「PORTRAITS」 からみる2020年の顔
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「PORTRAITS」 からみる2020年の顔
the fashion post
"portraits” 2020
2020年も残すところわずか。東京オリンピックの開催を目の前に、突如世界を襲ったCOVID-19。多くのことが一時停止を余儀なくされ、暗中模索の日々が続いた1年となりました。
TFP 恒例のインタビューコンテンツ「PORTRAITS」もまた、これまでのように取材することがままならない中、リモートでのインタビューや海外ライターの助けを借り、国内外のさまざまなクリエイターたちに話を聞くことができました。新たな年を目前に、2020年のハイライトを振り返ります。
【国内】
各界で活躍するクリエイターたちの原動力
かねてより熱望してきた写真家の長島有里枝に取材を敢行。8年もの歳月をかけて出版された『「僕ら」の「女の子写真」からわたしたちのガーリーフォトヘ』の執筆経緯から現在思うことまでを収録したロングインタビューを掲載。多くの矛盾と偏見、性差別が潜んだ90年代の「女の子写真」ブームを改めて検証、訂正した本書は、「特定の誰かを責めるために書いたわけではないです。若い女性に勇気を与えたかった」という渾身の一冊。
他にも、国内外で高い評価を得ている現代美術家の大竹伸朗や建築家の妹島和世、東京都写真美術館で「写真とファッション 90年代以降の関係性を探る」展の監修をつとめた林央子のインタビューも必読。
「誰もやらないから、自分でやるしかない」 写真家・長島有里枝が言葉で語り続ける理由
「昨日なかった何かが、今日生まれてほしい思いがずっとある」 大竹伸朗
編集者・林央子 「ファッションを考えてみたかったら、ファッションという世界の外に立つこと」
「人それぞれ、思い思いに使えるものを」建築家・妹島和世が考えるデザインの役割
「一つの選択の先に無限の可能性が広がる」クリエイター MACCIU がデザインに託すメッセージ
コロナ禍でファッションデザイナーが見つめる先
生活様式が一変する中で、間違いなくファッションに対する価値観にも変化が訪れている。ファッションデザイナーたちはどのように自身のクリエーションに向き合ってるのか。
「自粛期間中に、これまで当たり前としてやってきたことに対して、向き合って考えるようになりました」と語るのは、COVID-19流行前より計画されていたブランド初のZINE『SN』を発表した UNDERCOVER (アンダーカバー) デザイナーの高橋盾。「COVID-19の流行によって起きたこの稀有な状況が自分にどれだけ影響を与えるのか、まだ未知なことが多いけれど影響は明らかで、決して小さくないと思いますね」
実験と変化を繰り返す高橋盾が見つめる、COVID-19流行後の世界
「窓にカーテンを選ぶように、生地を選びました」 黒河内真衣子
常に高みを目指す俳優勢の挑戦
ファッションエディトリアルではこれまでにないモードな表情を披露してくれた柳楽優弥。その半生のほとんどを役者という職業に捧げてきた稀有な存在である俳優の30歳を記念したインタビュー。「過去の自分の出来事、価値観を捨ててみて、いいものを見たりいい人と出会ったりして、また新しい価値観を学んでいきたい」
「常に自分を超えていきたい」イメージを更新し続ける女優・夏帆
「どんな役も自分の延長」俳優・宮沢氷魚が考える等身大の“多様性”
新時代をサバイブする音楽家たち
ストリーミングサービスの急速な普及によって、今や楽曲を作り、作品をリリースする以上のことが求められるようになったミュージシャンたち。King Gnu (キングヌー) のギタリストおよびコンポーザーをつとめる常田大希は、海外に向けてクロースオーバーな活動をみせる音楽プロジェクト millennium parade (ミレニアムパレード) や音楽だけでなく映像やヴィジュアル、空間演出などトータルなクリエイティブを行うコレクティヴである PERIMETRON (ペリメトロン) を主宰する。
作曲のすべてを自ら手がけるラッパー/トラックメイカーの dodo (ドド) は、クリックひとつで YouTube の海に楽曲を放ち続ける。今年7月、セカンドアルバム『normal (ノーマル)』 リリースのタイミングで、写真家の鈴木親とともに彼の自宅兼スタジオに伺った。
「世界を変えてやる」時代と対峙し続ける音楽家・常田大希の”熱”
「僕はタグがつかないマイノリティ」 dodo がおくる新しい 『ノーマル』
【国外】
世界のクリエイティブシーンを率いるオーソリティ
インディペンデントな姿勢を貫き、今もなお多くのクリエイターに影響を与え続ける『purple (パープル)』の黎明期を支えたアートディレクターの Christophe Brunnquell (クリストフ・ブランケル) や写真家兼アーティストの Mauricio Guillén (マウリシオ・ギジェン) をフィーチャー。彼らの実験的かつ挑戦的なクリエーションを、同じく『purple』と関係が深い写真家・鈴木親とともに紐解く。
雑誌デザインを変革した草分け、クリストフ・ブランケルの天才脳を覗く
「ノーと言えるようになったら、すべてが変わってくる」 世界を飛び回るマウリシオ・ギジェンの旅と写真
花形ダンサーから芸術監督へ、パリ・オペラ座バレエ団を率いる麗人オレリー・デュポン
パリ・オペラ座バレエ団を力強く写しとったピエール=エリィ・ド・ピブラックが語る写真表現
ファッションを通して世界に向き合うデザイナーたち
よりエシカルに、これまで良しとされてきた悪習から解き放たれつつあるファッション界。既成概念や固定観念と対峙するファッション業界のトップランナーたちのインタビューを集約。「僕の目的はいつだって、コンテンポラリーで、ひどく限定的で、型にはまった美『以外』のオプションを提示すること」と Rick Owens (リック・オウエンス) は語る。
リブランディングから新たな未来志向へ。ジュリアン・ドッセーナが語る、創作の哲学
ジュエリー界に一石を投じるシャルロット・シェネ、クリエーションの秘密
アリーズのソフィア・プランテラが考えるブランド論 「アイデアを包むカプセルのようなもの 」
『032c』のマリア・コッホが貫くファッションとカルチャー論
「ありのままの自分を表現する女性たちを応援」 ニコラ・グラスが引き継ぐケイト・スペードの哲学
巨匠の意欲作からミニシアター系まで
Jim Jarmusch (ジム・ジャームッシュ) や Woody Allen (ウディ・アレン) ら言わずもがなの巨匠たちが揃い踏み。彼らが映画に込めたメッセージとは。
「ニューヨークが魅力を失うことは絶対にない」ウディ・アレンが捉え続ける永遠のミューズ
「愛されるために映画をつくる」巨匠クロード・ルルーシュの人生観
「続編を作ることには興味がない」未知に挑み続けるオスカー監督トム・フーパーの映画論
「これはホラー映画ではない」映画ファンを魅了するアリ・アスター
カメラを武器に世界を震わせる、『レ・ミゼラブル』監督ラジ・リの告発
「期待を超えることを楽しむ」新たな扉を開く、監督・オリヴィア・ワイルドの人間力
ピュアな音楽が誘う見たこともない景色
音楽シーンに衝撃を与え続けてきた Warp Records (ワープ・レコーズ) の30周年を記念したツアーで来日した Oneohtrix Point Never (ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、通称 OPN) と Bibio (ビビオ) にインタビュー。それぞれ全く異なる音楽性ながら、共通して音楽への純粋な姿勢、あくなき探究心を貫いている。「何かを作るだけって毎日が贈り物のように感じる。音楽を作れて幸せだよ」と語るのは、OPN こと Daniel Lopatin (ダニエル・ロパティン)。
「いずれにしても音楽を創ることは自分の想像力だけで別の世界に行く夢」と Bibio が語っていたかと思うと、インタビュー嫌いで知られる King Krule (キング・クルール) は「俺の曲は、俺の眼に映る、俺が感じるランドスケープがそのまま映し出されているんだ」と話す。是非ともインタビューを読み直して、楽曲とともにアーティストが描く景色に思いを馳せたい。
「僕のキーはゴミにある」実験音楽家 ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー インタビュー
孤高のダークヒーロー、キング・クルールが私たちに教えてくれること
レイチェル・ダッドの音楽は語りかける 「自由は政治的に美しい」
【番外編】
TFPでは自粛期間中、「Talk from Home – クリエイターたちはいま」として、これまで「PORTRAITS」やファッションエディトリアルに参加してくれた国内外のクリエイターたちへのミニインタビューを連載形式でお届けした。まだまだ収束の見えない状況の中、彼らが何を考えて、どのように過ごしていたのか振り返ってみてもいいかもしれない。
ファッションデザイナー(A.P.C.) ジャン・トゥイトゥ
ファッションレーベル パグメント
写真家 ホンマタカシ
写真家 ヴァレリー・フィリップス
バレエダンサー 飯島望未
映画監督 豊田利晃
ジュエリーデザイナー シャルロット・シェネ
アーティスト コムアイ
写真家 チャド・ムーア
駆け足で振り返った 2020年の「PORTRAITS」。読み逃していた記事はぜひ、年末年始の時間がある時にクリックして読んでみてください。今のあなたの心に響く人物や言葉、新たなクリエイションとの出会いや気づきがありますように。
ここに改めて取材に協力してくださったすべての関係者の皆様、いつもご愛読いただいている読者の皆様へ心より感謝申し上げます。これからもタイムレスな「PORTRAITS」をお送りできるよう TFP 編集部一同励んで参ります。2021年も変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。