。しかしある時、25年勤めた会社から突然解雇されたことで事態は一変。1年以上続く就職活動は難航し、愛着ある自宅も手放さざるを得ない状況に陥ってしまう。追い詰められたマンスは成長著しい製紙会社に飛び込みで履歴書を持ち込むも、そこでも無下に断られてしまう。自分こそがその会社に最もふさわしい人材だと確信するマンスは、ある決断を下す。それは、人員に空きがないなら自分で作るしかないというものだった。原作は、Costa-Gavras (コスタ=ガヴラス) も映画化した Donald E. Westlake (ドナルド・E・ウェストレイク) の小説『斧』。追い詰められていくマンスを Lee Byung-Hun が演じ、危機に直面するほど強さを増す妻ミリを『愛の不時着』の Son Ye-Jin (ソン・イェジン) が演じた。現代社会の歪みを鋭く映し出すサスペンスが、観る者を最後まで緊張感の渦へと引き込んでいく。
公開日: 3月6日(金)
監督: Park Chan-wook
出演: Lee Byung-Hun、Son Ye-Jin、Park Hee-Soon (パク・ヒスン)
HP: nootherchoice.jp











