photo and words:
tetsuo kashiwada

【写真家たちの目線】 vol.12 柏田テツヲ

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tetsuo kashiwada

今、あなたが見ている明日はどんな景色ですか? のアンサーとなる1枚を、それに紐づく言葉とともに寄せてもらう本企画。写真家が写真家に繋ぐリレー形式でお届けする。

第11回に登場した川島崇志が紹介してくれたのは、東京を拠点に旅をしながら作品を撮り続ける写真家の柏田テツヲ。多くのロードムービーの題材になってきたルート66沿いのモーテルとそこで出会った人々にレンズを向けた初の写真集『MOTEL』(2017)、続いてアメリカでの旅で撮影した『STRANGER』(2019)をリリース。最近では、かつて自身が留学していたオーストラリアで起こった大規模な森林火災を主題とした『Into the Gray』を発表したばかりだ。また、コマーシャルワークでもその実力を遺憾なく発揮し、TFPにもこれまで杉咲花や高良健吾、森山未來らの力強いポートレートを撮影してくれている。

川島からは以下の紹介文を寄せられた。
「柏田くんとは京都での展示で一緒になったのが初めてだった気がします。共通の知人から聞いて、なんとなく互いの存在は知っていたものの(少なくとも私は)、彼の作品を生で観たのはその時が初めてで、特徴的な木のマットに入った写真が整然と並んでいて、自然そのものの力強さや共生ということについて、とても考えさせられる素晴らしい作品でした。

流行や表層、共感を追いかけてしまいがちな東京という街に暮らしながらも、柏田くんの作品からは、それとは反対にとても真伨に被写体と対峙している姿勢を感じます。簡単に消費されてしまう『写真』ではなく、真伨に場所や被写体の声を聞きシンプルに提示する『写真』の強さを改めて感じましたし、私自身も背筋を正される思いでした。

いつも近くて遠いくらいの距離から活躍を見させていただいていますが、どんな時もその真伨な姿勢を崩すことなく、もがきながら、互いに何かに媚びることなく、また近々、どこかで飲みましょう。

なんていうかさ、テツヲの『ヲ』がいいよね!」

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tetsuo kashiwada

【写真家たちの目線】 vol.12 柏田テツヲ

コロナウィルスが世界に広まるちょっと前、
僕はオーストラリアの過去最大の森林火災を追っていた。
気付けば世界のニュースはコロナ一色に、そして日本のニュースはオリンピックへと切り替わる。
しかしその裏で、北海道では「初物」のサンマを狙う道東沖の流し網漁は今年、1匹の水揚げもないまま操業が打ち切られる見通しとなりました。というニュースを見た。
温暖化の影響で海温が上がり魚の生態系が崩れ始めている。
そして、カナダでも熱波が到来し大規模な森林火災、アメリカ・デスバレーでは54.4°を記録、ヨーロッパ各地では大規模な洪水。
僕が住んでいる東京ですら、急に雹が降ったりと異常気象を肌で感じられるようになった。
未来のためにもっと目を向けないといけない問題があるはずだ。
地球から聞こえるメッセージに僕たちは耳を傾けないといけない。
(文・柏田テツヲ)