hiroya shimizu
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自分の感覚を信じて生きる、清水尋也インタビュー

時計 (J12) ¥632,500 *6月5日発売、CHANEL (シャネル)

hiroya shimizu

model: hiroya shimizu
photographer: tetsuo kashiwada
stylist: kodai suehiro
hair: kazuhiro naka
makeup: dash
writer: mayu sakazaki
editor: daisuke yokota

Portraits/

繊細で美しい横顔、どこか冷めた目、飄々としたキャラクター、迷いのない言葉。『渇き。』、『ちはやふる』、『anone』、『インベスターZ』などの映画・ドラマで確実に印象を残している19歳の俳優・清水尋也は、同年代の俳優と比べると、どこか毛色の違う存在だ。それは彼の姿そのものなのか、作品の中で見せる表現なのか、それとも言葉選びやスタイルなのか、もしくはそのすべてなのか。シャネル「J12」との撮影を楽しみながら、インタビューでは自分の感じるありのままを飾らずに振り返ってくれた。

自分の感覚を信じて生きる、清水尋也インタビュー

デビュー8年目となる今年は、現在公開中『貞子』他、『パラレルワールド・ラブストーリー』、『ホットギミック ガールミーツボーイ』、『甘いお酒でうがい』など、多くの話題作が控えている。20歳を目前に、「旬な俳優」と呼ばれることも増えている清水尋也にとって、そんな周りの評価は自分に影響を与えるものではないという。「コピーじゃなく、常にオリジナルでいたい」と語るように、「旬」の一言ではカテゴライズできない、するべきではない個性を彼はすでに持っている。仕事やプライベートについて訊くと、フラットな言葉の中に、ときに鋭さやユーモアを持って答える姿が印象的だった。

―新しいシャネル「J12」の時計をつけてみて、感じたことを教えてください。

腕時計はあまりつけないので新鮮でしたし、シャネルさんということもあって緊張しましたね。何があっても手首だけは守ろうと思いました(笑)。僕は普段から高いものを身につけるような身分でもないので、こういうものをつける機会がやっぱり少ないので、高揚感というか……嬉しかったですね。

―デザインの印象はいかがですか?

そうですね、目立ちすぎないデザインなので、そこにファッションが引っ張られることもないですし、逆に埋もれることもない。そういうちょうどいい華やかさみたいなものを感じました。自然と目が引かれるというか、白と黒だけど、すごく華やかなんですよね。自分だったら、白Tにジーンズみたいなさらっとした服にあえてつけてみたい。全身すごく着飾っているときよりも、さりげなく手元だけ、という方がアクセントになって映えるんじゃないかなと個人的には思います。

―白と黒の「J12」、どちらが自分に近いですか?

黒ですね。目立たなくて落ち着いてるけど、強い色じゃないですか。基本的に、そういうものがいいなと思います。

―白と黒という色には、相反する存在とか、表裏のような要素があると思います。自分の中に二面性みたいなものはありますか?

そういうのはあんまりないですね。良いのか悪いのかはわからないですけど、思ったことや、嫌なことはすぐ言います。でも家族しか知らない自分はいるだろうし、それが二面性かどうかはわからないですが……。自然に出ているだけで隠しているつもりはないので、誰に対しても基本的にはないと思います。好きな人には好き、嫌いな人には嫌いと、自分の気持ちに正直に行動します。なので媚を売っているつもりもなければ、突き放しているつもりもなくて、自然に変化しているという感じです。

―「J12」はシャネルのアイコン的な存在と言われています。自分にとってそういう存在や、憧れのものってありますか?

う~ん、なんだろう。何かになりたくて生きているわけでもないし、何かになりたくてこの仕事をしているわけでもなくて。そういう目標を設定しちゃうと、そのコピーにしかなれないと思うんです。だからロールモデルだったり、影響を受けているものっていうのも別にないですね…。誰かや何かのコピーになるよりも、自分というオリジナルになりたいだけなので、今の自分に嘘をつかずに、その都度ひとつひとつ選択をしています。その結果、失敗したとしても、そのプロセスに悔いがなければ、それを受け入れるほかない。常に自分がどう思うかを優先して考えているので、何かを追ってとか、背中を見てっていうことはないんです。

時計 (J12) ¥632,500 *6月5日発売、CHANEL (シャネル)、ジャケット ¥78,000、Brooks Brothers (ブルックスブラザーズ)/プロップス ストア 03-3796-0960

時計 (J12) ¥632,500 *6月5日発売、CHANEL (シャネル)、ジャケット ¥78,000、Brooks Brothers (ブルックスブラザーズ)/プロップス ストア 03-3796-0960

―自分自身を良くしていきたい、更新していきたいという気持ちはありますか?

ただでさえだらしないので、向上心は持っていないと、さすがにだらしなさすぎるだろうっていうのはあります(笑)。もちろんこういう仕事をしている以上、常に高いクオリティのパフォーマンスをしないといけないと思っています。

―まだ若いのに、自分はこういう人だっていうのがはっきりしていますよね。

いや全然、それっぽいことを言っているだけです(笑)。でも、やっぱり周りよりも早く社会に片足を突っ込んでるというか、毒されている部分もあるので。普通の学生に比べたら自分の人生や展望について考えないといけないし、自分のことは自分でやらないといけない。やっぱり自分のこれまでの経験から、自然とこうなっているのかなとは思います。

―仕事は始めたのは14歳のときですか?

いや、12歳ですね。小学校卒業間際の2月ごろだったと思います。最初は何も知らないままオーディションを受けて、たまたま連ドラのレギュラーに受かって。ありがたいことに、それからちょうど8年目になったのかな。

―8年の間で、変化した、進化したと感じる部分は?

もちろん演技力とかはやっていく中で培っていくものなので、最初に比べたらついているとは思います。でも、自分のマインドだったりアティチュードだったり、内面的なものは変わってない。何もわからない状態で小学生、中学生の頃から一人で現場に行っていました。だからこそ好き勝手にやれたし、怖いものもなかったし、そのぶん怒られたりもして。でも怒られたことはやめて、怒られなかったことは続けようってその頃から思ってましたし、それは今も変わらないですね。周りに縛られることもなく怖がることもなく、誰に対してもフラットに。自分のそういう部分は最初の入り方があったからこそだと思っています。

―こういう仕事がしたいっていう気持ちは当時からありましたか?

一切なかったですね。もともと4つ上の兄がこの仕事を先に始めていて、兄の映画の試写会で当時のマネージャーさんに誘われたんです。でも興味がなかったので、ずっと嫌ですって言ってて(笑)。でも事務所のレッスンに半ば無理やり参加することになり、まあ続けてもいいのかなと、そんなノリでした。

―それから今まで続けているのは、何か面白みや魅力を感じてきたから?

最初は本当に興味がなかったので、ダメだったらやめればいいやという気持ちでした。普通の学生だから、最初からこれに人生をかけてるっていう思いもなかったし、学校を楽しんで、その後の暇な時間でやっているという感覚。でも、やっているうちに、向いてるのかもしれない…と自分でも思ってきました。向いているからやっていたことが、知らない間にやりたいことに変わっていた、という感じですね。

―これまでの中で、記憶に残っている作品や役はありますか?

毎回違う役をやりますし、だから毎回毎回が面白いです。ただ、最初に知ってもらうきっかけになったのが『渇き。』という映画。あのときは監督にも相当しごかれましたし、印象に残っているというよりは、しんどかったなって。そのときは中島哲也監督のことも映画の規模もまったく知らなかったんですが、今思うとあの作品で人生が変わったなというのは自覚しています。周りから『渇き。』の子だよねと言われたり、代表作として挙げてくれるようになって、時間が経ってから、あのときってすごく大事な時期だったんだなと感じていますね。

―プライベートで記憶に残っている瞬間は?

毎日食べていた塩昆布が急にダメになったことはよく覚えています(笑)。何も味がないのもあれだからって、母親が毎日学校のお弁当の米に塩昆布をかけてくれてたんですよ。でも、お弁当って時間が経つとすごく蒸れるじゃないですか。それである日突然、お弁当を開けた瞬間の塩昆布の匂いがダメになっちゃって。アレルギーとかでも、好きなものを食べ過ぎて急に発症しちゃうってあるじゃないですか。あんな感じで急にダメになっちゃって、その日母親にちょっと塩昆布無理だわって言いました(笑)。

―なるほど(笑)。何かが急に受け入れられなくなる瞬間っていうのは、他のことでもありますか?

人に対してもありますね。僕はダサいこと、中途半端なことはしたくないってずっと思っていて。もちろん僕が何をしても、ダサいと言われることもあればかっこいいと言われることもあると思います。でも、自分の中の基準において、そういうことをしたくないんです。だから友達も少なくて、最初はいいやつだなとか気が合うなと思っていても、それはないでしょってことをされると、もういいやって思ってしまう。それで急に疎遠になったり、ちょっとした瞬間でダメになってしまうことはありますね。

―自分の中に、はっきりとした基準があるんですね。

本当に単純なことなんです。ごめんなさいとありがとうが言えないとか、大事な約束を守らないとか、人としてどうなんだろうと思うようなこと。あとはそのときの感覚的なもの。僕自身も時間にルーズなので、それは直さないといけないなと思っています…。

―仕事をしていて、楽しいと思うのはどの瞬間ですか?

実際にやっているときも楽しいですが、やっぱり観ているときが楽しいです。映画を作ることが好きなので、僕にとって他のお芝居の仕事と比べて、映画はやっぱり特別です。映画を撮っているときの空気感はもちろん、撮影中は自分が出ているシーンに集中しているので、完成後に全体をフラットに一気に観ている瞬間はすごく楽しいです。それから、やっぱり映画は世間の人に観てもらった瞬間に完成すると思っているので、反響が返ってきたときも楽しい。面白かったと言われても嬉しいし、つまらなかったと言われても嬉しい。賛否両論すべて嬉しいですし、そういう瞬間にやっていて良かったなと感じます。

―映画を作ることの面白さというのは、経験した人にしかわからないことです。清水さんが面白いと思うのはどういう部分ですか?

やっぱり色々な形式の中で、映画はいちばん後に残るものなんじゃないかって気がするんです。50年前、100年前の名作と言われて思い出すのはやっぱり映画じゃないですか。それだけ映画はカルチャーとして根付いているし、ただのエンタメや消費するものじゃなく、後に残って語り継がれていくものなんだなって思う。もちろん舞台にも生ものとしての良さがあるし、毎回違うお客さんの中で、毎回違う芝居と空気感があるっていう魅力がありますよね。脚本が完成していて、スケジュールも決まっていて、その期間はみんなが同じ方向を向いてひとつのことに専念している。そういう映画の作り方がすごく集中できるし、僕に合っていると感じます。

―最近の作品に関してお伺いします。6月28日に公開する山戸結希監督の『ホットギミック ガールミーツボーイ』に出演されますが、山戸監督も中島監督と並んですごく作家性が強いというか、癖のある監督です。一緒に仕事をして感じたことは?

そうですね、お二人の意図を汲み取るのに苦戦する瞬間もわりとありました。でもそれを、つまりどういうことなのか簡略化して教えてくださいっていうのは野暮。彼女の中でつまりこういうことですっていう表現があるんだったら最初から言ってくれるので、そうじゃないということは、それをそのまま受け取るしかない。どうしてもわからないという瞬間もあったんですが、それを噛み砕こうとするんじゃなく、そのまま感覚的にやりました。山戸さんも感覚のまま、その温度のままに言語化して伝えてくれるので、それをそのまま受け取って。だから考えてはないんですけど、すごく頭を使ったというか……基本的に長回しで最初から最後まで何テイクもやるので、濃密な期間でしたね。めちゃめちゃお腹減ったし、めちゃめちゃよく眠れました(笑)。毎日どのシーンも確実に台本が変わるし、2ページが6ページになったりするので、それにひたすらついていって。今日死ぬんじゃないか?って毎日思うくらい、その瞬間を生きようとしていました。

―そんな撮影期間を経て、完成した作品を見てどう思いましたか?

やりたかったことはできたのかなと思いましたね。元々こういう恋愛映画みたいなものがたくさん世に出ている中で、そこに一石を投じるような新しい恋愛映画にしたいんだって監督もプロデューサーさんも言っていたし、僕もそれくらいしないと面白くないと思っていたので。完成した映画を見た結果、それは体現できたんじゃないかっていうことは、率直に思いました。

時計 (J12) ¥632,500 *6月5日発売、CHANEL (シャネル)、ジャケット ¥78,000、Brooks Brothers (ブルックスブラザーズ)/プロップス ストア 03-3796-0960、ニット ¥25,000、John Smedley (ジョンスメドレー)/リーミルズ エージェンシー 03-5784-1238

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―今までの経験の中で、「こういうことを大切にしたい」と思うこと、意識していること、大事にしていることはありますか?

仕事に関しては、語弊を恐れずにいうと自分のことしか考えないようにしています。19歳とか20歳っていう年代は、22~24歳くらいで全盛期を迎える中で、誰が頭ひとつ先に出るか、みたいなところが強い時期なんですね。でも、僕は一切周りに興味がないし、同い年の俳優がどれだけ売れていようと、良かったねとしか思わない。むしろ、素直にかっこいいなって普通に思っちゃうタイプなんです。他人に嫉妬をしている時点でその人の背中を見てしまっているので、僕は誰かの後ろを歩くつもりはないですね。だから、人のことは一切考えず、自分のことしか考えてないです。

―プライベートに関してはいかがですか?

僕は役者である前に一人の人間なので、まず人として充実していないと、仕事も充実しないと思っているんです。仕事にプライベートを捧げてもいいとか、不健康でもいいという人もいますが、僕はそうは思えない。まず自分が健康であることや、交友関係、家族とか、そういう自分のプライベートを楽しんでないといけないと思うんです。だから仕事以外では仕事のことは考えないし、友達ともたくさん遊ぶ。学校の友達とかは、僕がこういう仕事をしていることは度外視で、一人の人間として接してくれたのですごくありがたかったですね。普通の人間として普段の生活を楽しんで、友達や家族とか、そういう大切な人たちと一緒に充実した時間を過ごすように心がけています。

―仕事も日常も、フラットにとらえるというか。

早起きしなきゃ、くらいにしか思ってないですね。

―今挑戦していることや、これから越えたい壁、そういうものってありますか?

今を生きることに必死です(笑)。色々なお仕事も頂けるようになって、自分としてうまくいってないことも別にない。ネガティブをポジティブに変えるというよりも、常にポジティブでいた方がいいっていうタイプなので、あんまり考えてないですね。やりたいことしかやっていないので。やりたくないことにも2種類あると思うんです。本当にやりたくないし、やらなくていいこと。これはもう一切やりません。でも、やりたくないけど、やりたいことのために必要なことってあるじゃないですか。それはやらないといけないし、やりたいことに繋がるプロセスだからやる。だからとにかく今やりたいことは、今やるようにしています。今の感受性、今の環境、今のマインドがあるから、意欲って生まれてくるので。例えばお金がない、時間がないから2~3年後にやろうと思ったとしても、今やりたいことと、2~3年後にやりたいことは絶対に違う。だから今やりたいことは全部今やらなくちゃいけないと思って生きています。だから毎日が壁だし、いかに今日を楽しめるか、ということだけを考えていますね。

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