【写真家たちの目線】 vol.11 川島崇志
photo and words:
takashi kawashima
今、あなたが見ている明日はどんな景色ですか? のアンサーとなる1枚を、それに紐づく言葉とともに寄せてもらう本企画。写真家が写真家に繋ぐリレー形式でお届けする。
第10回に登場した西野壮平が紹介してくれたのは、オランダ・アムステルダムでの活動を経て、現在は東京を拠点とする写真家の川島崇志。自然がもたらすカタストロフィ……突然の大変動を題材として扱い、文学からインスピレーションを得ることで独自の物語を作品で編み出してきた。2015年にリリースされた写真集『描きかけの地誌/蒐集』ではデザインをスイスのローザンヌ美術大学で教鞭をとるクリエイティブ・ディレクターの Philippe Egger (フィリップ・エガー) が手がけ、2019年には若手写真家の登竜門ともいうべきオランダの写真賞「Foam Talent 2019」にも選出。THE NORTH FACE (ザ・ノース・フェイス) や YUIMA NAKAZATO (ユイマ ナカザト) のビジュアル、音楽家のアートワークも手がけるなど、国境やジャンルを超えた活躍をみせている。
西野からは以下の紹介文を寄せられた。
「川島君とはどちらかというと海外のアートフェアなどでよく会っていたという印象です。日本では何度か東北沢の怪しげな“チェリー”という名前のスナックで飲んだ。深い時間まで飲んでいたので酔っ払っちゃったなという感じになっていたように思うけど、色んな話をする中で、中心というキーワードが出たのを覚えています。地方出身者にとって自分たちのバックグランドをどのように作品に関わらせていくのかということが非常に興味深かったです。最終的にスチャダラの凄さみたいなところに話が落ち着いたような気がする笑。。
その後の作品も遠くから観させていただいているが、思考も身体も遠いところまでわりとスッと行けてしまって、それも結構奥深くまでいっちゃえる人なんだなぁという印象です。周りからどう見られてるかわからないけど川島君は僕の中では旅人、冒険家といった気質があるんじゃないかと思っています。だからなのか妙なシンパシーも勝手ながら感じています。今後も身体的にダイナミックな動きをして欲しいし、ぜひぜひまたスナックで話したいです。」
【写真家たちの目線】 vol.11 川島崇志
「岬の馬は、向いの島の夢を見るのか」
私は、岬で馬を眺めている。
干草を食べたり、寝転がったり、突然歩き出したり。
仔馬は親馬にピッタリとくっつき、夫婦の馬は互いの存在を確かめ合う様に共に歩く。皆、気ままで、自由奔放だ。
時折、彼らはその断崖の端に立ち尽くしたまま風を浴びて、海を眺める。
その先には遠くにうっすらと見える島があり、それをじっと眺めている。
もちろん、彼らはそこへ行ったことがない。彼らはそこがどんな場所かさえ知らない。
そんな遠くの島をみて、いったい何を思うのか。
遠くのことを想像すること。
馬達の目に映る景色は、初めてこの地に踏み入った太古の人類が見たものと同じだ。
そんな壮大なことを想像したけれど、結局のところ馬は風を浴びて、ただ立って寝ているだけらしい。
(文・川島崇志)